真夏の郵便配達は暑さとの戦い(写真提供/イメージマート)
2025年7月の日本の月平均気温が、1946年の統計開始以降、7月として1位の高温となったと気象庁が発表した。7月30日には兵庫県丹波市柏原町で41.2℃を観測し、国内歴代最高気温を更新とニュースになっていたが、8月5日に群馬県伊勢崎市で41.6℃を記録し、さらに更新された。このままでは、インドのように都市部で50℃を超えてしまう日も来るのでないかと恐れる声があがると同時に、これまでの働き方、過ごし方を見直さねばならなくなっている。ライターの宮添優氏が、暑さによって変わりつつある仕事の常識についてレポートする。
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連日、35度超えの「猛暑日」が続き、テレビニュースでは「40度超え」の天気予報も珍しくなくなりつつある昨今。誰もが、明らかに「以前より暑くなった」と実感しており、人々のライフスタイルも、灼熱に合わせて変化しているようだ。
嬉しそうに職場環境の「変化」について話してくれたのは、千葉県在住の郵便局員だ。
「夏の凄まじい直射日光のため、運転時に周囲が見えず本当に危なかったのですが、会社として発表してくれたので、これからは堂々とサングラスを着用できます」(郵便局員)
2025年6月、日本郵便は屋外で活動する配達員などの熱中症対策として、ファン付きベストの着用やネッククーラーの使用、業務中の水分補給や休息を奨励するなどの取り組みを強化すると発表した。配達員のバイク運転時に「サングラス着用」もその一環だ。
「以前、あまりに太陽が眩しく配達の運転時にサングラスを着用して業務についていたところ、市民からのクレームが殺到したことがありました。怖い、カッコつけるな、というクレームです。本当に眩しいから着用していただけなんですが、サングラスの着用はダメ、ということになりました。あれから数年が経ち、さらに暑くなって、ファン付きベストの着用まで認められたのは良かったですが、それにしても暑すぎる」(郵便局員)
サングラスが「カッコつけ」というのは、もはや過去の話になりつつある。かつて、バスやタクシーの運転手が自主的、または会社ごとにサングラスを着用した時も、利用客からお門違いな同様の批判の声が噴出した。しかし最近の陽の光といえば、サングラスなしでは過ごせないほど強烈だ。
厳しい暑さの影響で変わったことは、配達員のように、分かりやすく炎天下で仕事をする人たちだけではない。