国内

茨城の原乳・野菜 出荷停止だが摂取制限はかからぬ矛盾

原発危機に対応する東電職員や自衛隊員らの必死の作業に、政治が水を差してどうするのか。国家的危機だから、今は政治闘争、政権批判を控えるべきだという自粛論があるが、それで日本がよくなるならば我々もそうしよう。しかし、震災から10日以上が過ぎ、危機を収拾するどころか、さらに広げている菅政権の行為は、それ自体が国民の生命・財産を危険に晒している。目をつぶっていることが正義とはいえない危険水域に入った。

しかも、この「原発危機」を増大させているのが、不安や混乱といった人間の所作である点からも目をそらすわけにはいかない。その原因をつくっているのが政府ならば、なおさらだ。

ホウレンソウ、牛乳(原乳)などの農産物や水道水から、次々と食品衛生法の規制値を超える放射性物質が検出され、汚染拡大が報告されている。菅首相は「安全だが、念のため」と、福島、茨城、栃木、群馬4県で出荷停止を指示し、ホウレンソウは首都圏のスーパーの店頭から消えて、関西でも価格が急騰している。

野菜や水から基準値の何十倍、何百倍の放射性物質が「検出された」と連日発表されれば、不安になるのは当たり前だ。枝野幸男・官房長官が「ただちに危険はない」といえばいうほど、「では将来は危険があるのだな」と国民が感じるのも、政府への信頼が崩れかけている危険な兆候である。ミネラルウォーターは買い占められ、農家の生産物は捨てられ、物流が混乱を来していることは、原発被害という側面と、政治被害という側面がある。

誰の目にもおかしい対応を、総理大臣や官房長官が続ける理由は、彼らが国民を見ずに、また悪い癖で周りの者たち、特に霞が関の顔色をうかがって危機に対応しているからだ。

その象徴は、菅直人首相が指示した3月23日の福島産野菜の「摂取制限」だ。その前に4県に出荷停止を命じているのだから、汚染野菜の流通は止まっていた。

枝野長官は、「食用に供されても健康に害を与えるようなものではない。念のため、早い段階から出荷を差し控え、かつ摂取しないほうが望ましい」と理由を説明したが、それならなぜ4県すべてではないのか。

茨城選出の民主党議員の疑問は、しごく当然だ。

「茨城ではホウレンソウとパセリ、原乳が出荷停止だが、摂取制限はかかっていない。茨城の農家は出荷できない野菜を自ら食べ、牛乳を飲んでいいということだ。県民が食べていいのであれば、そもそも安全ということ。出荷制限する必要はないではないか」

※週刊ポスト2011年4月8日号

トピックス

米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
渡邊渚さん
(撮影/松田忠雄)
「スカートが短いから痴漢してOKなんておかしい」 渡邊渚さんが「加害者が守られがちな痴漢事件」について思うこと
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)は被害者夫の高羽悟さんに思いを寄せていたとみられる(左:共同通信)
【名古屋主婦殺害】被害者の夫は「安福容疑者の親友」に想いを寄せていた…親友が語った胸中「どうしてこんなことになったのって」
NEWSポストセブン
高市早苗・首相はどんな“野望”を抱き、何をやろうとしているのか(時事通信フォト)
《高市首相は2026年に何をやるつもりなのか?》「スパイ防止法」「国旗毀損罪」「日本版CIA創設法案」…予想されるタカ派法案の提出、狙うは保守勢力による政権基盤強化か
週刊ポスト
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
米女優のミラーナ・ヴァイントルーブ(38)
《倫理性を問う声》「額が高いほど色気が増します」LA大規模山火事への50万ドル寄付を集めた米・女優(38)、“セクシー写真”と引き換えに…手法に賛否集まる
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン