ライフ

茂木氏 新文化創りでネットがTVをリードする時代続くと指摘

 2010年は、新聞やテレビ、ラジオ、雑誌などのメディアのあり方が問われた年だった脳科学者の茂木健一郎氏は、「人間がさまざまな情報源とどのように向き合いコミュニケーションしていくかということは、脳の働きという視点から見ても興味深い」と語る。以下は、茂木氏の指摘である。

******************************
 最近、ふと思ったことは、テレビ、とりわけ地上波テレビはなかなかしぶとく、底力があるなということである。インターネットなどの新しいメディアが普及して、テレビの地位が低下しているなどと言われている。確かにそうかもしれないが、それでも、たとえばゴールデンアワーの番組では10%程度の視聴率は当然。単純計算で1200万人以上が見ていることになる。

 インターネットがどれだけ普及したとしても、地上波テレビの番組ほど、多くの人が同時に接する情報など、そんなにはない。というよりは、これからもほとんどあり得ないだろう。

 ネットと地上波テレビの違いを突きつめていくと、背後に「独占」の問題が見えてくる。地上波テレビは、結局のところ、国家の免許による独占、寡占産業。「公共の電波」は限られており、チャンネル数も劇的に増やすことはできない。そんな中で、限られたオンエアタイムを、分け合っている。

 テレビは、国家を背景にした独占。一方、インターネットは何でもありの自由競争市場。ネットにおいて輝いている人と、地上波テレビで輝く人が違うのも、このあたりに原因がありそうだ。

 テレビで人気のある芸人やタレントでも、ネットで人気があるとは限らない。一方、ネットで人気がある人でも、テレビの世界で「座り」が良いとは限らない。

 もし、今後ネットの力がさらに増大して行くとしたら、人気者の勢力図も変わっていくかもしれない。一部の芸人さんは、そのあたりを見越して、すでにネット上での実験的試みをしている。ワイドショーに出てきて当たり障りのない発言をするコメンテーターは、ネットではあまり人気がない。テレビとネットでは、「市場」の性質が違うのである。

 一度自由を味わった人間は、そう簡単には元には戻れない。視聴率のような「数字」ではテレビが圧倒的に優位でも、新しい文化を創るという実質においては、ネットがテレビをリードする時代が、当分は続くだろう。
 
※週刊ポスト2010年11月19 日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

茨城県水戸市のアパートでネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された
《水戸市・31歳ネイリスト女性死亡》「『誰かのために働きたい』と…」「足が早くて活発な子」犯人逃走から6日間、地元に広がる悲しみの声
NEWSポストセブン
浅田真央と村上佳菜子の“断絶関係”に変化
《声をかけて寄り添って》浅田真央と村上佳菜子の“断絶関係”に変化 沈黙から一転、見られていた「雪解けの予兆」
NEWSポストセブン
新宿の焼肉店で撮影された動画が物議(左は店舗のInstagramより、右は動画撮影者より提供)
《テーブルの上にふっくらとしたネズミが…》新宿・焼肉店での動画が拡散で物議、運営会社は「直後に殺処分と謝罪」「ねずみは薬剤の影響で弱って落下してきたものと推察」
NEWSポストセブン
新年一般参賀に出席された秋篠宮家次女・佳子さま(2026年1月2日、撮影/黒石あみ)
《新年一般参賀で見せた“ハート”》佳子さま、“お気に入り”のエメラルドグリーンドレスをお召しに 刺繍とハートシェイプドネックがエレガントさをプラス
NEWSポストセブン
元仙台高裁判事の岡口基一氏
「裁判所当局が嫌がった核心は白ブリーフだった」 弾劾裁判で法曹資格を失った岡口基一氏が振り返る「岡口裁判の急所」とは 裁判所と司法記者クラブの問題点も指摘
NEWSポストセブン
新年一般参賀に出席された皇后雅子さま(2026年1月2日、撮影/黒石あみ)
《新年一般参賀の“ブルーリンク”コーデ》皇后雅子さまはスタンドカラーでフォーマルに、愛子さまはマオカラー風で親しみやすさを演出
NEWSポストセブン
ネイリストの小松本遥さん(31)が殺害された水戸市のアパート
「赤ちゃんをかばおうとしたのか…」「複数の凶器で犯行」水戸市で死亡のネイリスト女性(31)がかつて警察に相談していた“人間関係トラブル” 
NEWSポストセブン
1995年、チャリティーゴルフ前夜祭に参加した“ジャンボ”こと尾崎将司さん(左)と長嶋茂雄さん
【追悼・ジャンボとミスターの物語】尾崎将司さんと長嶋茂雄さん、昭和のスポーツ史に名を刻んだレジェンド2人の重なる足跡 ライバルと切磋琢磨し、後進の育成に取り組んだ
週刊ポスト
松田烈被告
「スマホから『映してください』と指示の声が…」ネットで“性的暴行してくれる人を募集”した松田烈被告(28)、被害女性が語った“外道すぎる犯行”
NEWSポストセブン
真美子さん(共同通信)が使用していたブランドとは
《ハワイ・ファミリーデートで真美子さんが持っていたプチプラバッグ》「同年代インフルエンサーのアスレジャーブランド」か?と話題に 実用性の高いトートバッグ、大谷は「娘のベビーカー担当」
NEWSポストセブン
郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「奥羽山脈周辺に“異常変動”が集中」「千葉県が大きく沈降」…2026年初めに警戒すべき5つの地域
週刊ポスト
ジャーナリストの溝口敦氏(左)とフリーライターの鈴木智彦氏
《溝口敦氏×鈴木智彦氏が対談》山口組抗争終結後の暴力団 勝ったはずの六代目山口組含めて勢力は縮小、トクリュウのほうが経済規模も大きく勢いがある現状
週刊ポスト