ライフ

胃がんに強い病院 内視鏡治療数の割合に着目すると分かる

 胃がんは早期であれば、100%近く完治が可能である。だからこそ、病院選びが重要になる。では、統計データのどこに注意すべきか。国立がん研究センターの西本室長は、「着目すべきは『内視鏡』の割合」だという。

 内視鏡治療とは、電気メス付きの内視鏡で胃の内壁のがんを切除するもの。腹部を切らないので、体への負担は非常に小さい。早期がんだからできる治療法なのだが、逆にいえば内視鏡治療が多い病院は、検診体制に力を入れ、早期発見に努めているともいえる。また、専門技術を要する治療法なので、専門医が揃っていなければ数をこなせない。

 がん治療計256例中133例と、内視鏡治療が半数以上を占める山形県・酒田市病院機構日本海総合病院には、他の病院にはない『治療内視鏡科』がある。

「院外的には、「内視鏡内科」と表記していますが、院内では内視鏡治療の専属の科として独立しています。昨年は胃がんと大腸がん合わせて300件以上施術しました。医療器具メーカーや20名もの医師と一緒に『SBナイフ』というハサミ型レーザーナイフを開発し、効率的に治療できるようになったことが大きいですね」(同院内視鏡内科・本間清明医師)

 優秀な専門医を揃えていることを誇るのは埼玉医科大学国際医療センターだ。

「治療に携わっている医師は7名で、内訳は内視鏡学会の指導医が3名、専門医が4名。全員が内視鏡のトレーニングを受けた医師で、ビギナーはいません」(同院消化器内科・喜多宏人教授)

 日本一多く、胃の内視鏡検査をやっているというのは長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院だ。

「内視鏡医は14名で、年2万6000件の内視鏡(検査と治療)をやっています。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は10数年前に日本で開発された技術で、がんを切除する『フックナイフ』は私が開発しました。技術を学ぶため全国から医師が集まってきています」(同院胃腸科部長・小山恒男医師)

 大阪府立病院機構大阪府立成人病センターの消化管内科副部長・上堂文也医師も、「正常粘膜と病変を異なる色で表示し、病変を発見しやすくさせるAFI(蛍光内視鏡)という機器をオリンパスさんと共同開発するなど、先進機器の開発にも積極的に取り組んでいます」と胸を張る。

 このように、早期がんの場合は、内視鏡治療が効果的なケースが多いが、一方、進行がんになると手術や抗がん剤などの化学療法が必要となる。

※週刊ポスト2011年9月16・23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
9年の濃厚な女優人生を駆け抜けた夏目雅子さん(撮影/田川清美)
《没後40年・夏目雅子さんを偲ぶ》永遠の「原石」として記憶に刻まれた女優 『瀬戸内少年野球団』での天真爛漫さは「技巧では決して表現できない境地」
週刊ポスト
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン