2022年市長選当選時の田中甲氏
証言通りなら衝撃の事実だ。市長がライバルの票を削るために費用丸抱えでダミーの対立候補をレンタルするなど前代未聞だろう。
当時の市長選報道を見ると、全候補者の公約などが紹介される地元紙や地方版の記事でも、A子さんだけが「取材・撮影に応じなかった」という旨の不自然な記載になっている。
市川市選挙管理委員会に提出されたA子さんの選挙運動費用収支報告書を確認すると、「選挙用ポスター印刷代」と「ポスター貼り 選挙公報版下作成料」として合計約86万円を使い、全額「自己資金」で賄ったことになっていた。
真相はどうだったのか。
本誌記者がA子さんに取材を申し込むと、質問には基本的にイエスかノーでしか答えないという条件で取材に応じた。
――田中氏の後援会の方に頼まれて出馬した?
「イエス」
――選挙運動は一切していないのか。
「イエス」
――田中氏本人には会っていない?
「イエス」
さらに後日、選挙運動費用収支報告書と謝礼金についても再取材した。
――選挙費用はいくらかかったのか。
「存じておりません」
――誰が負担したのか。
「存じておりません」
――選挙運動費用収支報告書は作成したか。
「存じておりません」
――出納責任者は誰か知っているか。
「存じておりません」
――市長選出馬の謝礼金はいくらもらったか。
「わからないです」