ボウガンが凶器に(写真/AFLO)
弟の遺体すら犯行計画の一部と考える被告人
祖母の遺体を部屋に隠したあと、次は弟に焦点を絞る。ドアノブの音が大きいため、弟の部屋には入らず、洗面台にいるときを待った。「位置的にやりやすいと思ったので、ただそれだけ」などと場所を選んだ理由を語る。
午前6時、洗面所に弟がいるのを確認して矢を放った。命中はしたものの、即死には至らなかった。抵抗、反撃を恐れその場を離れ2時間放置した。その後、弟は自力で矢を抜くなどしたが、再び現れた被告人に撃たれた。
検察官は、2時間放置された弟の痛みを考えたのか、救急車を呼ぶまたは救命措置を講じたかなど確認する。被告人は「いえ、特に……」などと、まるでそんな選択肢すらないように答える。
検察官は被告人が罪悪感を覚えていないことを立証するために、当時の状況について細かく質問した。しかし聞く必要があったのかとすら感じるほど、被告人は一貫して罪悪感を抱いていない様子だった。
検察官「弟を2回目に撃った後、祖母の時と違って(弟の)遺体を動かしたりしていないのはなぜ?」
野津被告「その方が有利に働くと思ったので」
検察官「有利に働くとは?」
野津被告「その後呼ぶ、母親を殺す時に有利に働くと」
被告人の計画としては、母親も同様にボーガンで殺害する際に、弟の遺体に気を取られている方が撃ちやすいと考えたとのことだった。しかしその後、叔母が家にやってきた。