国際情報

元朝鮮人民軍幹部 北朝鮮の「東京放射能テロ」計画明かす

 北朝鮮軍による韓国・延坪島への砲撃は、韓国だけでなく日本をも震撼させた。本誌は、2003年に韓国へ亡命した元朝鮮人民軍幹部にコンタクトをとった。在日朝鮮人として生まれ、帰国事業で北朝鮮に渡り、大学卒業後、人民軍幹部の道を歩んだ彼が、砲撃の意図と日本への影響を語る。

 * * *
 日本への波及はあるか。当面、北朝鮮にとっての目標は、米国を6か国協議に連れ戻し、経済的支援を受けることだ。だから、すぐに日本に対して何か仕掛けることはないと考えるのが普通だが、今回の砲撃がまったくの想定外だったことからすると何が起きても不思議ではない。それほど北朝鮮は追いつめられている。洪水や天候不順で米や白菜などの収穫が激減し、相当にひっ迫しているのだ。

 韓国の李明博大統領は、難民が押し寄せてくるのを恐れて大胆な反撃はしない。つまり、金正日は本気で反撃してこないことを見抜いて砲撃に踏み切った。「瀬戸際外交」から「瀬戸際攻撃」にシフトしたのだ。まして菅内閣は尖閣諸島や北方領土の問題で超軟弱外交が見透かされている。だから北朝鮮が、日本への攻撃に利があり、かつ、反撃もしないと判断すれば、いつでも標的になりうる。

 ミサイルでの威嚇もあるかもしれないが、想定されるのはそんな生易しい手段ではない。私が人民軍にいた2000年ごろ、ミサイル攻撃よりもリアリティをもって検討されていた作戦がある。特殊部隊10万人(現在は約20万人)のなかの精鋭テロ部隊がリュックに爆弾を背負って沖縄、青森、東京の米軍基地になだれこむ自爆テロ攻撃だ。さらに、他のテロ部隊が放射能物質をもって日本の大都市や政府中枢組織、地下鉄などで次々と自爆テロを敢行する。東京は放射能汚染で完全にマヒすることになる。

 先日、東京の上野で風俗業に携わっていた脱北女性たちが摘発された。彼女らは実は北朝鮮の国家安全保衛部や軍組織の末端で動いている人間で、日本で稼ぎながら情報収集活動を行なっている。韓国にはスパイ防止法があり、怪しい人間を逮捕できるが、日本は精度の高い情報機関も法律ももたず、防諜意識も極めて薄い。私から見ればそら恐ろしい状況である。

 韓国市民を巻き込む砲撃があったいま、もはや絶対ないといえることなどない。北朝鮮が日本を標的に先制攻撃すれば、甚大な被害が出るだろう。

※週刊ポスト2010年12月10日号

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