暑さ対策のリモート勤務で電気代が不安(写真提供/イメージマート)
自宅勤務だと電気代が高くなる
「人に会うこと」が何より重要である営業職のサラリーマンが「暑い」などといって涼んでいれば、その隙にライバルに仕事を奪われかねない。東京都内のビジネス街には、真夏だろうと得意先や営業先に向かうスーツ姿のサラリーマンの姿があたりまえだった。だが、さすがに体温以上の気温になると、普段はサラリーマンで溢れかえっている、東京・新橋のSL広場前も閑散としている。付近の木陰で休んでいた、デザイン事務所経営だという若い男性が言う。
「久々に外で打ち合わせだというんで出てきましたが、この気温だと無理ですね。イライラして、仕事の話もできない(笑)。
うちの会社は、今年から夏の間は原則としてリモート勤務になりました。コロナ禍にリモートワークだったのを出社形式に戻していましたが、こう暑いと出社も大変じゃないですか。リモート体制は整備済みなので、そのインフラを使えば新たな費用もほとんどかからない。会社に来るだけでも体力使うじゃないですか、それが無駄に思えて」(デザイン事務所経営者)
だが、すぐにリモート勤務の社員からは不満の声が。
「自宅勤務はいいけど、クーラーつけっぱなしだから電気代が高くなるとクレームが入りました。最近は気温だけじゃなく電気代まで高いじゃないですか。で、秋になったらまた会社に来るの? 寒い冬はリモート? とか色々悩んでいますが、会社事務所は畳んで社員はフルリモート、浮いた事務所費用や通勤費用を社員に還元する形が一番いいかなと、今はそう考えてます」(デザイン事務所経営)
少し前までは、学校の体育館にクーラーを設置するニュースなどをに対して、年長者が「だらしがない」と嘆いたり怒ったりしていた。だが、近年の暑さは精神論で解決できない、生命の危機に備えねばならないほどの灼熱だ。もはやサングラスも、いい年をしたオジサンの半袖半ズボンも、暑さを凌いで、日常生活や経済活動を送るためには欠かせない手段になりつつある。