『受動的攻撃』は相手にはっきりとわからないように、微妙な形で攻撃するのが特徴だという(写真/PIXTA)
オブラートに包む「受動的攻撃」
千葉県在住の看護師・Wさん(35才)も、同僚から敵視された経験がある。
「同僚の独身看護師4人で仲よくしていたのですが、私に彼氏ができてから急にみんなの態度が変わりました。何かミスをすると、以前は励ましてくれたのに“彼氏のことで浮かれているからだよ”と冷たい。時間の余裕をもって申請していた結婚休暇も、彼女たちが休みの申請を被せてきたため半分に減らされてしまいました」
女同士の友情や信頼関係は基本的に信じないと打ち明けるのは、芸能事務所で女性アイドルのマネジャーを担当するOさん(仮名・40代)だ。
「アイドル同士って仲よしで和気あいあいと活動していると思っている人もいますが、実際は違う。人気が出るほど、仲間から足を引っ張られやすくなります。SNSの裏アカウントで、仲間の男関係や飲酒喫煙などの素行不良をそれとなくバラしたり、スタッフに噂話を流して謹慎や契約解除に持ち込もうとする。
相手が自分よりかわいく見えないように、ヘアスタイルやメイクも“こっちの方がいいよ”と真逆のアドバイスをし合っています。モデルや女優がいる事務所でも働いたこともありますが、同じような光景を何度も目の当たりにしました」
片田さんは、女性はオブラートに包んで敵意を表すことが多いと指摘する。
「『受動的攻撃』といって、直接相手に何かをするのではなく、裏で陰口を言ったり、画策したりする。相手にはっきりとわからないように、微妙な形で攻撃するのが特徴です」
群馬県在住のNさん(52才)は、女性の介護負担が減らないのは女性の敵がいるからだと憤る。
「田舎だからか高齢者を在宅介護している家庭が多く、自治会の婦人部から“女性ばかりが介護を負担するのは不公平”という声が上がり、ヘルパーさんを招いて男性向けの介護講習を実施することになったんです。1回目はほとんどの家庭から男性が参加してくれて、いい雰囲気で進みました」
しかし、講習後の親睦会で空気は一転する。参加していない夫の妻たちが「男に介護を任せるのは無理じゃない?」「仕事して稼いでくれている男性に、介護までやらせるのはひどい」と言い出したのだ。
「彼女たちの発言で全体のモチベーションはだだ下がり。2回目の受講者は3分の1に減ってしまいました。男性も介護に参加すれば、女性の負担は確実に減るのに、女の足を引っ張るのは女。どうしていいのかわからない」(Nさん)
フランスの哲学者ボーヴォワールは、「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」と評した。
女を理由に批判して引きずり下ろすよりも、自分の人生をどう生きるかを大切にしたい。
(了。前編を読む)
※女性セブン2025年12月4日号
