当時の事件現場(共同通信)
「私は2005年にこのマンションに引っ越してきたんですが、安福さんはマンションが建ったばかりの1994年頃から住んでいるようでした。家族は、旦那さんと息子さんがいたと思います。当時はもう大学生くらいじゃなかったかな……。
引っ越しの挨拶をしに行ったら、安福さんが『どうも、よろしくお願いします』っていう感じで対応してくれて、いい奥さんでしたよ。優しそうな、ごく普通の人でした。報道に高校時代の顔写真が出ていたけれど、あのまま大人にしたような雰囲気ですね。身長は160センチ前後で、少し小太りだったかな。
一度、うちにいる大学生の娘を見て『綺麗な方ですね』って羨ましそうに言っていたのが印象的だったね。娘は確かに背は高いほうでスラッとしていて、当時20歳で若くもあったからかもしれないけど……。それは妙に覚えているね」
普段、安福容疑者は一人でいることが多かったようだ。
「ちょっと不思議は家族でもあって…」
「旦那さんは転勤族だったのかな、ほとんど自宅にはいなかったんですよ。『主人は長期の出張に行っています』って言っていたこともあったし、『主人の山形のお土産です』って、山形の食べ物をいただいたこともありました。息子さんも遠くの大学に通っていたようで、一緒に住んでいる様子はなく、たまに帰省するくらいでした。
とはいえちょっと不思議は家族でもあって……。家族みんなで一緒にいたり、夫婦揃っていたりっていうところを見たことがないんですよ。必ず一人ずつでしかいなかった」
安福容疑者がこのマンションから転居する前には、この隣人男性の元へ挨拶に来たこともあったという。
「私が引っ越してきてから10年くらい経ってからかな、『すぐ近くに引っ越すことになりました』って挨拶に来てくれたんです。それが彼女と言葉を交わした最後。そのあと、近所で一度だけ見かけたけど、会話はしませんでした」
警察の調べに対し、「26年間、毎日不安だった。(奈美子さんに対しては)申し訳ないと思っている」と謝罪の言葉を口にしているという安福容疑者。また、「被害者とは面識がない」とも話しているといい、依然として動機は不明のままだ。
ようやく容疑者の逮捕には至ったが、動機やその後の生活も含めて、まだ多くの謎が残っている──。
