片山さつき一覧

【片山さつき】に関するニュースを集めたページです。

元タレント、アスリートから党首まで…参院選注目の女性候補者たち
元タレント、アスリートから党首まで…参院選注目の女性候補者たち
 6月22日に公示され、7月10日の投開票に向け各候補者の動きが活発化している参議院選挙。今回、選挙区・比例合わせて520人を超える候補者の中で、女性の候補者は170人以上。全体の30%を超える割合は過去最高の数値だ。だが、同時に水面下で火花を散らす“女の戦い”も勃発しているようで──。元タレントから党首まで過去最多170人以上の女性が立候補予定! 混戦必至の夏の陣に出馬した注目候補を紹介しよう。【※候補者名の横の記載は、党派、選挙区(比例代表の場合は「比例」】●生稲晃子氏(54才)自民党 東京 今回の参院選の“注目株”筆頭は、元おニャン子クラブの生稲氏。「選挙の華」としての期待を受け「政治家として全身全霊、国民のために働きたい」と自民党より出馬表明。だが、6月には参院選に出馬する関係で出演番組が“お蔵入り”となり、制作会社に900万円の損害賠償を求められる騒動があった。“うしろ髪をひかれない”活躍ができるのか。●蓮舫氏(54才)立憲民主党 東京 6年前の参院選では112万票を獲得しトップ当選を果たした蓮舫氏は、激戦必至の今年の東京選挙区で「当確」という噂も。だが、3月には俳優として活動していた長男・村田琳が元自民党国会議員で実業家の糸山英太郎氏と養子縁組をし、自民党に入党したと報じられるという“逆風”もあった。失意を乗り越え当選なるか。●青木愛氏(56才)立憲民主党 比例 テレビ番組のリポーターなどを務めた元タレントの青木氏が立候補。過去には小沢一郎衆議院議員との不倫疑惑が報じられたことも。●松野明美氏(54才)日本維新の会 比例 日本維新の会から比例代表に出馬したのが陸上女子長距離の元エース選手・松野氏。引退後はコーチやスポーツキャスターなどを務めた後、地元の熊本市議に無所属で当選、熊本県議となってからは再選時にトップ当選するなど支持は厚い。立憲民主党からの出馬要請を辞退して日本維新の会からの立候補となったが、その判断はどんな結果をもたらすのか。●高見知佳氏(59才)無所属 愛媛 立憲民主党の推薦を得て無所属での初挑戦となるのが高見氏。『くちびるヌード』のヒット曲で知られ、多くの映画やドラマ、バラエティーに出演。現在は故郷の愛媛で地元ラジオなどに出演している。「子供のための未来投資」を軸に活動中だが、いまではネットで「たかみちか」と検索すると、アイドルアニメのキャラクターが上位にくることが悩みだとか。●海老沢由紀氏(48才)日本維新の会 東京「女の戦い」が熾烈を極める東京選挙区に、日本維新の会から立候補したのは元プロスノーボーダーの海老沢氏。“維新の美魔女”と称される美貌の持ち主でもあるが、6月12日の街頭演説会では同じく日本維新の会の猪瀬直樹氏から「公然セクハラ」ともとれるボディータッチを受ける。本人は否定、猪瀬氏との“良好な関係”を説明しているが…。●今井絵理子氏(38才)自民党 比例 元SPEEDのメンバーで、2016年の参院選で初当選した今井氏は、今回2期目の当選を目指して立候補。初当選の1年後には不倫疑惑が報じられ、批判を浴びた。5月には鹿児島県徳之島で闘牛祭りに参加した際に牛から落下して骨盤を骨折、車いすで街頭演説を行ったことも。●三原じゅん子氏(57才)自民党 神奈川 3期目の当選を目指す三原氏は、神奈川選挙区でダントツの人気を誇る。2016年には100万票を獲得してのトップ当選、今回も菅義偉前首相が応援に張り付くなど全面バックアップの構えだ。女優としては1979年の『3年B組金八先生』(TBS系)で人気急上昇。●八幡愛氏(34才)れいわ新選組 大阪 元グラビアアイドルでタレントの八幡氏は、れいわ新選組からの立候補。政治の勉強のため通信制の大学に入学した現役大学生でもある。●片山さつき氏(63才)自民党 比例 自民党の元地方創生担当相・片山氏は6月14日、党内最大勢力の安倍派の参議院議員でつくるグループ「清風会」に入会したことが話題に。だが、それまで所属していた二階派とは、退会の意向を「言った」「言わない」で大モメし、泥仕合の末に退会。余計な“場外乱闘”を経ての立候補となった。●福島瑞穂氏(66才)社民党 比例 参院選で得票率2%をクリアできなければ政党要件を失い、事実上の「消滅」という崖っぷちの危機にある社民党。党首の福島氏は比例での立候補。「憲法9条を変えよう、その動きが参議院選挙で強まります。社民党、踏ん張りたいんです」と訴えた。●辻元清美氏(62才)立憲民主党 比例 昨年秋の衆院選で落選した参院選の“新人”辻元氏。公示前の街頭演説では「へこたれへん」と書かれたたすきをかけながら、「修羅場を踏んだ女がガチっといきますわ」と“辻元節”を炸裂させた。参議院に“新しい風”を吹かせられるか。撮影/『女性セブン』写真部 写真/時事通信社、共同通信社、アフロ※女性セブン2022年7月7・14日号
2022.06.25 16:00
女性セブン
【動画】片山さつき氏告白「二階俊博」の名を修正テープで消した理由
【動画】片山さつき氏告白「二階俊博」の名を修正テープで消した理由
 自民党二階派からの退会をめぐり派閥と対立していた片山さつき議員。 4月11日に開催するパーティーの案内状の発起人から、二階俊博元幹事長の名前が修正テープで消されていました。 これについて片山議員は「二階派を離れることはご了解いただいていると思っていましたので、政経セミナーの発起人をお願いすることとしました。しかしその後、退会勧告通知が出てきた。了解されていないとも考えるようになり、1月21日以降に関しては、二階先生のお名前を発起人から外すようにした」とコメントしています。【↑ 上の写真クリックで動画へ】
2022.04.06 12:00
NEWSポストセブン
片山さつき
片山さつき氏が告白 「二階俊博」の名を修正テープで消した理由
 夏の参院選まで3か月あまりに迫り、大型連休前後は政治資金集めパーティラッシュだ。4月26日に茂木派、5月16日には二階派など、各派や候補予定者たちがパーティーを予定している。 ある自民党議員の事務所スタッフは、送られてきたパーティーの案内状を見て違和感を感じたという。ズラリと並ぶパーティー発起人のうちの1人の名前が、わざわざ修正テープで消されていたからだ。発起人名の訂正など珍しい。何事が起きたのか。 確認のために慎重に修正テープを剥がしてみると、そこには、「二階俊博」という名前があった。やっぱり──。 この案内状は夏の参院選で改選を迎える片山さつき・自民党総務会長代理が4月11日に開催する政経セミナーのもの。会場はホテルニューオータニ「鶴の間」、安倍晋三・元首相の「記念講演」が行なわれることが書かれている。  片山氏といえば、二階派からの退会をめぐってこの2月に大騒動が起きたばかりだ。二階派は片山氏が昨年12月から派閥の会合に出席せず、安倍派入りの観測が流れていたことから、2月21日に「二階派に所属する国会議員の信用を著しく失うものであり、かつ何ら是正も見られない」という内容の異例の退会勧告通知書を送ると、片山氏は2月23日に「事実関係を訂正する」と“緊急会見”し、「昨年12月24日に二階先生に(退会の意思を)はっきりお伝えした」と反論。「(通知は)完全に嫌がらせ」「明確に(派閥を)離れるという人に、後ろから石を投げている。身に覚えのないことで。これは完全に人権侵害」などと二階派の対応を猛然と批判した。それに対して二階派も片山氏の主張に「事実無根」と再反論するなど泥仕合となり、二階派との関係がこじれまくっている。 そうした経緯があるだけに、片山氏のパーティーの案内状の発起人から二階俊博・元幹事長の名前が消されていたことも、さもありなんと受け止められたのだ。もっとも、案内状の発起人には二階派会長代行の中曽根弘文・元外相の名前があり、修正テープで消されていたのは二階氏の名前だけだ。二階氏から発起人を断わられたのか、それとも片山氏の判断で消したのか。「どこからもクレームなど入っていません」 片山氏が名前が消えた経緯を詳細に説明してくれた。「二階派の件については、私自身は二階先生から了解をいただいているという認識だったんです。昨年12月24日に二階先生と20分に渡りお話しをさせていただきました。そもそも政界って言うのは、来るものを拒まず、去る者を追わずじゃないですか。しっかり私も派閥を離れることをお伝えして、それで了解を得たと考えていました。 ところが2月21日に手紙(編集部注・退会勧告通知)が来るわけです。それを見て、私の認識がちょっと違っていたのかと考え直しました」 片山氏は政経セミナーの発起人の件についてはこう話す。「私は12月に二階派を離れたわけですが、政経セミナーの発起人に二階先生が入っているのは二階派の長としてではなく、元幹事長ですし、私とのお付き合いもあるので、そういう意味で発起人になっていただくことにしたんです。二階派では中曽根弘文先生も発起人にいらっしゃいますが、これも二階派の関係ではなく、参議院会長をお務めになられていたので、参議院ということで発起人をお願いしています。二階派だからという人選ではないんです。 12月のお話で、二階派を離れることはご了解いただいていると思っていましたので、1月に政経セミナーの発起人をお願いすることとしました。要請は事務所同士で行なっており、二階先生の事務所にご了承いただいたということなんです。発起人をお願いしたいという要請に、『どうぞ』と受けていただいたということなんです。 ところがその後、手紙(編集部注・退会勧告通知)が出てきた。それで私のほうも、了解されていないとも考えるようになり、1月21日以降に関しては、二階先生のお名前を発起人から外すようにしたんです。これは誰から要請を受けてと言うことではなく、あくまで私の自主判断です。どこからもクレームなど入っていません。 ですから、1月21日よりも前にお配りした分(編集部注・案内状)については二階先生のお名前がありますが、それ以降に配布したものについては、修正テープでお名前を外しています」 ちなみに、片山氏は2月の緊急会見の中で「3月13日の自民党大会までに新たな所属派閥を明らかにする」とし、安倍派入りについて「今から手続きを取っていく。安倍晋三・元首相に任せている」と語っていたが、正式に入会を果たしたという。 派閥の勢力を競い合う自民党では議員の引き抜きは派閥間の揉め事のタネになりかねないが、片山氏の今後や如何に。
2022.04.01 18:00
NEWSポストセブン
来年夏の参院選挙ではどんな政治家が改選を迎えるか
三原じゅん子、今井絵理子氏ら 来夏参院選に出馬する9人の“不行跡議員”
 小選挙区で落選させたはずの不行跡議員の多くが比例で復活し、「自民党に勝たせすぎた」と臍(ほぞ)を噛んでいる有権者は少なくないのではないか──。だが、リベンジのチャンスは近くやって来る。来年夏の参院選挙まで1年を切った。 参院選の場合、選挙区の候補者は比例代表に重複立候補できないし、比例候補も全国の有権者に自分の名前を書いてもらった得票数で当落が決まる。衆院選より落選運動が威力を発揮する選挙制度といえるのだ。 来夏はどんな政治家が改選を迎えるのか。参院改選組は“下半身スキャンダル”の宝庫ともいえる。 野田聖子・こども政策担当相の元夫(事実婚)として知られる鶴保庸介・元沖縄北方相(和歌山選挙区)は、18歳年下の女性と“デキ婚”し、出産から2か月後に離婚届を出して、養育費の支払いを滞納するなど元妻とトラブルになっていたことを本誌・週刊ポストが報じた。 三原じゅん子氏(神奈川選挙区)は交際中の男性を次々に公設秘書にして「公私混同」を批判されてきたし、元神戸市議との「パジャマ不倫」を批判された今井絵理子氏は、お相手が政務活動費の不正受給事件で立件(有罪判決)された後に交際宣言していた。 コロナ対応に追われる厚労省での“職場不倫”が報じられたのが自見英子・自民党女性局長だ。小児科医でもある自見氏は厚労政務官だった昨年、一緒にダイヤモンドプリンセス号の対応にあたった橋本岳・厚労副大臣と議員宿舎などで密会していたことが報じられた。 現職大臣にもスキャンダルがある。末松信介・文科相(兵庫選挙区)は選挙時に自分の政党支部から受けた1157万円の寄附の処理について市民団体から政治資金規正法違反で告発され、前回改選時に収支報告書の訂正を迫られた。 二之湯智・国家公安委員長(京都選挙区)は公設秘書だった男が選挙区内での現金1億円の強盗致傷で逮捕され、今年3月に懲役13年の実刑判決を受け、控訴している。そんな人物を公設秘書に起用した責任が批判されている。 他にも、石井浩郎氏は金融取引で証券会社から利益提供を受け、片山さつき氏は国税局への口利き疑惑が報じられた。片山氏は口利きを否定しているが、関東信越国税局に電話していたことが産経新聞の情報公開請求で明らかになった。 元外務官僚の松川るい氏は高齢者施設のコロナ対策に関する国会審議で、「高齢者は歩かないから」とヤジを飛ばして謝罪に追い込まれている。 有権者はこうした議員たちの言動や報じられた疑惑に対してどんな姿勢で説明責任を果たしてきたかを検証、評価して「議員にふさわしくない」と判断すれば――今度は参院選で1票の鉄槌を下すことができるのだ。※週刊ポスト2021年11月19・26日号
2021.11.12 11:00
週刊ポスト
国の先を行く対応が光った(時事通信フォト)
辣腕が光る北海道知事 「まっすぐ突き進む男」が妻の評価
 新型コロナウイルス騒動で、国に先駆けて道内の小中学校の一斉休校を要請した北海道の鈴木直道知事(38)。「政治判断の結果責任は私が負う」と断言し、緊急事態宣言の発表やPCR検査体制と病床数の増強を行うなど、迫る脅威にリーダーシップを発揮して注目される若手知事は、これまでの半生で数多くの困難を乗り越えてきた。 全国最年少で広大な北海道の首長となったイケメン知事には華やかなイメージがあるかもしれないが、実は苦労人だ。高校生の頃に両親が離婚し、引っ越しや工事現場などでアルバイトをしながら高校に通った。高卒で東京都庁に入庁すると、昼間は働いて夜は法政大学の二部で地方自治を学んだ。大学では体育会のボクシング部に所属し、公務員、大学生、ボクサーという「三足のわらじ」を履きこなした。 2008年1月に東京都の猪瀬直樹副知事(当時)の提言で、北海道夕張市に出向。かつて炭鉱の町として栄えた夕張は2007年に財政破綻し、行政サービス削減で図書館や公衆トイレが閉鎖されて、市役所では全体の半数近い100人ほどが退職した。苦境に追い込まれた市民は「よそ者」に心を開く余裕を持たなかったが、東京からやって来た26歳の若者は身一つで雪降る街に飛び込んだ。 経費削減で17時に市役所の暖房が切れた後、マイナス10度の厳寒のなかスキーウエアを着て仕事を続けた。週末は除雪ボランティアに顔を出し、様々な団体の会合や活動にも積極的に参加した。予算が限られるなか、「お金がなければ、ないなりにやる」をモットーに、それまでの夕張の若手職員では考えられなかった提案を次々に行った。 夕張市の目玉イベントである「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」では、特産品である夕張メロンの濃縮果汁を使ったポップコーンのアイデアを出した。大事なブランド品だから農協が協力しないだろうと周囲が躊躇するなか、「映画祭で売れれば、今度はメロンのある時期に来てくださいとPRできる」「夕張メロンは商標だから農協にロイヤリティが入る」と説得して、とうとう農協にゴーサインを出させた。 財政難で中止していた雪まつり「ゆうばり寒太郎まつり」では協賛金が全盛期の10分の1しか集まらないなか、業者に頼み込んで重機をタダで借りて設備を整え、よさこいを踊る場所を探していた学生グループに声をかけて参加してもらった。2009年2月、鈴木氏の奮闘で15年ぶりに復活した寒太郎まつりは大盛況となった。 2009年7月には学生ボランティアとともに市内の全世帯を訪ね歩いて住民の生活意識を聞き、分厚い報告書を作成した。その成果は財政再生計画に盛り込まれた。 当時、市役所関係者は鈴木氏の手腕をこう評していた。「『これは無理だろう』と外から見ていたことが、彼がかかわるとなぜかできてしまう。不思議な魅力にみんなが引き込まれて、ボランティアで協力しちゃうんです。もともと夕張は炭鉱労働者の町で、“お金がなければ、みんなで助け合えばいい”という文化があったのですが、外から来た鈴木くんに改めて夕張の歴史を気づかされた気がしました」◆約束された都職員の道を捨て夕張市長選に 2010年3月末に2年2か月の出向を終え、後ろ髪を引かれる思いで都庁に戻ったが、半年後に夕張の未来を憂う市民の有志から、「市長選に出てほしい」との要請があった。 当時の鈴木氏はローンで埼玉県内の分譲マンションを購入し、婚約者もいた。都職員を辞めて市長選に立候補しても当選の保証はなく、たとえ夕張市長となっても月収は約26万円で年収は都職員より200万円下がる。普通に考えたら出馬はあり得ない選択だったが、3週間ほど悩み抜いた末に出した結論は「よし、出よう」だった。 当時、ハムレットの心境にあった鈴木氏の背中を押したのはウインストン・チャーチルのこんな言葉だった。《お金を失うことは小さく失うことだが、名誉を失うことは大きく失うことだ。しかし、勇気を失うことは全てを失うことだ》 市長選のライバルは自民党の前衆議院議員で小泉チルドレンの飯島夕雁氏。鈴木氏の応援には当時の石原慎太郎都知事と猪瀬副知事が駆け付け、飯島陣営には武部勤、片山さつき、橋本聖子ら現職国会議員が姿を見せた。激しい選挙戦に揺れた人口1万1000人の小さな町が選んだのは、とことん夕張を愛する30歳の新人候補だった。 2011年4月に夕張市長に就任すると財政再生計画の抜本的な見直しを進め、JR石狩線夕張支線の廃線や全国初のコンパクトシティ計画の策定などの成果を残した。2019年1月、「活力あふれる北海道にしたい」とまたも退路を断って知事選に出馬し、見事当選した。「彼はまっすぐに突き進むから『直道』という名前がぴったりです。困ったときに強いから、頼りがいがあります」──夕張市長に就任直後、当時婚約者だった鈴木氏の妻が、未来の夫について筆者に語った言葉だ。「若すぎる」や「経験不足」という批判は鈴木知事にとって聞きなれたものであるはず。全国でただひとりの30代知事がこれまでの人生のように、勇気をもってまっすぐに突き進み、ウイルスという未知の困難に打ち勝つことを期待したい。●取材・文/池田道大(フリーライター)
