秋場所3日目の土俵入り。豊昇龍と平戸海の化粧まわしが揃っていない
化粧まわしも女人禁制?
化粧まわしは昇進時に後援会や出身校、スポンサーから贈られることが一般的だ。最近は相撲強豪高校や学生相撲出身者が多くなり、出身校の校章をデザインしたものが少なくない。化粧まわしの工房は全国に数か所しかなく、すべてがオーダーメイド。注文は日本橋三越の呉服特選サロンがほぼ一手に引き受けている。
漫画のキャラやイラストをデザインしたユニークな化粧まわしも増えている。横綱・大の里の師匠である二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)の横綱昇進披露宴で『北斗の拳』のケンシロー、ラオウ、トキの三つ揃えが話題になったし、今場所も関脇・若隆景が初日から締めているタレント・うつみ宮土理から贈られたうつみの顔のイラスト入りの化粧まわしがSNSで話題になった。日本橋三越の呉服特選サロンの担当者は言う。
「デザイン起こしから始まり、企業のロゴやキャラクターを使用する場合は関係各所への承認や確認が必要もありますが、できるだけ力士や贈り主の要望に沿えるようにします」
費用は生地やデザインによって大きく変わるが、最低でも300万円だという。デザインとしては「文字(力士の好きな漢字)」「四股名」「校章や国旗」「企業ロゴ」が主なパターンだという。厳しい制限ではないがNGとされるデザインも少なくないという。若手親方はこう話す。
「手をつけば負けの競技なので4本足の動物は前足を描かない慣習があり、龍や鶴といった手をつかない縁起のよい動物を選ぶことが多い。あと、黒星を連想させない色使いをしたりもする」
この若手親方によれば「土俵は女人禁制のため女性の入ったデザインは避けると現役時代は聞いていた」という。それならうつみ宮土理のイラストはNGとなるし、正代が不二家から贈られたペコちゃんの化粧まわしも該当しそうだ。
日本橋三越の呉服特選サロンでは「イラストや似顔絵、キャラクターで過去に問題になった例はない」としているし、「幕内土俵入りは俵の外を歩くので関係ないのでは」とする協会関係者もいる。ゲン担ぎが最優先される世界だけに、豊昇龍の三つ揃いが揃わなかった問題も気になるところだったが、豊昇龍も平戸海も当日に白星をあげたことが救いだったかもしれない。