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マンション建替え計画 決議されれば反対者の居住権は失効

竹下正己弁護士の法律相談コーナー。今回は、「マンションの建替え計画に反対した場合、居住権利はどうなるのでしょう?」と、以下のような質問が寄せられた。

【質問】
マンションが古くなったので、新しく建替える動きがあります。理事会で決まったあと、居住者の総会で最終的に決定するようです。建替えとなると多額の費用がかかりますが、私には負担できそうにないので賛成できません。建替えが決まった場合、私などの反対者の居住権利はどうなるのでしょうか。

【回答】
建設反対住民の財産上の権利は対価の支払いで保護されますが、区分所有法の手続きを踏んで立ち退きを求められれば、居住できなくなります。しかし、一定の配慮を受ける場合があります。

マンション建替えの決議に当たっては、総会の2か月以上前に、計画の概要や建替え理由などを書いた招集通知を出し、1か月前までに説明会を開催して、その内容の周知が図られます。建替え計画は、負担と利益の面で衡平を害さないように定める必要があります。

そして、総会で区分所有者と議決権の割合の両方で5分の4以上の賛同があれば可決されます。決議後の売渡し請求で不参加者の所有権が失われるので、厳格な手続きが要求されます。たとえば、決議事項で設計の概要を定めることが必要ですが、敷地の特定を欠いた決議は建築面積や床面積も決まらず、無効とした裁判例もあります。

可決後、賛成しなかった区分所有者に、建替え参加意思の回答を書面で催告します。2か月以内に回答しないと不参加と決定します。その2か月以内に賛成者や、その同意を得た業者が不参加者に対してその権利の売渡しを請求でき、請求があると時価で売買が成立します。時価とは、建替え後の価値から負担費用を控除した金額です。

売買ですから代金の支払いがあれば移転登記や明け渡しの必要がありますが、金額に不服があれば、裁判所が判断します。しかし、金額が決まっても住まいに困る場合、裁判所に申し立てて1年間以内で猶予を受けることができます。

なお、マンション建替え円滑化法は事業の円滑化を目指す法律で、建替え組合を設立認可するなどして、その推進を図るためのもので、自治体に対し、転出区分所有者に対する住宅支援措置に努めるように求めています。

※週刊ポスト2011年5月6日・13日号

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