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焼香客が何人でもお経が丁度終わる理由をみうらじゅん氏解説

みうらじゅん氏は、1958年京都生まれ。イラストレーター、エッセイスト、ミュージシャン、ラジオDJなど幅広いジャンルで活躍。1997年「マイブーム」で流行語大賞受賞。仏教への造詣が深く、『見仏記』『マイ仏教』などの著書もある彼が、お経について考察する。

* * *
不思議に思ったことはないだろうか? 焼香をする人の数が、数十人の葬儀も、数百人の葬儀も、最後の焼香の人が終わってちょっとした頃に、ちゃんと読経が終わるということに。

これは焼香する人の多い少ないを僧侶が判断して、臨機応変にお経を読むことによって調節をしているという。焼香客が多い葬儀では同じ箇所をリピートしたり、ゆっくりと読み、逆の場合は途中をはしょったり。

出席者にはお経の意味がわからないからこそできる、これぞ修行の賜物といってもいい芸当ではあるが、葬儀を式典として遺漏なく進行するという面では非常に重要だ。

レコードの同じ所を何度も繰り返すDJとちょっと似たようなものを感じるが、考えてみれば、ラップとターンテーブルでクラブの雰囲気を操るDJにとって、読経と木魚で葬儀の空気感までも司る僧侶は、ある意味、大先輩といってもいいかもしれない。

※週刊ポスト2011年11月11日号

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