今年は自治体からの出動依頼が毎日のようにあるという
「日当が出たりとか1頭駆除するごとに報酬が支払われたりとか、その地域によってルールは違います。でもみなさん儲かるっていう概念はまったくないんじゃないですかね。だってガソリン代もかかるし、タマだって1発1500円するようなものもある。それらの経費は報酬のなかに含まれますから、手元に残るのは本当に微々たる額です。私たちもボランティア精神でやっていますよ」
そんななかで特に辛いのは、クマを駆除することへのクレームなど、一般市民からの“口撃”だという。
「熊を駆除したら役場にクレームが殺到したなんていう報道もありますが、実は私達、猟友会の元にも来るんです。クマが立てこもった地域では延々と電話が鳴り続けますし、罠にかかった凶暴なクマが檻に噛みついているような映像が報じられると、『歯や爪がダメになったら自然に放してもその後生きていけない』『檻を使うのは止めろ』なんて電話がかかってくる。
でもね、一度人里に現れてしまった個体は、山に返してもまた戻ってくる。人間に捕まっても大丈夫だと学習してしまいますから。だから、駆除するしかないんですよ」
70代以上の高齢ハンターが、精神的、肉体的、金銭的な負担をしてクマを駆除している現状。それでも彼らが駆除に向かうのはなぜなのか。そこには山や動物への深い敬愛の念があった──。
