タンザニアで女子学生が誘拐され焼死体となって見つかった事件が発生した(時事通信フォト、タンザニアのマジャリワ首相(左)と握手する石破茂氏)
SNS上で「移民が流入し治安が悪化する」などと誤情報が拡散し、抗議が殺到したことから国際協力機構(JICA)が撤回を余儀なくされた「アフリカ・ホームタウン」構想。山形県長井市はアフリカ東部の国「タンザニア」の「ホームタウン」として、同構想に参画する計画だった。
「タンザニアと長井市の交流は約40年続いています。タンザニア人の女性の移住がきっかけとなり始まったもので、東京五輪では同国のホストタウンになりました。昨年には首都のドドマ市と姉妹都市にもなっています。
しかし、今回のホームタウン構想を受けて、タンザニアの地元メディアが『Japan dedicates Nagai City to Tanzania(日本が長井市をタンザニアに捧げる)』という見出しで報じました。英文もそもそも正確性に欠く表現ですが、それを誤訳した人が、『タンザニアからの大量の移民を長井市が受け入れる』などの“デマ”を拡散し、誤解が広がりました」(地元担当記者)
SNS上ではタンザニアなどホームタウンに選定された4カ国の治安の悪さなどを訴える投稿も目立った。確かに、在タンザニア日本国大使館は、公式サイトでこのように注意喚起している。
「日本よりも事故、事件・犯罪発生件数が多く、交通事故・スリ・ひったくり・空き巣や家宅侵入の他、タクシー強盗(偽タクシーによる金品奪取事件)などの一般犯罪が日常的に発生しています」
タンザニアはアフリカのなかで比較的治安がいいとされているが、世界的にも凶悪犯罪が少ない日本の基準で考えると、気をつけなければいけないシーンは多いだろう。
しかしながら少子高齢化の進む日本とは対照的なアフリカ諸国とパートナーシップを築くこと自体は否定するべきものではない。大手紙国際部記者が解説する。