片山さつき氏(時事通信フォト)
維新の「身を切る改革」は高市首相と対極
高市首相にとって“落とし穴”になりそうなのが維新の存在だ。
「身を切る改革」を掲げる維新はそもそも「地方分権」「小さな政府」を志向し、政府が企業にカネを出して経済成長を促すという中央集権型の積極財政論者の高市首相とは立ち位置が対極になる。
維新が連立合意に盛り込んだ国民医療費削減の内容も、財務省の主張と一致している。
「維新は石破内閣が公約した物価高対策の2万円給付を撤回させたし、医療制度改革では市販薬と成分が似ているOTC類似薬を保険適用から外して患者に自己負担させ、医療費を削減すると言っている。財務省がやりたかった政策そのものだ。
維新がその調子で歳出カットを進めてくれれば赤字国債を発行しなくてよくなるから、高市総理の言う『責任ある積極財政』につながる。しかし、医療費削減には自民党の支持基盤の医師会が反対しているから、自民党内がもつかどうかだろう」(財務省OB)
その維新が閣外協力で大臣を出さなかったことから、高市首相は遠藤敬・維新国対委員長を首相補佐官に起用し、吉村洋文・代表ら維新首脳部との連絡役として官邸に常駐させる。
維新の動向が政権の先行きを決める鍵になると見ている財務省は「将来の次官候補」とされるエースの吉野維一郎・主計局次長を首相秘書官として官邸に送り込み、遠藤氏をマークさせるという。
「高市総理は秘密主義で維新との連立交渉も秘密裏に行なった。吉野秘書官は官邸で遠藤補佐官の動向をウォッチして、本省と対応策を練るのが重要な役目になる」(財務省中堅)
(第4回に続く)
※週刊ポスト2025年11月7・14日号
