国内

橋下氏の優秀ブレーンの日当1~2万円 この金額でもやる理由

 改革派の元キャリア官僚、敏腕コンサルタント、気鋭の大学教授……橋下徹・大阪市政は多くのブレーンを抱え、それが改革推進の大きな原動力となっている。その強さの秘密を、39歳で佐賀市長に当選した経験を持ち、行政改革の専門家として「チーム橋下」のメンバーをよく知る木下敏之氏が分析する。

 * * *
 橋下徹市長の就任後、大阪市は新たに11人を特別顧問に委嘱した(1月末時点)。

 作家の堺屋太一氏、元経産官僚の古賀茂明氏、元杉並区長の山田宏氏など、橋下改革をサポートする豪華な顔ぶれとなっている。

 自治体の改革は、首長一人の力では成し遂げられない。職員の中から改革派の人間を登用すると同時に、“ムラ社会”の考え方に染まっていないブレーンを外部から連れてくることが重要となる。

 とはいえ、役所が払える日当はせいぜい1万~2万円程度。著名コンサルタントや企業家にとっては、本業の収入の10分の1以下だろう。ボランティア感覚で引き受けてくれる人間は決して多くない。

 それでも、橋下氏は府知事時代から優れたブレーンを集め、その数を増やしてきた。

 なぜか。

 理由は単純である。橋下氏が、ブレーンの立案した改革案をすぐ実行に移すからだ。

 自分が手助けを依頼した人の提案なのだから、実行するのが当然では……と思うかもしれないが、行政改革の現場では逆のケースが非常に多い。

 例えば私は以前、ある市長に頼まれて経験豊富な行政改革のアドバイザーを紹介したことがある。市の行革委員に就任したその人物に1年後に会うと、「辞めるつもりだ」と明かされた。市長にアイデアを出しても、市役所幹部の反対や議会の強硬姿勢を理由に、一向に実行しないのだという。改革の「ポーズ」だけ見せたい首長は意外なほどに多い。

 逆に言えば、次々と改革を打ち出す橋下氏の手法は、ブレーンの士気を上げる。有能なブレーンがさらに集まってくるという循環が生まれるわけだ。

※SAPIO2012年2月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン