国内

尖閣ビデオ 船長逮捕時に隊員が海に落下シーンあるも隠蔽説

 尖閣事件での政府の対応をめぐっては、現場の海上保安庁職員の間からは「危険な任務ですが、それでも一生懸命やってきた。それなのに、中国の船長は釈放され、日本人による尖閣への出港も認められないというのでは、情けなくてやりきれない」という声も上がっている。

 このような「空気」は、国家と国民にとって憂慮すべきものであるのはいうまでもない。だが、まさにこのような「空気」が現在の国家存亡の危機の一環であり、より直接的に秩序を揺るがすリスクであることを、我々国民は正確に認識しておく必要がある。

 そのことは、流出させたと名乗り出た神戸海上保安部の職員が身柄を拘束された後、職員が所属する第5管区に電話やメールが殺到し、「捕まえるな」「処分しないでほしい」という同情的な意見が大半を占めているということからもわかる。あたかもクーデターを起こした“憂国の士”を国民が讃えるかのようだ。
 
 元内閣安全保障室長の佐々淳行氏はこう指摘する。

「国民の大多数が見たいと思っていた映像を情報統制したのは仙谷官房長官です。さらに彼は、船長を釈放したのは地検だ、ビデオを流出させたのは海保だと、官邸から遠くへ遠くへ問題を誘導しようとした」

 つまり、このような「空気」を生み出したのは、菅・仙谷内閣の失政なのだ。もう一度繰り返す。ただ今の日本の危機のリアルな本質は、この「空気」にこそある。

 さらに海保職員が歯ぎしりする事実があるという。今回流出したビデオは、海保職員が撮影した4本のテープのうち、2本を編集したものだ。中国人船長らを逮捕するシーンは残りの2本に収められている。だが、その部分は依然、国民に伏せられたままだ。

 実はそこに、「中国人船長を逮捕する際に、海保職員が海に落下し、命を落とす危険にさらされた」シーンが収められているとの情報がある。

 もしこのビデオが表に出れば、「政府は海保職員の生命を軽んじ、中国に土下座することを優先した」との論調が吹き上がることは想像に難くない。事態はさらに切迫度を増している。

※週刊ポスト2010年11月26日・12月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン