昔はディスコ、今は角打ちでしょ!
「若いころは横浜のディスコのバブリーガールだったけど、今は角打ちが楽しい。小机は下町で、昔の横浜って感じがバッチリ残ってるのよ。昭和の風情とともにね」など、元気な女性客が多いのも特徴で、明るい声が店内に響く。この店に集うお客さんはとにかく笑顔でフレンドリーだ。
「良い意味で、馴れ馴れしいことに躊躇がないのが小机らしさ。情に厚くて、誰とでも気楽に仲良くなれて、みんなでワイワイやっています。そんな場所を提供できていることで、街の活気につながるかな」(律子さん)
お客さん達に話しかけてみると、誰もが第一声で「自分は寡黙なんだけどね」と言うのだが、思い思いにお酒を楽しみながら、さまざまな話を聞かせてくれた。
教育関係の50代は、「小机は、明治時代に横浜に列車が走ったころから、シリコンバレーみたいな立場だったと思う。横浜に働きに出る人が住み、知性が集まっていた気がします」と教えてくれる。
かと思えば、50代の男性客(保険関係)は「気軽に毎日飲めるのがいいんだ」と、愉快に小机の“お酒数え歌”を歌ってくれる。
「月曜はスタートダッシュ、火曜はステップアップ、水曜はハーフタイムショー、木曜は前夜祭、金曜はカーニバル、土曜はクレイジーナイト、日曜はアイドリング、ほ~ら毎日飲めるでしょ♪」
ノリの良いお客さんが多く笑いが絶えない
再雇用の60代と20代のコンビは、酒が縁で繋がった同じ会社の同僚。
「角打ちは缶の本数が時計代わり。オレは軽く飲んで大体2缶がちょうどいい。でも『これ飲んだら帰るね』という人が3時間いることもザラ。『帰る帰る詐欺』が頻繁に起こっています」(60代/IT系)
「自分は飲んでいろいろと話したいんだけど、同期があまり飲まないから。だからこの時間が貴重。大先輩だけど歳の離れた友達です」(20代/同)
そして、みながいちばん楽しみにしているのは、看板娘の律子さんとの会話だ。
「ここは別名『スナック律子』と呼ばれているのよ。彼女としゃべりたい人は、混む前の5時台がおすすめ。“午後5時の女”という二つ名もあるくらいだから」(40代/流通系)
律子さんは、人生相談から、街の未来の相談まで、いろんな話の聞き役だ。
「学級委員には推薦されるけれど風紀委員には推薦されないタイプだと思っています。人生ずっとそうだった」と笑う彼女は、高校時代は剣道部主将で、曲がったことが大嫌いな性格の人気者だ。
「『律っちゃんも一杯どうぞ』って言ってもらえると、一緒に飲むこともあります。これは呑助のお客さんに教えていただいたんだけど、『もっと飲みたいのに飲めない人が一杯どうぞと言うんだよ』と。だから拒まないことにしている。その人の分を美味しそうに飲むことが大切で、大事なコミュニケーションなんです」(律子さん)
そんな話をしているそばから、「律っちゃんにも一杯!」とスッと缶が手渡された。みなで焼酎ハイボールで乾杯だ。「キリッとドライな味がいい。今夜も飲もうぜ!」。賑わいはまだまだ続く。
熱々のたこ焼きやソーセージには辛口の焼酎ハイボールが相性抜群
■Rapporti《ラポルティ》(小泉酒店)
【住所】横浜市港北区小机町2460-1
【電話】045-471-9018
【営業時間】15~23時 土日祝12~21時 火曜休
焼酎ハイボール276円、ビール大びん550円、ソーセージ盛り420円、たこ焼き400円、前菜3点盛り400円