無人島を購入したがる中国人は多い(写真提供/イメージマート)
森林だとインフラの整備から始めなければならないし、建物の建築許可を取るには接道する道路が必要になる。古い別荘地だと自分の土地に家を建てるだけだからと、建築確認を申請せず未登記の建物もあるが、それだとローン申請ができず売買が難しい。民泊なら届出に建物の登記が必要になるため、未登記物件を民泊として利用するのは困難だ。
「物件を購入するのはいいが建物を建てて民泊を始めるまでに、インフラ整備やいくつか申請が必要だと伝えると、客の中には役所に怒られてから申請すればいいという乱暴な者もいて、『日本の役人は建てた物を勝手に壊さない。言うだけで実力行使はしないと聞いている』とあっけらかんと言われた」と不動産業者。不動産物件などでは例え法律違反を犯していても、即刻没収、即時撤去とならない日本の法律の裏をかかれている。
離島の土地を探しているという外国人からの問い合わせには、なぜ?と思うようなものがあると不動産業者はいう。
「自然が豊かで風光明媚、その上、生活に便利な島を探しているのかと思えば、別荘を建てるのに煩わされず自由にのんびりしたいから、島民が少ない島や今は無人島になっているような島が希望だといわれることがある。売買はしたいが、希望する場所によっては物件取得の目的が違う気がして、予算が高くても丁重にお断りする」。
瀬戸内海に浮かぶ人口7人の笠佐島(山口県)の一部を、別荘目的で中国人が取得し、電柱などが敷設されているという案件が注目を集めている。売買した業者は商談を重ね「問題ない」と判断したというが、近くには海上自衛隊の呉基地などがあり、船さえあれば間近に見ることができるという。別荘目的での取得というが、本当にそれだけなのかと疑念が残る。
2024年12月、政府は土地等利用状況審議会による調査結果を公開した。重要土地調査法により注視区域や特別注視区域に指定された399か所で購入された物件のうち、外国人や外国法人による取得は371件。国別では中国が203件と最多だ。都道府県別では東京都が171と最も多く、そのうち新宿区の防衛省市ヶ谷庁舎周辺が104、陸上自衛隊補給統制本部周辺が39、練馬駐屯地周辺が20か所と、防衛省関連施設周辺が多い。
重要土地調査法は安全保障上重要な土地の利用を制限するもので、自衛隊基地や原発施設など重要施設周辺や国境離島での土地建物の持ち主や利用状況などを調査できるようになった。しかし調査範囲は対象の周辺わずか1kmで、行われるのは調査のみ。これまでの物件取得に利用中止の勧告は出されていない。
我々が気が付かないうちに、日本の安全保障や人々の生活にとって重要な土地が外国人に取得されていく。法改正はもとより、国として何らか手を打つべきではないだろうか。