2020.03.12 07:00
NEWSポストセブン
小沢一郎氏の評価は(時事通信フォト)
安倍内閣は「失言の火薬庫」 参院選敗北の気配が濃くなる
 永田町であるジンクスが囁かれている。「元号が変わると政権が崩壊する」──過去に、明治・大正・昭和・平成と元号が変わった際も、当時の政権は半年も持たずに崩壊している。安倍政権も例外ではない。盤石に見える政権に、実はこんなにも“落とし穴”があった。「12年前を少し思い出してしまう」 BSフジの討論番組(4月10日放送)に出演した林芳正・前文科相は、桜田義孝・五輪相更迭の一報を聞いて思わずそう口にした。 12年前の第1次安倍政権は失言や事務所費問題で5人の大臣が辞任し、支持率は急落。国民の批判を浴びて参院選に大敗、総辞職につながった。 今年も夏に参院選を控える中、「忖度発言」の塚田一郎・前国交副大臣に続いて桜田氏と4月だけで2人が失言で辞任。萩生田光一幹事長代行が、10月の消費増税に関し、延期を示唆したことも批判を浴びた。しかも、閣内には“ハイリスク大臣”たちが控えている。 日経新聞政治部OBの政治ジャーナリスト・宮崎信行氏は、現内閣は「失言の火薬庫」だと指摘する。「失言王の麻生太郎・副総理に“炎上女王”の片山さつき・地方創生相、『教育勅語は道徳に使える』発言で物議を醸した柴山昌彦・文科相、さらに大臣政務官には財務省のセクハラ騒動の際に『(野党の女性たちは)セクハラとは縁遠い方々』とツイートして炎上した長尾敬氏をはじめ注意が必要な“魔の3回生”が並んでいます」 参院選敗北の気配は日に日に濃くなっている。「自民党は大阪ダブル選挙で大敗し、続く沖縄と大阪の衆院補選でも2敗。自民党選対は参院選で取りこぼす心配がある激戦区を11から16に増えたと判断してテコ入れを図っているが、参院選はただでさえ改選議席が多い自民党の大幅減は避けられない情勢です」(政治ジャーナリストの野上忠興氏) そうなれば、選挙責任者の二階俊博・幹事長は参院選後の引責辞任が避けられない。 ただし、実力者の二階氏の更迭は首相にとって虎を野に放つようなもの。「二階派が反主流派に回って一気に安倍降ろしに走り出す可能性がある」(同前)からだ。 自民党大乱の始まりになる。※週刊ポスト2019年5月3・10日号
2019.04.25 16:00
週刊ポスト
2018年9月、九州北部豪雨の被災者にお言葉をかけられる皇太子ご夫妻(共同通信社)
新天皇の最初の儀式・剣璽等承継の儀 女性皇族は参列できず
 新元号「令和」も発表され、いよいよ迫ってきた皇位継承の時。4月30日に現在の天皇陛下が退位され、5月1日から新天皇が即位する。◆「剣璽等承継の儀」女性閣僚はOKなのに女性皇族は参列できない 新天皇が最初に臨む儀式である『剣璽等承継の儀』は、「御代がわりで最も重要な儀式」という。神道学者で皇室研究者の高森明勅さんが話す。「皇位のしるしとして、神聖なものである三種の神器を受け継いだことを公に示す剣璽等承継の儀は、昭和天皇が崩御され、悲しみの中でも3時間半後に行わなければならなかったほど、重要な儀式です」 この儀式に参列できる皇族は、成年男性皇族のみだ。今回なら常陸宮さまと秋篠宮さまの2人で、皇位継承権のない女性皇族は立ち会われない。「それは、明治時代の旧皇室典範に付属した『登極令』に盛り込まれた『女性皇族の排除』を踏襲しているからです。現代の国民感覚からはずれていると思います」(高森さん) 政府は今回、片山さつき地方創生担当相など、女性閣僚の参列は認めた。儀式の模様が世界中に報じられる際、“男女不平等”と評価されかねないことを避けるための措置のようだ。京都産業大学名誉教授の所功さんは指摘する。「現在の皇后さま、女性皇族方も、天皇のお務めを一部分担、代行される重要なお立場です。今後、重要な儀式にはお出になられるように検討するべきでしょう」◆「雅子新皇后」の正式な初お目見えは「即位後朝見の儀」 そうした状況から、5月1日の剣璽等承継の儀には雅子新皇后は参列されない。その姿を見られるのは、同日の「即位後朝見の儀」になりそうだ。その後、5月4日の一般参賀で新両陛下が並ばれる初のお目見えとなる。では、新皇后としての「おことば」はいつか。「即位後朝見の儀でも一般参賀でも、特別な配慮がない限り、雅子さまのお言葉を聞ける可能性は低いでしょう。10月22日の『即位礼正殿の儀』でも、皇后のお言葉を聞く機会は考えられません。となると、12月の雅子さまのお誕生日までそのタイミングはないかもしれません」(高森さん) 儀式の最中で雅子さまの体調が悪化し、途中退席されるようなことは避けたい。そのため、万全の注意が払われ、式典の前後では皇室行事を簡素化。10月のパレード(祝賀御列の儀)後の「饗宴の儀」も、前回の計7回から、今回は4回に縮小される見込みだ。「雅子さまのお誕生日のメッセージの分量は年々増えています。ご病気の発表後、短い文章でご自身の体調や愛子さまのことなど身近な話題ばかりだったのが、国内や世界のことなどに言及されるようになりました。メッセージだけを拝見していても、快復されていることがわかります」(高森さん)※女性セブン2019年4月18日号
2019.04.08 16:00
女性セブン
漫画『中島ハルコ』のモデルとなった女性社長が語る“金言”
漫画『中島ハルコ』のモデルとなった女性社長が語る“金言”
《すべての女性が輝く社会》キャッチフレーズは踊るが、現実はついていかない。安倍政権は2020年に女性管理職の比率を30%に高める目標を掲げているが、第4次安倍改造内閣の女性閣僚は、片山さつき内閣府特命担当大臣(59才)のひとりだけ。2012年に第2次安倍政権が発足して以来、女性閣僚の数は最も少ない。 財界も同様だ。日本の上場企業3655社のうち、女性が社長を務める会社は39社。割合はわずか1%だ。だが少しずつではあるが、その「岩盤」は崩れてきている。「女性が事業を興すなんてありえない」──そんな時代に起業した、実在のとある女性社長をモデルにしたコミック『ハイパーミディ中島ハルコ』(集英社)が注目を集めている。 原作は作家・林真理子さんの『最高のオバハン 中島ハルコの恋愛相談室』(文春文庫)で、美容関連のIT企業社長である中島ハルコ(52才・バツ2)が毎回、「あなたみたいな中途半端な女には男は寄ってこないわよ」「愛人なら愛人らしくもっと謙虚になりなさいよ!!」と舌鋒鋭く、世の悩める男女を批評する。 口調こそ厳しいが、妙に説得力のあるハルコの金言がたまらない作品だ。「アラフォー女性を中心に、幅広い世代に読まれています。パワフルでチャーミングなハルコさんが人気で、『読んでスッキリする』『元気が出る』との感想が届きます。ちなみにタイトルの『ハイパーミディ』は、原作の『最高のオバハン』を英語風にした東村アキコさん考案の造語です」(集英社・コミックス担当編集者) 中島ハルコが社長になったと推測される20~30年前、日本の女性社長はきわめて珍しかった。『女性社長.net』の運営者で、女性経営者をサポートする株式会社コラボラボの横田響子さんが指摘する。「当時、女性が社長になることは超レアケースでした。女性が起業しようとしても家族やパートナーが積極的に賛成せず、せっかく社長になってもさまざまな偏見に苛まれて、男社会の価値観に同調する『男性化』が求められました。当時の女性社長は、今とは比べものにならないほどたくましかったといえます」 帝国データバンクの調査では、2018年4月末時点の日本企業における女性社長の比率は7.8%。30年前の4.2%以降、ゆるやかに上昇してはいる。女性社長は男性と比べて「同族継承」(50.4%)の割合が高いが、「内部昇格」(8.3%)や「出向」(0.4%)の割合が低い。これは、配偶者や親から経営を継承する女性が増えたが、「実力本位」で社長となる女性がまだ少ないことを意味する。 一方で、起業による社長就任の割合は35.6%だ。「近年は世の中の意識の変化とITの発達により、管理職経験者である50代の独立や20代のベンチャー経験者の起業が珍しくなくなりました。女性が起業する理由は昔からあまり変わらず、男性が規模拡大や儲けを重視する一方、女性は“お客さんを幸せにしたい”という思いを優先する傾向があります」(横田さん) 今をときめく女性社長はどんな“思い”を抱くのか。◆女性は男性から嫉妬されてこそ一人前よ!「私が何気なく言ったことを林真理子さんはよく覚えています。『中島ハルコ』が人気なのは、きっと今の若い子たちがバシッと怒ってくれる人を欲しているからでしょうね」 と語るのは、奥谷禮子さん(68才)。林真理子さんと親交が深く、『ハイパーミディ 中島ハルコ』のモデルになった女性で、コミックに登場する数々の金言はすべて奥谷さんの口からリアルに発せられたものだ。 奥谷さんは1982年、31才の時に人材派遣会社「ザ・アール」を設立。37年間代表を務めた後、昨年から新たにコンサルティング会社を立ち上げた。当時、日本に「若い女性起業家」は皆無に近かった。「当初は『アールです』と営業の電話をすると、銀座のクラブのツケの催促と間違われてガチャンと切られたものです(笑い)。日本のビジネス界は100%の男社会。女性は外国人以上に“異邦人”でした。政治も経済も男性中心に回っていることを否定しても仕方がない」(奥谷さん・以下同) 奥谷さんは、「まず“男社会の仕組み”を徹底的に理解して、自分のものにしてやろうと思った」と話す。「朝から夕方までめいっぱい働いて、ほぼ毎日、夜は会食。銀座や赤坂の料亭に行って、カラオケやクラブに飲みに行く。信頼関係をつくるのに女も男もないから、徹底的につきあうしかないんです」 企画書の作り方、営業のやり方、請求書の送り方…ビジネスでわからないことは、何でも周囲に教えを乞うた。仕事で失敗して、取引先に何度も怒られても、「やっぱり女性には無理だ」と言われるのが悔しくて食らいついた。「約束の時間に遅刻しないこと、お会いした人にお礼状を書くこと、徹底的に健康管理をして体調を崩さないことなど、ビジネスをする上で基本的なことはすべて、若い頃、先輩たちに厳しく教わりました。 男だって一心不乱に仕事をしているんです。女だからって、手加減してもらえるわけじゃない。さらに言えば、男性にとっても、仕事のできる女性たちは自分の地位を脅かすライバルであって、“優しくしてあげよう”なんて思うはずもない。厳しいけれど、それは当然のことなんです」 35才の時、日本を代表する企業経営者団体「経済同友会」の初の女性会員になった。「ようやく男性経営者から、“嫉妬”されるようになりました。やっと一人前だと認められたんでしょう」 今は後進の女性経営者たちを育てる立場でもある。「働く女性たちは、2つのパターンの壁にぶつかります。1つは、仕事に“逃げ道”をつくりがちなこと。家庭や育児はたしかに大変ですが、任された責任を果たさないと、次から仕事は回ってきません。 もう1つは、仕事に集中するあまりに視野が狭くなることです。男でも女でも、趣味の少ない人って魅力的じゃないですよね? ファッションでもアートでもスポーツでも、多彩な人って一緒にいて楽しい。それは社会の中で、たくさんの仲間をつくるためには必須なことだと思いますよ」 これからの日本がもっと元気になるためには、どうするべき?「女も男も、体力がなさすぎる。何事もやり通すには、基本は体調管理であって、体力がなければ話になりません。 そして、チャレンジ精神を持つこと。怒られたら、失敗したら、それはラッキーです。次の挑戦をする時の“ノウハウ”になるんだから。命まで取られるわけじゃないんです。一度しかない人生、女だって、やりたいことに挑戦し続けなきゃ損よ」【プロフィール】CCCサポート&コンサルティング 代表取締役会長兼CEO 奥谷禮子(おくたに・れいこ)●1950年、兵庫県出身。甲南大学法学部卒業後、日本航空に入社。国際線客室乗務員として3年、その後、VIPルームで勤務。1982年に職場の同僚女性と「ザ・アール」を設立、社長に就任し、2014年会長に就任。2018年3月同社を退社して、現職。※女性セブン2019年3月21日号
2019.03.08 07:00
女性セブン
7月参院選前の内閣改造 桜田氏と片山氏去り進次郎氏入閣か
7月参院選前の内閣改造 桜田氏と片山氏去り進次郎氏入閣か
 御代がわりの2019年のニッポン政治に何が起きるのか。安倍首相が1月召集の通常国会に9条改正の憲法改正案を提出すれば、自公連立の枠組みが大きく揺れ始める。北方領土の雲行き次第では解散→W選も。はたまたそれが“前倒し都知事選”(現在の小池都知事の任期は五輪期間中に切れる)の引き金になり得るという見方もある。 7月参院選単独か、ダブル選挙か、トリプルか。いずれのケースでも、選挙前に内閣改造が行なわれる公算が高い。「USBは穴に入れるらしい」の答弁で世界に名を馳せた桜田義孝・サイバーセキュリティ担当相やスキャンダルが止まらない片山さつき・女性活躍相を交代させておく必要があるためだ。 新入閣の目玉はズバリ、小泉進次郎氏だと予測するのは評論家の屋山太郎氏だ。「仮に4月の統一地方選で自民が苦戦し、景気の減速などで支持率が低下する事態に直面すれば、参院選前に“進次郎入閣カード”が切られる可能性がある。安倍総理よりも菅義偉・官房長官のほうが強い関心を持っていると考えます。 参院選勝利のためならあらゆる手を打つ覚悟の菅氏が劣勢を挽回するために有効と判断すれば躊躇うことはない」 注目されるのはポストだ。屋山氏はこう見る。「可能性が高いのは官房副長官ですが、農業改革や社会保障改革に取り組んでいることから農水大臣や厚労大臣もある。政権内で影響力が大きくなる一方の菅氏がやらせると言えば、進次郎と折り合いが良くないとされてきた安倍総理もノーとはいえません」※週刊ポスト2019年1月11日号
2019.01.09 07:00
週刊ポスト
起源は江戸時代の「自己責任論」 論者が分析するその姿
起源は江戸時代の「自己責任論」 論者が分析するその姿
 ここまで世論が極端に割れることは、珍しい。内戦下のシリアで、武装勢力に拘束されたジャーナリストの安田純平さん(44才)が10月末、約3年4か月ぶりに解放されて帰国したことについての、日本社会の反応である。 日本政府による渡航自粛要請を無視して現地入りした後、武装勢力に拘束されて多額の身代金を要求された安田さんを待っていたのは、助かってよかったという安堵の声と、激烈なバッシングだった。どちらかというと、後者の方が声が大きく、「国に迷惑をかけるな」「われわれの税金を無駄遣いするな」などという「自己責任論」が吹き荒れた。 影響力の大きな人たちはこんな発言をした。ビートたけし(71才)は登山家が山で遭難したケースを挙げ、「成功すればいい写真や名誉を得られるけど、失敗した場合は救助隊にお金を払うでしょ? この人は失敗したんじゃないの?」と指摘。橋下徹前大阪市長(49才)はネットテレビで、「そこは結果責任で、税金を使って政府の国際テロ情報収集ユニットを使って労力をかけたんだから、帰ってきた時には『すみません、結果出せませんでした。ごめんなさい』と言うのは当然だと思う」との意見を表明した。 一方で擁護派も現れた。ダルビッシュ有選手(32才)は「自己責任なんて身の回りに溢れているわけで、あなたが文句をいう時もそれは無力さからくる自己責任でしょう」とツイート。辛坊治郎キャスター(62才)がテレビ番組で自己責任論に対し、「こんなこと普通、議論にならないレベルの話」と指摘すれば、アルピニストの野口健(45才)は、「安田さんへの過剰な又は感情的なバッシングはこれからの報道姿勢を抑圧してしまう」とツイートした。 渦中の安田さんは帰国後に開いた会見で、「私自身の行動によって、日本政府が当事者となってしまったことを申し訳なく思います」と頭を下げ、「自己責任」が叫ばれる日本社会の現状について「批判、検証をいただくのは当然。紛争地に行く以上は自己責任であると考えている」と述べた。 海外メディアから「謝罪の必要があるのか」との質問が出ると、こう答えた。「私の行動にミスがあったのは間違いないのでお詫びを申し上げた」「自己責任」をめぐる侃々諤々の議論が起こるのは、安田さんのような戦場取材のケースに限らない。 2012年にお笑い芸人の親族が生活保護を受給していたことが発覚した際には、自民党の片山さつき参院議員(59才)が、「国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です」とツイートし、国会議員として生活保護の削減に取り組む意向を示した。生活が困窮しても国を頼るな、自分の責任で何とかしろ、という主張である。 2015年に中学1年生の男女が早朝の街で連れ去られ、遺体で発見された寝屋川市中1男女殺害事件や、2017年にネットを媒介にして9人の男女が殺害された座間9遺体事件などの凶悪犯罪でも、「子供が真夜中に出歩くのはおかしい」「見知らぬ男の家に行くのも悪い」などと、“被害者の落ち度”を責める自己責任論がネット上にあふれた。◆攻撃性を帯びる「自己責任」 作家の北原みのりさんは、「自己責任論は弱い立場の人たちに対して言われることが多い」と指摘する。「顕著な例がわいせつやセクハラ問題です。例えば東大男子学生3人が起こした強制わいせつ事件(2016年)の際は、『被害女性が東大生を狙っていた』とバッシングされましたし、ジャーナリストの伊藤詩織さんが元テレビ局記者にレイプされたと訴えた際(2017年)も、『夜遅くに男とデートした彼女もそのつもりだったんだろう』と叩かれました。 またシングルマザーなどをめぐる貧困問題でも、『結婚相手を見極めなかった女が悪い』『貧乏なのは努力が足りないから』と自己責任を口にする人が多いことに驚きます」 弱い立場にある女性に向けられる自己責任論に、北原さんは忸怩たる思いを抱く。