「彼女と一緒にいるといろんなものを食べに行くし、いろんなものを作って食べさせてくれる。ハンバーグとかおいしいですよ」
メディアがスルーしたのは、14歳という年齢差に半信半疑だったのかもしれない。幸せな黒田さんは、ジェネレーションギャップもまた楽しいという。
「年齢差は流行り物や人気者の話とかが通じないときに感じるかな。彼女は元プロ野球選手の原辰徳さんを知らないだろうし(笑)。年齢差より、女性っていうのは、考え方が広い、というか大きいんだな、と感じます。1人だったときはやらなかっことをやったり、行かなかったところに行くようになりました。たとえば食事。僕はそれまで毎日納豆にキムチ、といった仙人のような食生活を送っていたんです。それでも平気だから。でも、彼女と一緒にいるといろんなものを食べに行くし、いろんなものを作って食べさせてくれる。ハンバーグとかおいしいですよ」
結婚を公表した直筆コメントには、
《ただ一緒にいられればいいと思っていましたが、これからは、家族として日常を、当たり前のことを深く愛していけたらと思います。まだまだ未熟な2人ではありますが 少しでも地球に優しい家族になっていきたい》
と書いた。2人が共有する価値観が込められている。
「たとえばペットボトル。便利・ありがたい・美味しい。水筒は手間・楽しい・美味しい。どっちも楽しめたら素敵だと思うんです。でもなるべく、身近なことで地球にゴミが出ないようにしていきたいんです。何でもありがたく楽しめたらいいと思ってます。」
現実的だ。最後に「黒田さんの夢は何ですか」と聞いてみた。すると、「世界平和」と大きく出た。その心は──?
「小さなことから大きな世界平和まで、僕は全部繋がっていると思うんです。たとえば、ネガティブなやり取りをしたら、相手もネガティブな気持ちになる。攻撃すれば反撃されるか、恨まれる。それなら、せめて目の前の人だけでもハッピーになるように心がければ、寝るときに『今日もまあまあ楽しかったなぁ』と、お互い思いながら気持ち良く熟睡できる。みんながそうやって毎日を送れれば、少しでも平和な世の中に近づけると思ったりするんです。そんな気がするんです」
黒田さんのこの気遣いや懐の深さが、やはり周囲を惹きつけるのだろう。
(了。前編から読む)
取材/文 中野裕子(ジャーナリスト) 撮影/山口比佐夫