国際情報

欧州経済救済 日本が世界の英雄になる方法を大前研一氏解説

欧州債務危機の拡大懸念が強まっている。では、日本の為すべきことは何か。大前研一氏は、やり方によっては日本が欧州経済救済で、世界のヒーローになれると指摘する。以下は、大前氏の解説である。

* * *
欧州債務危機は、最初の国が流動性危機でデフォルトしないように資金を供給してあげることが最も重要なのる。その点、EUの対応は拙劣だった。

ギリシャのデフォルトを何としても食い止めるべきだったのに、ユーロ圏首脳会議で民間銀行が保有するギリシャ国債の元本の50%削減を自発的に受け入れる、という中途半端な救済策を出した。

これは事実上のデフォルトである。実際、欧州系大手格付け会社フィッチは、デフォルトに相当する、との見解を発表している。

この先は、絶対、イタリアにデフォルトが飛び火しないようにしなければならない。具体的には、EFSF(欧州金融安定基金)の“見せ金”の大きさが重要だ。ギリシャやイタリアどころか、EUのどの国が流動性危機に直面しても安心できる規模に拡大すべきである。

その額は、私は300兆円だと思う。ユーロ圏17か国は10月末にEFSFの1兆ユーロ(約103兆円)への規模拡大に合意しているものの現在の融資能力は、まだ約4400 億ユーロ(約45兆円)でしかない。

日本が為すべきことは、積極的なEFSFへの資金拠出である。これまでにEFSFは160億ユーロ(約1兆6500億円)の債券を発行しており、日本はそれを買う形で全体の2割近い約30億ユーロ(約3100億円)を拠出している。

日本政府は「すでに我々はEFSFを支えるために一国で2割を負担しています。今後も、どれだけ規模が拡大しても“2 割負担”を守ります」と宣言すべきだと思う。そうすれば日本は世界のヒーローになれる。

そこまでする必要があるのか、という批判が出てくるかもしれないが、EFSFが300兆円に拡大したとしても2 割なら60兆円だ。それに、寄付するわけではなく金利も付くのだから、余っている外貨準備や外国為替資金特別会計を国内に寝かせておくよりは、日本にもメリットがある。

※週刊ポスト2011年12月16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
《ルフィ事件》「腕を切り落とせ」恐怖の制裁証言も…「藤田は今村のビジネスを全部奪おうとしていた」「小島は組織のナンバー2だった」指示役らの裁判での“攻防戦”
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
ツアーに本格復帰しているものの…(左から小林夢果、川崎春花、阿部未悠/時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》川崎春花、小林夢果、阿部未悠のプロ3人にゴルフの成績で “明暗” 「禊を済ませた川崎が苦戦しているのに…」の声も
週刊ポスト
兄・輝星と仕草も容貌も瓜二つの吉田大輝
金足農業・吉田大輝「甲子園で優勝して、兄・輝星を超えたい」決意 顔も仕草も瓜二つだが、「まるで違う」と父が明かす2人の性格
週刊ポスト
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「城島さん、松岡さんと協力関係は続けていきたいと思います」福島県庁「TOKIO課」担当者が明かした“現状”と届いたエール
NEWSポストセブン
映画『国宝』で梨園の妻を演じた寺島しのぶ(52)
《無言の再投稿》寺島しのぶ、SNSで2回シェアした「画像」に込められた歌舞伎役者である息子・尾上眞秀への“覚悟”
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビー服は男の子のものでは?》眞子さん、夫・小室圭さんと貫く“極秘育児”  母・佳代さんの「ラブコール」も届かず…帰国が実現しない可能性も
NEWSポストセブン
吉沢亮演じる喜久雄と横浜流星演じる俊介が剣幕な表情で向かい合うシーンも…(インスタグラムより)
“憑依型俳優”吉沢亮主演の映画『国宝』が大ヒット、噂される新たな「オファー」とは《乗り越えた泥酔事件》
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“半日で1000人以上と関係を持った”美女インフルエンサー(26)がイギリスの公共放送で番組出演「口をすぼめて、吸う」過激ビジュアル
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 三原じゅん子「暴力団ゴルフコンペ」写真ほか
「週刊ポスト」本日発売! 三原じゅん子「暴力団ゴルフコンペ」写真ほか
NEWSポストセブン