「“女は男に従うもの”“女は責任を取らなくていい”という時代が長く続き、自立を果たせなかった女性にとって、“自分の人生は自分で決める”ことを意味する『自己責任』という言葉には、とても尊い価値がありました。 ところが最近は、窮地に陥った女性に対し、“自己責任だから仕方ない”という声が投げかけられるようになった。自己責任という言葉が、人の尊厳を奪って被害者を苦しめるものになっています」 北原さんが指摘するように、自己責任という言葉は近年ますます攻撃性を帯びている。 日本社会における自己責任論の起源はどこにあるのか。「その兆しは、江戸時代にうかがえます」 と指摘するのは、著書に『貧困と自己責任の近世日本史』(人文書院)がある奈良大学文学部教授の木下光生さんだ。「江戸時代は、わずかな武士などを除くほとんどの人が農業を中心とした自営業で、“自分のことは自分で行う”という意識や慣行が根づいていました。もちろん当時は『自己責任』という言葉は存在しなかったでしょうが、作物づくりに失敗した農家が、“自分の責任だ。村には迷惑をかけられない”という恥の意識にさいなまれて、夜逃げするケースなどがありました」 ただし、現在と大きく異なる点もある。それは、自己責任が村による「救済」とセットだったことだ。「貧しくて年貢が納められない農民がいれば、村が肩代わりするなどして救済していました。けがや病気、天候不順などでの失敗(不作)のリスクは、すべての村人に隣り合わせのことであり、“困った時は、お互いさま”という意識も強かった。 その代わり、助けられた農民は物見遊山などのぜいたくが禁じられたり、村に名前を張り出されるといった社会的制裁を受けた。自営業者としての縦のラインと、村という横のつながりがセットになって、相互扶助を行うシステムが機能していたんです」(木下さん) 戦後になると、村などの地域共同体は次々と消失した。「それとともに農業を中心とした自営業者は減り続け、サラリーマンを中心とした賃金労働者が大半を占めるようになりました。誰かに雇われる立場にあるということは自立度もリスクも低くなる。同時に、江戸時代のように村などの共同体が個人を救済する横のつながりが希薄になっていき、結果として、トラブルが起きても“自分のことは自分で行い、他人を頼らない”という自己責任ばかりに重きを置く社会になったのです」(木下さん)※女性セブン2018年12月13日号
2018.12.01 16:00
女性セブン
ちなみに、第2次安倍政権が発足した日は晴れ
選挙で勝つために必要なのは政策ではなく「分かりやすい物語」
 選挙の時期が近づくと、街じゅうに選挙ポスターが貼られるが、そこで目立つのは候補者の顔写真と名前、政党名ぐらいで、細かい政策について触れられているケースは多くない。本来なら政治家を選ぶ際には、政策の良し悪しで判断すべきだと考える人は多いが、なぜそうならないのか。『言ってはいけない』(新潮新書)、『朝日ぎらい』(朝日新書)などの著書がある作家・橘玲氏と、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)などの著書があるネットニュース編集者の中川淳一郎氏が語り合った。(短期集中連載・第9回)中川:日本でも、選挙で一番強いのは握手をすることだ、みたいなやり口がずっとまかり通っているじゃないですか。政策を読もうという気が全くなく、ルックスとか「あの人は握手をしてくれた」、「あの人はこんな山間部の奥地の集落まで来て声をかけてくれた」みたいなのが、投票する際の判断材料になっていますね。橘:それもあるでしょうが、そもそもなんで選挙に行くのかを考えてみる必要があると思います。これはじつは経済学では大きな謎で、普通に考えたら自分の1票で選挙結果が左右されるわけはないのだから、「合理的経済人」が投票なんかのために時間を費やすはずはない。その結果、先進国はどこでも低投票率に悩んでいるわけですが、それでも猛暑や嵐、大雪のなかを有権者の半分が投票にいくというのは驚くべきことです。 もちろん、「お隣さんに頼まれたから」とか、「お父さんの葬式に来てくれた」などの理由は大きいでしょう。ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ブキャナンは公共選択の理論で、これは有権者がなんらかの見返りを期待している合理的な選択なんだと主張しました。私が選挙に行くようになったのは友人がたまたま国会議員になったからで、なにかの便宜を期待したということはもちろんないんですが、これも「ほんとうに困ったことがあったら頼みにいこう」とひそかに思っている、ということになる。でも、ほとんどのひとは政治家と知り合いでもなんでもないのに選挙に行ってますよね。都市部はとくに顕著ですが、公共選択の理論でも、やっぱりなぜ投票に行くのかはうまく説明できないんです。中川:握手をしたけどオレの目を見てくれなかったとかで、嫌になって投票しなかったというのもありますよね。投票するかしないかは、その程度の差だったりしますね。橘:そこで最近いわれるようになったのが、わざわざ選挙に行くのは自分の「党派性」すなわちアイデンティティを確認するためなんじゃないか、ということです。アメリカはとくにはっきりしてますが、トランプ支持者と反トランプが憎み合っている。これは典型的な「善」と「悪」の対立ですが、そうなると、自分が「善」の側に属していることを確認するためだけで、投票に行くじゅうぶんな動機になる。熱烈なトランプ支持者にとっては、共和党に票を入れることが「悪」を倒すパフォーマンスで、気分がいいんでしょうね。日本でも親安倍と反安倍で分断されているのかもしれませんが、それよりも保守派の政治家がよく使うのは、生活保護の不正受給のような「分かりやすい物語」で票を取りにいくことですね。中川:ある芸人の母親の不正受給疑惑も大きな話題になりましたね。片山さつき氏がこの問題を取り上げたことで一躍、有名になりました。彼女は、政策の難しい話をしたって、そんなの何の票にもならないから、この問題を叩けばいいと考えたんでしょう。橘:あの事件のちょっと前に地方の市長さんと雑談する機会があったんですが、「市民からの電話がたいへんなんです」と頭を抱えていました。「なにかの苦情ですか?」と訊くと、「近所の母子家庭の母親をパチンコ屋で見かけたんだが、あれは不正受給じゃないのか」というようなものばかりなんだそうです。そのうえ、調査しないと何度もしつこくかかってくるので、職員はその対応で疲弊していているそうです。じつは生活保護への不満が日本社会にマグマのように溜まっていて、あの事件をきっかけに噴き出したんじゃないのかと思いました。保守派の政治家が煽っているというより、有権者が求める話をしようとするとかぎりなくネトウヨに近づいていく、ということなんじゃないかと思います。中川:そこで解せないのが、8月に野田聖子さんが「LGBT対策が自民党総裁選のテーマになる」という発言したことです。結果的に野田さんは20人の推薦人を集められず総裁選出馬を断念しましたが、そもそもこのテーマで自民党の地方党員とかの票を取れると彼女は踏んでいたんですかね?橘:「日本人アイデンティティ主義者」の中核にあるのは「嫌韓・反中」すなわち「反日」バッシングなんですが、もうひとつ彼らが許せないのは「弱者利権」で、「自分より列の後ろに並んでいた奴が抜け駆けしていい思いをしている」という怒りなんじゃないでしょうか。その怒りがLGBTやフェミニズム、ベビーカーなどのマイノリティにも向かうわけですが、生活保護の不正受給と比べて「悪」と断定するのが難しいので、実際には多くの日本人は「同性婚も夫婦別姓も本人の自由でいいんじゃないの」と思っている。野田さんや自民党のなかのリベラルな議員はそのことをわかっていて、LGBTを票田のひとつとして取り込んだ方がいいと思っているのでは。 日本ではまだあまり理解されないのですが、世界はいまリベラル化の大きな潮流のなかにあって、ガチガチのカトリックの国であるアイルランドですら国民投票で中絶が合法化されました。北欧では首相がゲイやレズビアンなのはもう珍しくないし、世界的に同性愛者など性的マイノリティに対する許容度が広がっている。「べつに私が迷惑するわけじゃないんだから、みんな好きに生きればいいでしょ」という価値観に、伝統や道徳で対抗するのはますます難しくなっている。日本もこうしたリベラル化の潮流を半周遅れて追っているので、保守の野田さんにとっても、LGBTの側について批判されるリスクより、「保守だけどリベラル」として安倍政権と差別化した方が有利だと考えたんじゃないでしょうか。実際、保守派の政治家が同性婚や夫婦別姓を口にしても、ネットで大炎上するなんてことにはならないですよね。それに対して、「韓国の徴用工判決にも一理ある」なんて言ったらどうなるか?中川:とんでもないことになりますよね。思い返せば、元東京都知事の舛添要一氏が、新宿区に韓国人学校を作ろうと言ったときにも「待機児童の問題があるのに、そんなもん作っている場合か!」という反発がすごかったですから。橘:それは「韓国」「中国」が日本人という脆弱なアイデンティティを逆なでするからです。これは「右傾化」と呼ばれていますが、その実態は「(日本人だという以外に誇るもののない)日本人アイデンティティ主義」で、従来の保守・伝統主義とは別なんじゃないかと考えています。◆有権者の多くが世界を善悪二元論でしか理解できない中川:ネットで安倍首相の支持層の発言を見ると、嫌韓・反中は多いのですが、一方でアメリカに関する発言を見ると、オバマ大統領の時は嫌いだったけど、トランプ大統領が誕生したら好きになっているという印象もあります。 逆に、安倍支持層はヒラリー・クリントン氏のことは嫌いだと思います。女性で自分より頭良さそうだし、あと夫(ビル・クリントン元大統領)の不倫を許したように見せて、結局、夫婦間でマウンティングをとっているのも、いけ好かない要素なんだと思います。橘:政治的に保守派を支持するひとたちの性格が反エリート主義や女性嫌悪で共通しているという研究はアメリカにはたくさんあります。日本の親安倍とアメリカのトランプ支持者が似ているのも、心情的に通じるものがあるんじゃないでしょうか。 保守とリベラルで分けると、どの国もドメスティックス(保守派)の方が多いから選挙では勝つんです。ただグローバル世界を見るとこの関係は逆転して、リバタニア(リベラル共和国)が圧倒しています。これが、オバマ大統領の就任式でビヨンセがアメリカ国家を歌ったのに、トランプ大統領の就任式ではすべての歌手が出演を断った理由です。アメリカだけでなく世界じゅうにファンを持つグローバルなスターにとって、わずか2億人のアメリカの保守派の機嫌をとるために70億人の全世界の潜在的なファンを失うリスクを冒す理由はないんです。 日韓の慰安婦問題にしても、日本国内では保守派が圧倒していますが、グローバル世界では国連、アメリカ下院、EUなどで次々と日本政府の謝罪を求める決議をされている。そうなると「韓国の陰謀だ」みたいな話になるんですが、韓国が国連やアメリカ、EUの議会を自由に操れるんなら、いまごろ世界を支配しています。日本政府の大きな失策は、慰安婦問題を日韓のナショナリズムの対立(歴史問題)だと考えて、リバタリアでは女性の人権問題として扱われていることに気づかなかったことですね。「性的な被害を受けた女性は救済されるべきだ」というのがリバタニアの価値観なのに、「慰安婦は売春婦だ」なんていっていたら、「性差別主義者」のレッテルを貼られて排除されるだけです。中川:ネット上でよく言われる「在日が日本の経済界と政界を牛耳っている」というロジックにもつながりますね。すべてのマスコミに韓国人が入りこんで支配しているという説まであります。橘:日本だけではありませんが、世の中には、自分の不幸や生きづらさを「どこかに“敵”がいるからだ」と考えるひとが(ものすごく)たくさんいます。これが陰謀論なんですが、そういう善悪二元論でしか世界を理解できないひとも1票を持っているわけですから、落下傘候補で選挙区の支持が安定せず、落選したら「人間以下」になってしまう政治家がポピュリズムの誘惑に負けるのも仕方ないのかなと思います。中川:そう考えると、先ほどの片山さつき氏の政治戦略がよく理解できますね。杉田水脈氏のLGBT発言なんかは、その流れを踏襲しながら地雷を踏んだということでしょうか。(続く)◆橘玲(たちばな・あきら):作家。1959年生まれ。2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『言ってはいけない 残酷すぎる真実』『(日本人)』『80’s』など著書多数。◆中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):ネットニュース編集者。1973年生まれ。『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』『縁の切り方 絆と孤独を考える』など著書多数。
2018.11.24 07:00
NEWSポストセブン
恋愛モノが多数、10月期ドラマを楽しむための秘訣
恋愛モノが多数、10月期ドラマを楽しむための秘訣
 様々なタイプの恋愛ドラマがラインナップされている今年の10月期。なかでも、禁断の恋を描くのは『中学聖日記』(TBS系、火曜22時)。教師・有村架純(25才)と教え子である中学3年生で、新人の岡田健史(19才)の、6才差コンビが主演する。辛口コラムニストの今井舞さんはこう話す。「中学生役のはずの岡田が、童顔の有村より年上に見える時点で話に入っていけず。中学生と教師の恋という生々しさを緩和するために、年齢差を感じさせないよう配慮した結果がこれなんだろうけど。保険のかけすぎが裏目に出てますね。 化粧が濃くて話し方も片山さつきみたいに高圧的な吉田羊の、帰国子女でバイセクシャルというキャラ設定も唐突すぎ。教職の大変さや、禁忌の恋の感情の襞がきちんと描かれていた、松嶋菜々子と滝沢秀明の『魔女の条件』(TBS系、1999年)が今はただ懐かしい」 オーバー50の恋を描いたのは、『黄昏流星群』(フジテレビ系、木曜22時)。言わずと知れた弘兼憲史原作漫画のドラマ化だ。主人公・佐々木蔵之介(50才)が黒木瞳(58才)に恋をし、妻の中山美穂(48才)は娘の婚約者に恋をし…話題性は充分だが、視聴率は6%台に。「バラを育ててパンを焼くというステレオタイプな良妻賢母を演じる中山美穂、バッチリメイク&ヒールにダイヤモンドをつけて社員食堂のパートに出勤する黒木瞳など、ツッコミどころ満載」(今井さん) と現実の女性像とリンクしないと辛口評価だが、ドラマに詳しいライターの西森路代さんは今後に期待する。「原作を読んで、人生が黄昏に向かう男女のせつなさにグッときました。そのせつなさをドラマでも表現してほしいですね」 空気の読めない大学講師と超エリート歯科医が恋に発展するのかしないのかまったく読めないのは『僕らは奇跡でできている』(フジテレビ系、火曜21時)。高橋一生(37才)の民放ゴールデン・プライム帯の連ドラ初主演作だ。エリート歯科医を榮倉奈々(30才)が演じる。視聴率は6~7%とふるわないが、熱狂的ファンは増えつつあると評判だ。 放送作家の草場滋さんは今回の役こそ高橋のハマり役だという。「独特の間を持つ、おっとりした高橋のよさは、ちょっと変わった役でこそ引き立ちます。今回の役は、はっきりそうとは説明されていないけれど、発達障害かと思います。あえて言わなくても、エピソードやせりふでそれとわかるようになっています。説明しすぎないのに、世界観がしっかりしている。これは演出が巧みなんです」 どうしてもカンチとリカを思い出してしまう『東京ラブストーリー』(フジテレビ系、1991年)以来、27年ぶりとなる月9共演で話題の織田裕二(50才)と鈴木保奈美(52才)の『SUITS』(フジテレビ系、月曜21時)。今回の舞台は弁護士事務所で、上司と部下役の関係だ。第3話までの平均視聴率は12%超えと好調だが、評価は微妙。「イギリス・メーガン妃の出世作の米大ヒットドラマのリメーク。イチから作る月9よりは視聴率もマシになったけれど、中身は大幅にレベルダウン。呆れたときに大仰に手を広げたり、目を大きく見開いたり、机に腰掛けちゃう織田裕二の演技だけが欧米か。とにかくこのドラマを楽しむコツは、絶対にオリジナルを見ないこと、この一点につきます」(今井さん) 織田と鈴木、濃い2人の間を行き来する天才フリーターの中島裕翔(25才)の清涼感は必見か。※女性セブン2018年11月15日号
2018.11.04 16:00
女性セブン
弁護士懲戒請求、ウヨマゲドン… ネット右翼の思考回路とは
弁護士懲戒請求、ウヨマゲドン… ネット右翼の思考回路とは
 ネット上を中心に韓国や中国に対して強烈な批判発言を繰り返している人たちは、ネット右翼、通称「ネトウヨ」と呼ばれる。彼らはどういう考え方をもとに行動しているのか。また、彼らが実際に起こした事件にはどのようなものがあるのか。『言ってはいけない』(新潮新書)、『朝日ぎらい』(朝日新書)などの著書がある作家・橘玲氏と、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)などの著書があるネットニュース編集者の中川淳一郎氏が語り合った。(短期集中連載・第6回)橘:少し前に、弁護士に懲戒請求をした人たちがいたじゃないですか(*注)。あれはどういう経緯だったんですか?【*注:朝鮮学校への補助金交付などを求める全国の弁護士会の声明に反発することなどを目的として、各弁護士会に大量の懲戒請求が寄せられた問題。今年7月には懲戒請求をされた弁護士が複数の請求者を相手取り、損害賠償を求める訴えを起こしている】中川:簡単に言うと、「こいつは反日弁護士だから、懲戒請求してやれ」という運動です。そしたらこいつが懲戒になって仕事が無くなるから、反日活動をやめさせることができるというロジックです。ネトウヨ側の誰かがテンプレートを作ったんですよ。あるブログに煽られた、ということになっています。この懲戒事由をコピペして各地の弁護士会に送れば、懲戒請求ができるという話だったんですね。橘:それって、かつて橋下徹さんが光市の母子殺害事件で、「あの弁護団に対してもし許せないと思うなら、一斉に懲戒請求をかけてもらいたい」とテレビ番組で発言したことを思い出しますね。