留学中は他の中国人学生とともに人権問題に関心を持っていたという
フランス留学を終え、英国ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)で人類学修士課程に進学予定だった22歳の中国人女性・張雅笛さんが、今年7月に中国へ一時帰国した際、雲南省シャングリラ市でチベット人活動家と接触したことを理由に、「国家分裂扇動罪」で中国当局に拘束されていることが明らかになった。
張さんは湖南省長沙市出身で、2022年秋からフランスの大学に留学。留学中は他の中国人学生とともに人権問題に関心を持ち、特に中国政府によるチベット族への人権弾圧に抗議するデモに参加していた。また、フランスで「中国青年支援チベット協会」に加入し、活動を続けていたという。同協会は、海外在住の中国人学生を中心に構成される人権擁護団体で、チベット問題や新疆ウイグル自治区の人権問題にも取り組んでいる。
張さんは英国のSOASから奨学金を獲得しており、今月中に修士課程へ進学する予定だったが、湖南省の実家への帰省中に、チベット族の人権状況を調査する目的で雲南省シャングリラ市を訪問。現地でチベット族の活動家と接触した際に、国家安全局の要員によって拘束されたという。
現在、張さんは長沙市国家安全局の拘置所に拘禁されており、母親が弁護士に調査を依頼したことでその所在が判明した。弁護士および同協会は張さんの即時無条件釈放を求めているが、国家安全局は「国家機密に関与している」として弁護士との面会を拒否しているという。
中国刑法第103条第2項では、「国家分裂を扇動し、国家統一を損なう者」に対して、5年以下の懲役または政治的権利の停止などの刑罰が科されると規定されており、首謀者や罪状が重大な場合には5年以上の懲役が科される可能性もある。