国内

木嶋佳苗 詐欺時の偽名は凄い美人の中学同級生の名前使った

 コンカツ詐欺で三人の男性を殺害したとして、一審で死刑判決が出た木嶋佳苗被告(37歳)。100日間の裁判を傍聴し続け、「毒婦。」(朝日新聞出版)を上梓した、文筆家で女性用アダルトグッズショップ「ラブピースクラブ」代表の北原みのりさんは、木嶋被告の故郷まで取材に訪れている。その北原さんが、「私と佳苗」について語った。(聞き手=ノンフィクション・ライター神田憲行)

 * * *

−−北原さんは佳苗被告の故郷である北海道の別海町まで取材に行かれました。どんな町なんですか。

北原:人より牛が多くて、稼働しているタクシーが2台しかない町でした。ちょっとびっくりしたのは、彼女の中学時代の名簿を頼りに当時の同級生たちに電話すると、ほとんどの人がそのまま住んでいたこと。普通、地方の田舎って、仕事を探して都会に出て行ったりするじゃありませんか。別海町は別海町の中で生き続けられるんです。

 むしろ、東京どころか、札幌に出て行くのは大変なことなのだと感じました。同級生の中には15年間、ずっと同じコンビニで働いている人もいました。出稼ぎに出なくてはいけないほど貧しくはない。でも町にあるのは他人の視線だけ。映画や小説でアメリカの田舎の閉塞感が描かれることがありますが、まさにあんな感じです。

 そんななかで、佳苗の叔母さんはアメリカ留学の経験があったり、佳苗被告を含めて四人兄姉みんな東京に出てきた木嶋家は特殊だったと思う。佳苗被告が地元の人たちと自分は違うという意識を持ったのは、すごくよくわかる。

−−中学生時代の佳苗被告はどんな子供だったのでしょう。

北原:中学生のころに佳苗被告は知人宅から通帳と印鑑を持ち出して300万円を引き出そうとしたんですが、郵便局員の機転で通報されています。さらに高校生のころも同じ事をして、これは実際に引き出してお父さんが弁償しています。深い付き合いの友人もいない。男性の同級生たちに聞いても、記憶がおぼろげでした。

−−もともと、いろんな事件を起こしていた人物なんですね。

北原:ええ、東京に出てきてからも、万引きで捕まったりしています。いちばん大きいのが、ネットオークション詐欺で逮捕されていること。偽名で登録して、パソコンの代金を振り込ませて品物を送らなかった。

 興味深いのはそのときの偽名なんです。ちょっと変わった女性の名前を使っているんですが、その名前の人物は佳苗被告の中学の同級生なんですよ。しかも凄い美人で中学のスターみたいだった人。

 あれだけ自分のことを特別な存在だと思い、故郷の気配を消そうとした人が、なぜそこだけ故郷につながる名前を拝借したのか。男の同級生の誰も記憶に残らない女の子が、スターみたいな子に複雑な感情を抱いていたのかも知れません。

−−佳苗被告がそういうコンプレックスじみたものを感じさせるのは、珍しいんですか。

北原:ええ、超ポジティブ、何でも良いように言い換える人ですから。オークション詐欺で逮捕されたことは今回の裁判で触れられたんですが、留置場に入れられていたときのことを佳苗被告は「あたしが霞ヶ関にいたころ」って表現するんですよ!まるで官僚として働いてみたいな言い方ですが、それ、留置場だろう(笑)!

関連キーワード

関連記事

トピックス

妻とは2015年に結婚した国分太一
「“俺はイジる側” “キツいイジリは愛情の裏返し”という意識を感じた」テレビ局関係者が証言する国分太一の「感覚」
NEWSポストセブン
二刀流復活・大谷翔平の「理想のフォーム」は?(時事通信フォト)
二刀流復活・大谷翔平の「理想のフォーム」は?「エンゼルス時代のようなセットポジションからのショートアームが技術的にはベター」とメジャー中継解説者・前田幸長氏
NEWSポストセブン
24時間テレビの募金を不正に着服した日本海テレビ社員の公判が行われた
「募金額をコントロールしたかった」24時間テレビ・チャリティー募金着服男の“身勝手すぎる言い分”「上司に怒られるのも嫌で…」【第2回公判】
NEWSポストセブン
元セクシー女優・早坂ひとみ
元セクシー女優・早坂ひとみがデビュー25周年で再始動「荒れないSNSがあったから、ファンの皆さんにまた会いたいって思えました」
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一
【スタッフ証言】「DASH村で『やっとだよ』と…」収録現場で目撃した国分太一の意外な側面と、城島・松岡との微妙な関係「“みてみぬふり”をしていたのでは…」《TOKIOが即解散に至った「4年間の積み重ね」》
NEWSポストセブン
衝撃を与えた日本テレビ系列局元幹部の寄付金着服(時事通信フォト)
《24時間テレビ寄付金着服男の公判》「小遣いは月に6〜10万円」夫を庇った“妻の言い分”「発覚後、夫は一睡もできないパニックに…」
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国民に愛された『TOKIO』解散》現場騒然の「山口達也ブチギレ事件」、長瀬智也「ヤラセだらけの世界」意味深投稿が示唆する“メンバーの本当の関係”
NEWSポストセブン
漫画家の小林よしのり氏
小林よしのり氏、皇位継承問題に提言「皇室存続のためにはただちに皇室典範を改正し、愛子皇太子殿下の誕生を実現しなければならない」
週刊ポスト
警視庁を出る鈴木善貴容疑者=23日午前9時54分(右・Instagramより)
「はいオワター まじオワター」「給料全滅」 フジテレビ鈴木容疑者オンカジ賭博で逮捕、SNSで1000万円超の“借金地獄”を吐露《阿鼻叫喚の“裏アカ”投稿内容》
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「TOKIOを舐めるんじゃない!」電撃解散きっかけの国分太一が「どうしても許せなかった」プロとしての“プライド” ミスしたスタッフにもフォロー
NEWSポストセブン
大手芸能事務所の「研音」に移籍した宮野真守
《異例の”VIP待遇”》「マネージャー3名体制」「専用の送迎車」期待を背負い好スタート、新天地の宮野真守は“イケボ売り”から“ビジュアル推し”にシフトか
NEWSポストセブン
「最近、嬉しかったのが女性のファンの方が増えたことです」
渡邊渚さんが明かす初写真集『水平線』海外ロケの舞台裏「タイトルはこれからの未来への希望を込めてつけました」
NEWSポストセブン