国内

震災後1年 被災地には「今日も全国から手紙が届いてます」

座礁船の横を走る郵便配達員(2011年10月12日撮影。釜石市)

 あれから1年が経った。現在、死者・行方不明者合わせ1万9130人。全壊した建物は12万8582棟。被災3県の仮設住宅は5万2593戸にのぼる(2月29日現在)。

 津波の直撃を受けた地域は、多くの場所で瓦礫が撤去されたが、いまだのっぺらぼうの地肌を晒す。政府は復興に向け12兆円の予算を組んだものの、「元通りになんのはあと10年はかかるわな」と、漁船を流された福島県いわき市の50代の漁師は嘆息する。

 本格的な復興はこれからだ。人々は試行錯誤しながらも、生きるための工夫を始めている。宮城県気仙沼市では、人々が集う仮設商店街ができた。名称は「復幸マルシェ」。また、岩手県釜石市では仮設住宅の飲み屋街「呑兵衛横丁」が毎夜、大繁盛だ。

 釜石市の郵便配達員・鳥屋部絢香(20)さんが語る。

「信号も復旧していない3月18日から配達を再開しました。配達量は震災前に比べて4割ほどですが、仮設住まいの方々へ、今日も全国から手紙が届いていますよ」

 郷里を離れた息子からの写真、被災地での息子の成長を綴った手紙など、人と人のつながりが生きる希望になっている。 決して一人ではない。被災地の風景は少しずつ、しかし確実に変わっている。

 写真は昨年10月12日に撮影された釜石市で座礁した「アジアシンフォニー号」(4724トン)。その後、クレーン船「洋翔」によって海に戻された。鳥屋部さんは1日おきに午後2時頃、この海岸沿いの道を通り、便りを届けている。

撮影■片野田斉

※週刊ポスト2012年3月16日号

関連キーワード

トピックス

(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
「運転免許証偽造」を謳う中国系業者たちの実態とは
《料金は1枚1万円で即発送可能》中国人観光客向け「運転免許証偽造」を謳う中国系業者に接触、本物との違いが判別できない精巧な仕上がり レンタカー業者も「見破るのは困難」
週刊ポスト
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン