「メジャーに挑戦する可能性はゼロではないと思います」
ただし、石垣はW杯の決勝で登板し、敗れた直後に「指にかかったボールは通用するとは思いましたけど……まずは日本のプロ野球で実力をつけて、いずれメジャーに挑戦したい」と話していたが──。青柳監督が続ける。
「アメリカのスカウトに評価していただいているほど、石垣自身は現時点の自分の実力を評価していない。メジャーの球団と面談をしているのは、将来に向けた勉強の意味合いが強い。基本的には日本のプロ野球を選択するとは思いますが、面談を重ね熟考するなかで本人が『どうしてもアメリカに行きたい』と心変わりすれば、私たちも尊重するしかない。メジャーに挑戦する可能性はゼロではないと思います」
昨年には桐朋高校の森井翔太郎がプロ志望届を提出したあと、ドラフト会議前に全12球団に断わりの連絡を入れ、メジャー挑戦を表明。今年1月にアスレチックスとマイナー契約を交わした前例もある。
「日本のドラフトで指名をいただいたあとに、『やっぱりアメリカに行きます』とは今後のプロ野球とのお付き合いを考えれば絶対に言えない。アメリカ挑戦を決断した場合は、ドラフトまでに表明することになるでしょう」(同前)
花巻東時代の菊池雄星(エンゼルス)や大谷翔平(ドジャース)も断念した高卒即メジャーの挑戦となるか。今は石垣の決断を静かに待ちたい。
取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)
※週刊ポスト2025年10月17・24日号