湊川親方(元大関・貴景勝)の引退相撲・断髪式では、元大関・北天佑である千葉有希奈夫人から花束が贈られた
昨年秋場所で引退した元大関・貴景勝の断髪式が10月4日、両国国技館で行なわれた。小池百合子・東京都知事ら300人がハサミを入れたが、現役時代に170キロあった体重が110キロまで痩せ、スリムになったスーツ姿がネットでも話題になった。
引退後は年寄「湊川」を襲名。常盤山部屋付きの親方として後進の指導をしているが、「湊川部屋」の創設を目指しているという。協会関係者が言う。
「新しい部屋を創設するためには、【1】最高位が横綱・大関、【2】三役を25場所以上、【3】幕内通算60場所以上、のいずれかの条件をクリアしたうえで、現役引退から1年を経過していないといけない。元大関の貴景勝は【1】の条件を満たし、すでに現役引退から1年を経過しているためすぐにでも独立が可能となる」
ただ、元大関・貴景勝の湊川親方は少し複雑な環境に置かれている。常盤山親方(元小結・隆三杉)が来年3月に65歳の定年を迎えるため、常盤山部屋の後継者問題が目前に迫っているのだ。
二所ノ関一門の若手親方は「貴景勝(湊川親方)が常盤山部屋を一時的に継承する可能性もある」と見ている。なぜ“一時的”なのか。
「貴景勝は相撲協会を退職した貴乃花親方が常盤山親方に預けた『旧貴乃花部屋の力士』のひとり。常盤山親方は2016年、後継者のいなかった元関脇・舛田山から千賀ノ浦部屋を継承し、2020年に常盤山部屋を創設した経緯がありますが、部屋の継承については貴景勝ではなく、『千賀ノ浦部屋時代からの弟子』である隆の勝に継がせたいと考えだとされます。
ところが、隆の勝はまだ30歳で、秋場所も1差で優勝を逃して5度目の敢闘賞を受賞。来場所は小結に昇進する。常盤山親方の定年までに引退は考えづらい。他に後継者は見あたらないため、貴景勝が部屋を一時的に継承するのではないか。ただ、貴景勝が『湊川部屋』を創設するのは既定路線。名跡交換をして常盤山部屋を継承するというより、貴景勝が部屋を創設して常盤山部屋の力士や床山、行司を一時的に預かる可能性があると見ています」