「二歩」で負けるなど、話題に事欠かなかった(時事通信)
別居後は長男の親権について話し合うが、合意にいたらず訴訟となった。その後離婚は2022年5月に成立し、親権はAさんが持ち、養育費、慰謝料、財産分与はなかったという。その際、被告がSNS上に公開していたAさんに関する個人情報や誹謗中傷について非公開にすること、今後投稿しないことを約束したというが、その後にも橋本被告による投稿は止まなかった。
被告はAさんの住所をSNSで公開し、「Aは長男に危害を加えている」、「法外な金銭を請求した殺人鬼」などとも投稿。名誉毀損の対象はAさんに留まらず、その父親のBさんやAさんの弁護人にも及んだ。
Aさんのことを「仕事を奪った殺人鬼」などと投稿したことで、Aさんは橋本被告を名誉毀損で刑事告訴しており、2023年6月には懲役1年6月、執行猶予4年の判決がくだっていた。
「逃げろ!」
事件の日に話が移る。Aさんは自宅2階で寝ていたところ、父であるBさんの聞いたことのない叫び声で目が覚めたという。声のした1階へ向かう階段の途中で、橋本被告が立っていた。Aさんは寝起きで普段かけているメガネ等をしておらず、見えたのはぼんやりとした姿であったが、立っている人物のフォルムと「逃げろ!」という声で察した。手には棒状の何かを持っていた。
そのとき咄嗟に「ついに来たか」と思ったという。漠然と、いつか来るのではないか、攻撃されるのではと考えていたのだという。
来た道を引き返して2階の部屋に入り、自身の身体で扉が開かないように抑えたが、すぐに勢いよく開けられた。その勢いで、後ろに倒され尻餅をついた状態で、足が届くほどの距離で橋本被告と対面する。
橋本被告の右手にはクワが握られていた。必死に足をバタつかせ抵抗するも、橋本被告はそれを頭上まで振り上げた。
「殺される」ととっさに思ったAさんであったが、橋本被告は後ろから来たBさんに押し飛ばされたという。Aさんの体感としては、部屋に入って3~4秒ほどの出来事だという。