国内

5時間で停止 高いガラクタ売った米社に東電は賠償請求せよ

 これは歴史に残る国際詐欺事件ではないか。福島第一原発で大量に発生している放射能汚染水の処理問題。米国・キュリオン社はゼオライトという鉱物を汚染水に加えて放射性セシウムを吸着させて取り除く設備を東電に売りつけたのだが、本格的に稼働を始めた6月17日、不具合を起こしてわずか5時間でストップした。
 
 その後も故障が続出、事故収束のカギを握る汚染水処理がピンチに陥っている。米原子力大手・GE社の元社員で、現在は原子力関連企業でコンサルタントを務める佐藤暁氏が指摘する。

「不具合の原因は、汚染濃度の高い汚泥が汚染水と一緒に流れ込んで装置内の放射線量が高くなりすぎたこと。設計段階で汚泥の除去を組み入れておけば簡単にクリアできたはずです。

 セシウムを吸着したゼオライトの交換は1か月に1度で済むはずでしたが、この設計ミスのために5時間で交換しなければならなくなった。再稼働後も同じペースでの交換が必要なら、汚染水処理がはかどらないばかりか、大量の汚染ゼオライトの処理という問題まで抱えてしまう」

 東電はキュリオン社との契約金額を公表していないが、ガラクタ装置に大枚をはたいたことは間違いない。北海道大学大学院工学研究科の佐藤努教授(資源循環工学)がいう。

「日本は天然ゼオライトの世界有数の産出国として知られます。米国内で作った人工のゼオライトを使用しているキュリオン社に委託する必要はない。日本産を使えば、コストは100分の1程度にまで抑えられるはずです」

 日本には処理技術もある。日立や東芝などプラントメーカーの系列会社には高度な除去技術を持つ化学企業がいくつもある。それでも東電がキュリオン社と契約した理由は、同社の装置が米スリーマイル島原発事故(1979年)の処理で力を発揮したからだと報じられている。しかし、米国の原発関連企業幹部はその実績自体が眉唾だという。

「キュリオン社が設立されたのは3年前だから、スリーマイル事故に関わっているはずがない。フクシマの事故処理を受注するまで米原子力業界では全くの無名だった。受注と同時にクリントン大統領時代の元CIA長官が同社への出資会社の顧問に就任している。契約には何か政治的な裏があったとしか思えない」

 東電はさっさと契約を解除したうえでキュリオン社に違約金を請求すべきだ。

※週刊ポスト2011年7月8日号

関連キーワード

トピックス

お笑いコンビ「ガッポリ建設」の室田稔さん
《ガッポリ建設クズ芸人・小堀敏夫の相方、室田稔がケーブルテレビ局から独立》4月末から「ワハハ本舗」内で自身の会社を起業、前職では20年赤字だった会社を初の黒字に
NEWSポストセブン
”乱闘騒ぎ”に巻き込まれたアイドルグループ「≠ME(ノットイコールミー)」(取材者提供)
《現場に現れた“謎のパーカー集団”》『≠ME』イベントの“暴力沙汰”をファンが目撃「計画的で、手慣れた様子」「抽選箱を地面に叩きつけ…」トラブル一部始終
NEWSポストセブン
母・佳代さんのエッセイ本を絶賛した小室圭さん
小室圭さん “トランプショック”による多忙で「眞子さんとの日本帰国」はどうなる? 最愛の母・佳代さんと会うチャンスが…
NEWSポストセブン
春の雅楽演奏会を鑑賞された愛子さま(2025年4月27日、撮影/JMPA)
《雅楽演奏会をご鑑賞》愛子さま、春の訪れを感じさせる装い 母・雅子さまと同じ「光沢×ピンク」コーデ
NEWSポストセブン
自宅で
中山美穂はなぜ「月9」で大記録を打ち立てることができたのか 最高視聴率25%、オリコン30万枚以上を3回達成した「唯一の女優」
NEWSポストセブン
「オネエキャラ」ならぬ「ユニセックスキャラ」という新境地を切り開いたGENKING.(40)
《「やーよ!」のブレイクから10年》「性転換手術すると出演枠を全部失いますよ」 GENKING.(40)が“身体も戸籍も女性になった現在” と“葛藤した過去”「私、ユニセックスじゃないのに」
NEWSポストセブン
「ガッポリ建設」のトレードマークは工事用ヘルメットにランニング姿
《嘘、借金、遅刻、ギャンブル、事務所解雇》クズ芸人・小堀敏夫を28年間許し続ける相方・室田稔が明かした本心「あんな人でも役に立てた」
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《真美子さんの献身》大谷翔平が「産休2日」で電撃復帰&“パパ初ホームラン”を決めた理由 「MLBの顔」として示した“自覚”
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《ラジオ生出演で今後は?》永野芽郁が不倫報道を「誤解」と説明も「ピュア」「透明感」とは真逆のスキャンダルに、臨床心理士が指摘する「ベッキーのケース」
NEWSポストセブン
渡邊渚さんの最新インタビュー
元フジテレビアナ・渡邊渚さん最新インタビュー 激動の日々を乗り越えて「少し落ち着いてきました」、連載エッセイも再開予定で「女性ファンが増えたことが嬉しい」
週刊ポスト
主張が食い違う折田楓社長と斎藤元彦知事(時事通信フォト)
【斎藤元彦知事の「公選法違反」疑惑】「merchu」折田楓社長がガサ入れ後もひっそり続けていた“仕事” 広島市の担当者「『仕事できるのかな』と気になっていましたが」
NEWSポストセブン
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志(61)と浜田雅功(61)
ダウンタウン・浜田雅功「復活の舞台」で松本人志が「サプライズ登場」する可能性 「30年前の紅白歌合戦が思い出される」との声も
週刊ポスト