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カルザイをアフガン大統領にしたことは「最悪」と落合信彦氏

オバマ政権が内憂外患の苦しみに苛まれている。オバマが議会に提案した総額約34兆円(4470億ドル)の雇用対策法案は上院で否決され、行き場を失った。一方、泥沼化したアフガニスタン情勢の出口も見えてこない。その原因はどこにあるのか、ジャーナリストの落合信彦氏が指摘する。

* * *
2001年の9・11同時多発テロをきっかけに始まったアフガンでの戦争に費やされた戦費は、10年間で約34兆円にのぼる(計算の仕方によってはもっと多くなるが)。偶然の数字の一致とは言え、アフガンへの深入りが、不況からの出口さえ塞いでしまっていることを象徴的に示している。

アメリカは一体、どこで道を間違えてしまったのだろうか?

9・11発生後、アメリカは1か月もしないうちにアフガン侵攻を開始。数週間で首都カブールからタリバンを追い出し、アル・カイーダを匿う政権を駆逐した。この迅速な勝利を最大限に活かすために必要だったのは、「人望があり、信頼できるアフガン人に統治を任せる」ということだった。

その意味で、カルザイという「人望」や「信頼」とは無縁の男をアフガンの大統領にしてしまったことは、最悪の選択だった。

カルザイ政権は目を覆うばかりの腐敗にまみれている。賄賂の横行、公共事業の利権化、そしてアヘンなど麻薬の取引で巨額の利益を掠め取るこうした不正の先頭に立つのが、カルザイとその一族たちなのだ。先日殺害されたカルザイの弟が「アフガンの麻薬王」であったことは公然の秘密である。当然、アフガン国民の心はカルザイ政権から離れ、タリバンが力を盛り返している。今では、首都カブールの治安維持すらおぼつかない状況なのだ。

※SAPIO2011年11月16日号

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