増税派の「ラスボス」の異名を取る宮沢洋一氏

 第二の矢は、財務省への“刺客”として財務官僚出身の積極財政派、片山さつき氏を財務大臣として送り込んだことだ。

 財務省を長く取材してきた元東京・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が語る。

「片山氏は財務官僚時代に主計官として予算編成を担当し、数字に滅法強い。予算も財政も、財務省の手口も知り尽くしている。しかも、1982年入省の片山氏は財務省の新川浩嗣・事務次官(1987年入省)や宇波弘貴・主計局長(1989年入省)より先輩だから、宇波主計局長らが『予算のご説明を』などと言いくるめようとやってきても、『宇波くん、何言ってんのよ』とはねのけたり、逆に『勉強不足よ』くらいのことを言って追い返すこともできる立場です。片山氏が高市財政の推進役となれば、現役の財務官僚では太刀打ちできない」

 財務省には手強い“刺客”である。

 第三の矢が「政府効率化局」の設立だ。

 自民党と日本維新の会の連立合意文書には次の一文が盛り込まれている。

〈租税特別措置および高額補助金について総点検を行い、政策効果の低いものは廃止する。そのための事務を行う主体として政府効率化局(仮称)を設置する〉

 米国ではトランプ大統領が政府効率化省(DOGE)を設立し、イーロン・マスク氏をトップに据えて各省庁の予算を大幅に削減、公務員の大量首切りを行なったことはよく知られている。その日本版をつくり、租税特別措置(租特)、つまり各業界への税制優遇や無駄な補助金に大鉈を振るおうというのだ。

「租特は企業が研究開発や設備投資をすれば税金をまけてやるといった制度で、各業界に細かな税制優遇措置が決められている。いわば財務省が大企業に与えるアメです。この特典で財務省は大企業、財界を味方につけてきた。租特に切り込めば、財務省には大ダメージになる」(長谷川氏)

第2回に続く

※週刊ポスト2025年11月7・14日号

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