国内

ゲーム市場のソニーと任天堂 成功体験に縛られ取り残される

 日本の家庭用ゲーム機が相次ぎ大幅値下げとなった。まず任天堂が8月11日、売れ行きが伸び悩んでいた「ニンテンドー3DS」の価格を従来の2万5000円から1万円も引き下げた。それに対抗してソニー・コンピュータエンタテインメントも「プレイステーション(PS)3」を値下げしたのである。なぜ「DS」「Wii」と大ヒットを飛ばしてきた任天堂が「3DS」で急失速してしまったのか? 大前研一氏が解説する。

 * * *
 これはまさに、かつてハーバード・ビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱した「イノベーターズ・ジレンマ」の典型例だ。つまり、任天堂は革新的な優れた商品を生み出したが、その成功に酔いしれて従来商品を改良することだけに目を奪われ、新しい流れに気づかず、変化への対応が遅れてしまったのである。
 
 今や任天堂の業績は大きく落ち込んで、一時は7万円を超えていた株価も下がり続け、1万円台で低迷している。にもかかわらず従来の延長線上で3DSを発売し、予想以上に販売が苦戦して4割もの価格引き下げに踏み切らざるを得なくなったわけだ。

 要は、世界のゲーム用コンソール(ゲーム専用機)市場を席巻したソニーと任天堂(そしてそれに対抗したマイクロソフトのX-box)が過去の成功体験に縛られている間に、世界のゲーム業界では大きなパラダイムシフトが起きていたのである。

 彼らは未だにゲームソフトのヒット作が出ればゲーム機も売れると考えているようだが、それは間違いだ。日本勢が得意としてきたコンソール主義の時代は、3~4年前から大きく翳ってきていたのである。
 
※週刊ポスト2011年9月30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に音楽ユニット「girl next door」の千紗と結婚した結婚した北島康介
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
二階堂ふみとメイプル超合金・カズレーザーが結婚
二階堂ふみ&カズレーザーは“推し婚”ではなく“押し婚”、山田美保子さんが分析 沖縄県出身女性芸能人との共通点も
女性セブン
山下美夢有(左)の弟・勝将は昨年の男子プロテストを通過
《山下美夢有が全英女子オープンで初優勝》弟・勝将は男子ゴルフ界のホープで “姉以上”の期待度 「身長162cmと小柄だが海外勢にもパワー負けしていない」の評価
週刊ポスト
京都成章打線を相手にノーヒットノーランを達成した横浜・松坂大輔
【1998年夏の甲子園決勝】横浜・松坂大輔と投げ合った京都成章・古岡基紀 全試合完投の偉業でも「松坂は同じ星に生まれた投手とは思えなかった」
週刊ポスト
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗、直近は「マスク姿で元気がなさそう…」スイミングスクールの保護者が目撃
NEWSポストセブン
娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
「なぜ熊を殺した」「行くのが間違い」役場に抗議100件…地元猟友会は「人を襲うのは稀」も対策を求める《羅臼岳ヒグマ死亡事故》
NEWSポストセブン