茂木健一郎氏が厳選した傑作選5
●アインシュタイン 科学者たちの罪と勇気
(初回放送日:2022年4月11日)
アインシュタインが生んだ相対性理論。やがてオッペンハイマーらによる原爆の開発へと繋がり、実際に広島、長崎に投下され、冷戦時代に米ソが核を突きつけ合うと、科学者たちは自責の念を吐露する。
「20世紀の文明も戦争も科学がもたらしました。その意味でアインシュタインは功罪相半ばする存在。生意気が災いして大学の研究者に採用されず、特許局の仕事に就いたのが天才科学者誕生のきっかけとなったエピソードも、バタフライエフェクト的で面白い」(茂木氏)
●ヒトラーVSチャップリン 終わりなき闘い
(初回放送日:2022年6月6日放送)
『ヒトラーVSチャップリン 終わりなき闘い』(C)NHK
1889年に4日違いで生まれたヒトラーとチャップリンの因縁を描く。チャップリンがサイレントで演じたキャラクターの見た目がヒトラーに似ていたことを始め、ともに映像で人々を熱狂させるなど共通点もある。その因縁が頂点に達したのが、ヒトラーを強烈に批判した初のトーキー作品「独裁者」(1940年10月アメリカで公開)。
「まだナチスが破竹の勢いの頃で、一歩間違えばチャップリンは身の危険に晒される。チャップリンの凄みが伝わり、シリーズの最高傑作です」(茂木氏)
●キューバ危機 世界が最も核戦争に近づいた日
(初回放送日:2022年6月27日)
『キューバ危機 世界が最も核戦争に近づいた日』(C)NHK
世界が最も核戦争に近づき、寸前で回避されるまでの13日間を描く。1962年10月、キューバに核ミサイルを発射できるソ連の基地が建設されつつあることが発覚。アメリカでは軍幹部がミサイル基地への先制攻撃を強硬に主張したが、時のケネディ大統領は最後まで抑制した対応を崩さなかった。
「米ソ、キューバの動きを1日ごとに時系列で描く手法が迫真。ちょっとしたすれ違いで危機が高まり、指導者のキャラクターが運命を分けるという歴史の本質、恐さもわかる」(茂木氏)