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放射能を避け母子のみで西日本に移住する夫婦に離婚増加中

 復興庁の統計によれば、2月23日現在、関西以西・以南の2府21県に避難した人の数は9998人にのぼっているという。被災者支援を続けている『NPO法人街づくり支援協会』の黒田俊司さんが移住・疎開の現状をこう話す。

「関西方面に疎開してくるかたたちの7割が小学校低学年までのお子さんとその母親で、3割がご主人も一緒にいらっしゃるご家族です。理由は“食事でも放射能の心配がないものを食べられる”“安心して外で遊ばせられる”“安全で安心して育児ができるから”と。震災から1年経ちましたが、移住者や疎開者は問い合わせも含め増えています」

 新しい土地で新生活を送るにはそれなりの資金が必要で、移住・疎開はお金がある人の選択と思われがちだが、前出・黒田さんによれば、実際はパートをしながら、安い住宅を探し、そこをシェアするなど経済的負担を減らそうと工夫している母親も多いという。しかし、問題は経済的なことだけではない。夫婦関係に影響が及ぶケースも多いのだ。

 黒田さんはその現状についてこう語る。

「夫と別居して子連れで移住・疎開していた人たちの中で離婚が増えてきています。震災から時間が経ったいま、夫婦で意見が違ってくるんですね。夫は“戻ってこい”というけど、妻は“いまはまだ戻れない”とか。

 母親の立場からすれば、夫が何をいおうと、国が安全といおうとも、やはり子供のことを考えれば、より安全で安心して生活できる場所で子育てをしたいという選択になりますから。経済的負担も大きくなり、そこでも夫婦間の対立を生むことにもなります。子供のためにと始めたことなのに、それで離婚となるのは子供にとっても悲しいことですよね」

※女性セブン2012年3月29日・4月5日号

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