それが頭にあったのではないでしょうか。中川:多分そうですね。その記憶があって、今回朝鮮学校の無償化問題に関して、賛成している弁護士はいかんと。こいつらは辞めさせるべきだという話になったのだと思います。橘:今回、懲戒請求の攻撃対象となった弁護士はその問題に関与していたんですか?中川:佐々木亮さんという弁護士の方がそのうちの一人で、1300通もの懲戒請求が届いているのですが、彼自身は関係ないと説明していますね。ただ、なんで彼がターゲットになったかといえば、思い当たる節があったようです。佐々木さんはこうツイートしています。〈なんで自分がターゲットになっているのかと考えてみると、青林堂というネトウヨの人たちが大好きな本を出す出版社で起きた労働事件を担当していることに思い当たりました。その労働者がひどいパワハラを受けていたので、記者会見に私が同席したりしていたのです〉 佐々木さんは、懲戒請求した男性としゃべったところ、とんでもないやり取りになったようです。『AERA dot.』(週刊朝日オンライン限定記事)には以下の記述があります。〈「ところで、なんで私を懲戒請求したの?」(佐々木氏)「名前があったので、申し訳ありません」(男性)「でも、私は朝鮮学校のことなんて何もやってないよ?」(佐々木氏)「えっ?」(男性)「えっ?」(佐々木氏)〉橘:いったん「敵」と認定したら、あとは無差別なんですね。中川:はい。けしからん反日の奴は数の力で追い込むのが正義であるという話なんですよ。橘:それって、自分たちが匿名の存在で、社会的にはほとんど力をもっていないことが分かっているからじゃないでしょうか。彼らが大嫌いなリベラル系の政治家も、選挙区で多くの票を獲得して国会に出てきている。それに対抗するにはとにかく数を集めなきゃいけないということになって炎上させようとし、それがうまくいかないと逆に不安になる。中川:だと思います。◆立ち位置と党派性を明確にして生き残りをはかる政治家橘:嫌韓反中や、“朝日ぎらい”であれだけ盛り上がれるのは、数が集まって「俺たち」を実感できるからですよね。『新潮45』(現在は休刊)誌上で展開された杉田水脈氏の「生産性」発言の場合は、保守派の論壇でも支持者がほとんどいなかったから、どういう理屈で「正義」を振りかざせばいいかわからなかった。「表現の自由」だけじゃさすがにデモを動員できないので、失速したんじゃないでしょうか。中川:生産性っていう言葉でいうと、「女は産む機械」と発言した元大臣(柳澤伯夫元厚生労働相)がいたじゃないですか。自民党支持者であっても、今回の「生産性発言」を聞いて、その時のことを思い出して、生理的に嫌だと思った人はたくさんいたんじゃないかと思うんですね。だから杉田氏擁護の数は集まらないという話でしょう。橘:日本社会の底流にあるのは「このままだと中国に支配されるんじゃないか」「韓国に経済力で追い越されるんじゃないか」という不安なので、同性婚やLGBTを攻撃対象にしても、「反日」「売国」ほどの支持者はいないですよね。日本社会もリベラル化していて、「同性愛だって自由恋愛なんだから、差別するのはおかしい」という価値観に急速に変わっている。「生産性」発言の議員は、ニューヨークの国連関連イベントで「慰安婦は性奴隷ではない」と訴えて知名度を上げた人ですよね。それで「ジャンヌ・ダルク」などと持ち上げられ、ネトウヨが好きそうなテーマを次々と選んでいったら地雷を踏んだ、ということだと思います。あと、議員として多額の税金を受け取っているのだから、批判されて逃げるのはおかしいですよね。主張は表現の自由だと思いますが、あれだけ生活保護受給者の「自己責任」を批判しているのだから、税の受給者として、自分の書いたことへの「自己責任」をとるべきです。中川:私は、政治家としての実力とは関係なく、立ち位置と党派性を明確にすることで生き残りをはかっている女性国会議員が3人いると思っています。それが、杉田氏と稲田朋美氏と片山さつき氏です。彼女たちって、元々政治家でも何でもないし、二世でもない。そんな人間が、いかにして支持基盤を作るかっていう時に、“安倍的なもの”というか、やや右に寄っている支持者にウケることを言えばいいという戦略を採ったような気がします。たとえば片山氏については、以前、元夫である舛添要一さんが『SAPIO』誌上でこう述べていました。〈片山は上に媚びるのが苦手なタイプです。でも、隣には取り入るのがやたらとうまい稲田や小池がいる。さらに自分以外の女性議員はどんどん出世して大臣になる。片山は焦るわけです。自分は元大蔵官僚で、しかもミス東大なのになぜ出世できないのか。稲田が安倍さんに重用されるのは右派だからだ。それなら私も右に行けば出世できるのではないか──結果、在特会のデモに参加してしまう〉 今は大臣になりましたが、片山氏は別のファン層を獲得するために、そういう思想を持っている風に振る舞っているだけなんじゃないかと思うんです。橘:片山さんは賢い人だから、選挙で票を入れてもらうことがすべてだとよく分かっているのでは。その結果開き直ったというか、右派が好きそうなことを言っていれば得票率が上がると悟ったのかもしれませんね。政治家は、選挙に落ちたら「ただの人以下」ですから。旧民主党の惨状を見たら、ほとんどの政治家は「私はリベラルです」なんて怖くて言えないですよ。それが最大の問題ですね。◆「今上天皇は反日」という主張はどこから来たのか中川:さっきの弁護士の話の前段を思い出したんですけど、“ウヨマゲドン”というのがあったんですよ。在日コリアンを中心とした特別永住者を対象とした、外国人の登録証明の制度が変わる時のことで、「2015年の7月9日までに、証明書を切り替えてください」というだけなんですね。ところが、どこかのバカネトウヨがこれを曲解して、その日までに帰国をしなければ強制送還になるというデマに変えて、周囲にいる在日を通報しようという運動にしたんです。しかも、摘発されたら数万円の報奨金が出る、という話にもなりました。その時に通報する対象の在日ってだれかっていうと、ネットにある真偽不明の通報リストっていうものです。そして、一斉にこのリストに載った奴は入管に通報しようということになりました。 この伝言ゲームがどんどんおかしくなっていったのですが、あまりにもネトウヨ側の事実誤認がアホ過ぎてすっかりお笑いの対象になってしまいました。そこで、ハルマゲドンにかけて、ウヨマゲドンと揶揄される材料になったんですね。そういう失敗を経たのに、弁護士の件で失敗をまたやっちゃったっていう。学んでないんですよ、全く。橘:ネトウヨに特有の「在日認定」という行為があるじゃないですか。これっていったい何なのかと考えて、彼らには「日本人」というアイデンティティしかないから、誰が「日本人」で誰が「日本人」でないかの境界線がどうしても必要なんだと思い当たりました。白人至上主義者の場合は、「俺たち(白人)」か「奴ら(有色人種)」かは肌の色を見るだけでわかるじゃないですか。ところが国籍をアイデンティティの指標にすると、外見だけでは区別がつかなくなる。だから敵を片っ端から「在日認定」して、「奴ら」の側に排除しなくてはならない。そういう意味で「在日認定」は、自分の不安を抑えるための心理セラピーみたいなものなんでしょうね。「認定」される側にとってはヒドい話ですが。中川:彼らの中には「日本人だったらこんなことはやらないはずだ」っていう考えがあるはずです。東日本大震災の時もそうだし、2014年の広島の土石流災害の時もそうだし、2016年の熊本地震の時もそうですけど、毎回、ツイッターで韓国人の窃盗団が出たというデマが流れるんですよね。確かに窃盗団はいたかもしれない。ただ、それを在日とか、韓国からわざわざ来たと言わないと、オレたち日本人が極悪人になってしまうと考えてしまう。そうした自己防御の行動が、いびつな在日認定の意図なのかなと思います。橘:一番驚いたのが、「今上天皇は反日」という主張ですね。中川:2017年9月に、朝鮮半島からの渡来人にゆかりのある、埼玉の高麗神社に天皇が参拝した件ですね。橘:なんでこんな奇妙奇天烈な主張が出てくるかというと、「高麗神社に行くのは日本人じゃないから」でしょう。彼らの論理では、「日本人」じゃなければ「在日」であり「反日」で、だから「今上天皇は反日」ということになる。ただ、天皇が反日だったら、日本っていう国はどうなっちゃうのでしょうか……。靖国神社の宮司も「今上陛下は靖国神社を潰そうとしてる」と言ってますから、ネトウヨだけじゃなく保守論檀も底が抜けてきたみたいなところはありますよね。 最近のネトウヨは、自分たちを「ネトウヨ」と言われることを嫌がって、「(グローバルスタンダードの)リベラル」を自称するようになってきてますよね。これは安倍首相が、「私がやっていることは、かなりリベラルなんだよ。国際標準でいけば」と発言したことがきっかけだと思いますが、「ネトウヨ=ヘイト」の図式がさすがに都合が悪くなってきたのでしょう。これからは「保守」と「リベラル」が対立するのではなく、みんなが「リベラル」になって罵り合う、わけのわからない状況になるんじゃないかと予想しています。(続く)◆橘玲(たちばな・あきら):作家。1959年生まれ。2002年、国際金融小説『マネーロンダリング』でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『言ってはいけない 残酷すぎる真実』『(日本人)』『80’s』など著書多数。◆中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):ネットニュース編集者。1973年生まれ。『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘』『縁の切り方 絆と孤独を考える』など著書多数。
2018.11.03 16:00
NEWSポストセブン
女性閣僚レース、橋本聖子氏就任なら羽生ファンの反発必至
女性閣僚レース、橋本聖子氏就任なら羽生ファンの反発必至
 安倍晋三首相が自民党総裁選挙で3選を果たした。すでに議員達は論功行賞人事に目の色を変えている。“女の争い”からも目が離せない。 現在の女性大臣は野田聖子・総務相と上川陽子・法相の2人だが、「女性軽視」と批判されたことから改造では女性枠は3人に増えるという予測もある。その「3枠」をめぐって自薦他薦8人が熾烈な競争を演じている。 有力候補は、小渕優子氏のほかに、安倍首相の推薦人名簿に登載された細田派の橋本聖子氏、岸田派の堀内詔子氏、麻生派の有村治子・元消費者相という各派の推薦組。それに大物2人の総務大臣争いが絡む。 野田聖子・総務相はあれだけ「総裁選に出る」「最後まであきらめない」と言いながら、突然、出馬断念を表明すると掌を返したように安倍支持を表明して「留任」に色気たっぷり。 だが、金融庁への圧力問題(※注1)の渦中にあった野田氏が大臣で残るとなったら“恩赦内閣”の陣容が一段と厚みを増すことになる。【※注1/今年1月、野田事務所が、無登録での仮想通貨交換業の疑いで金融庁から調査を受けていた企画会社の関係者を同席させたうえで金融庁の担当者を呼び、説明を要求したと報じられた】 それに「待った」をかけるのが同い年の高市早苗・前総務相だ。折しも、菅義偉・官房長官が携帯料金の値下げをぶち上げているが、「3年前の総務大臣時代に携帯料金値下げを行なった高市さんは返り咲きに意欲満々のようです」と男の入閣待望組は“熟女対決”に圧倒されている。「もしもう一度防衛大臣になれるとしたら、喜んで再チャレンジしたい」と意欲を見せる稲田朋美・元防衛相や、片山さつき氏のダークホース説もあるが、最も大臣の椅子に近いといわれているのが前述の橋本聖子氏だ。 参院議員4期で現在は自民党参院議員会長の要職にあり、入閣の資格は十分。五輪担当大臣の最有力候補と見られている。前回の内閣改造でも五輪相候補に名前があがったが、ソチ五輪の打ち上げ時の高橋大輔選手との酔った上でのキス写真が影響したのか、見送られた経緯がある(※注2)。【※注2/2014年に週刊文春がJOC常務理事兼選手強化本部長で日本スケート連盟会長も務める橋本聖子氏と高橋大輔選手とのキス写真を「無理チュー」として報じた。報道を受けて高橋は「セクハラやパワハラがあった感じはいっさいない」と説明した】 それだけに今回こそはと、細田派や五輪組織委員会からの強力な後押しを受けている。「これから東京五輪の準備は最終段階になる。五輪相には日本スケート連盟会長でもある橋本さんが適任と森喜朗先生も推している」(細田派議員) しかし、ハレーションも大きいと予想される。フィギュアスケートに詳しいスポーツライターが語る。「スケート連盟会長でもある橋本氏の高橋選手への“パワハラキス”はファンに大きな衝撃を与え、抗議が殺到した。高橋選手が今季から競技に復帰したタイミングだけに、あの橋本氏が五輪相になれば、女性ファンの反発は必至。 しかも、スケート関係者の間では、“橋本さんは平昌五輪銀メダルの宇野昌磨君と妙に親しげにしている”と警戒されている。高橋ファンだけでなく、昌磨ファンも敵に回すかも」 橋本氏は事務所を通して「参議院自民党議員会長は、選挙で選ばれて就任している役職です。任期は3年です。任期途中で退任して、入閣することはありません」と回答したが、安倍首相も悩ましいに違いない。※週刊ポスト2018年10月5日号
2018.09.24 07:00
週刊ポスト
自民党議員のスマホ熱中症が深刻、赤坂自民亭だけじゃない
自民党議員のスマホ熱中症が深刻、赤坂自民亭だけじゃない
 無名の一般人でさえ、軽率な投稿をきっかけに炎上し、全国ニュースの騒動になってしまうSNSトラブル。もともと目立ちたがり屋の政治家の投稿が軽薄でお粗末となれば、大炎上するのもむべなるかな。 安倍政権の“緩み”を露呈して大きな批判を浴びた西村康稔・官房副長官の西日本豪雨の夜の「赤坂自民亭」宴会写真に懲りるどころか、政治家たちのSNSの暴走と迷走に拍車がかかっている。やらかしたのは45万人のフォロワーがいる河野太郎・外相だった。〈こんな風に寝たそうです〉──宴会ツイート批判さめやらぬ中、訪問先のフランスで、「王の寝室」のベッドに横たわった自身の“ドヤ顔”や「金のバスタブ」などの写真をツイッターで紹介、「税金で宮殿観光か」と猛批判を浴びた。 災害被害報道でかき消されたが、実はその間にも政治家の“お気楽ツイート”は続出していた。 自民党国対委員長や幹事長代理を歴任した重鎮、逢沢一郎代議士は地元の岡山で大災害が起きていた7月7日、JR西日本の人気の観光列車「ベル・モンターニュ・エ・メール」の客室で名物のとやま寿司に舌鼓を打ち、〈いや、実に美味しい。素晴らしい〉とツイートして料理の写真をアップした(現在は削除)。 この日は七夕。国交相を2期務めた石原伸晃氏は、星に祈っていた。〈今年の七夕の短冊に願いごとを書くとしたら、まず何より、「大雨の被害がこれ以上広がらないように」〉 国家的危機や災害中の書き込みには、政治家の資質がはっきり出てくる。自民党副幹事長の大家敏志氏のこの日のインスタグラムには、「#今日のネクタイ」「#今日のスーツ」というコメント付きで自分のスーツとネクタイ、カフスなどのコーディネートのアップ写真が掲載された。 SNSは災害対応の弁明にも使われた。西村官房副長官同様、「赤坂自民亭」の宴会で安倍首相とのツーショットをアップして批判を浴びた片山さつき氏は、批判を挽回するかのように被災地の倉敷市役所に防災服姿で乗り込んだ写真などを続々投稿。災害対応に追われる市幹部の戸惑った表情が印象的だ。 本来、政治家にとってSNSは有権者の政治への反応をリアルタイムで吸い上げることができる有力なツールのはずが、“いいね”欲しさにスマホを握ったら何でもありになっているようだ。 安倍晋三首相自身がフォロワーの「いいね!」の数に一喜一憂しながら政治をやっているのだから、“スマホ熱中症”が伝染するのも仕方ないのだろう。※週刊ポスト2018年8月10日号
2018.08.01 07:00
週刊ポスト

トピックス

結婚を発表し、お相手を「建築会社」とした滝沢。「一般男性」とは言っていない
滝沢カレン結婚!「テラハ」出演“肉食系”ハーフモデルのどこに惹かれたのか
NEWSポストセブン
謝罪をする田中聖(公式YouTubeチャンネル)
田中聖容疑者、覚醒剤所持でまた逮捕 芸能人が“やめられない”根本的な問題点
NEWSポストセブン
『ぴったんこ☆カンカン』スタート時の安住アナ(時事通信フォト)
泉ピン子が語る安住紳一郎アナ「とても負けず嫌い。すごい強さを秘めている」
週刊ポスト
盗難被害を告白した木下
TKO木下隆行がベトナムで270万円の盗難被害、防犯カメラにおさめられた悪質手口の一部始終
NEWSポストセブン
TBS・安住紳一郎アナウンサーの魅力の源は?(時事通信フォト)
TBS安住紳一郎アナ、恩師や先輩アナが明かす“天才的なしゃべり”“のスキル
週刊ポスト
眞子さまの箱根旅行のお姿。耳には目立つイヤリングも(2018年)
小室圭さんの妻・眞子さん 華やかだった4年前の「箱根・女子旅ファッション」
NEWSポストセブン
メディアの前に久しぶりに姿を現したブラザートム(撮影/黒石あみ)
ブラザートムが不倫騒動・事務所独立からの今を語る「娘にはよくハガキを書いてあげるんです」
NEWSポストセブン
日本は世界が憧れる国だと思っていたが……(イメージ)
在日経験のある外国人たちが「日本の没落」を口にし始めているという厳しい現実
NEWSポストセブン
小室圭さんと眞子さん
小室圭さん妻・眞子さんがNYで行きつけのスーパーから見えてきた“妻の気遣い”「日本でいえば『成城石井』」 
NEWSポストセブン
高橋真麻
高橋真麻「おでんの卵8個食べても太らない」女性が憧れる美スタイルの理由
NEWSポストセブン
SDGs(持続可能な開発目標)についてテレビが取り上げる機会が激増していた(イメージ、時事通信フォト)
テレビ局が一斉に発信していた「SDGs」、最近見かけなくなった理由
NEWSポストセブン
結婚し、日本メディアが情報をキャッチしづらいNYで、デイリーメールが追跡取材(写真/JMPA)
小室圭さん・眞子さん夫婦が「離婚で終わったとしても…」英デイリー・メールが報じた「茨の道」
NEWSポストセブン