木嶋佳苗一覧

【木嶋佳苗】に関するニュースを集めたページです。

言いたいことをぶちまける山田詠美氏と中川氏
山田詠美『つみびと』執筆背景を語る 「男で人生悪く変わる」
 東京・下北沢の本屋B&Bで開催されたイベント(8月5日)は、チケットが発売されるや瞬く間に売り切れる大盛況ぶり。こうしたイベントにはほとんど登壇しない作家・山田詠美さんが、ネットニュース編集者の中川淳一郎さんの依頼に応えて実現した一夜限りのそれは、大きな反響を呼んだ。題して「今の世の中に言いたいこと、ぶちまけます」。中川さんの元上司である、博報堂ケトルの嶋浩一郎さんが司会を務めた2時間にわたる鼎談の中で、2人が「なっとらん、ドーン!」と机を叩いた事柄とは…。◆ネットニュース編集者とアナログ作家の接点は?嶋:山田さんと中川くんは今日が初対面なんですよね。中川:はい。僕が今会いたい人、ということで山田さんをお招きしました。僕、もう今日は緊張しちゃって、楽屋ですでにビール4杯飲んじゃってますからね(笑い)。嶋:中川はこう見えてもネットニュース隆盛の中で大活躍してきたネットニュース編集者なんですけど、山田さんはネットは一切しないんですよね?山田:私はアナログ人間なのでネットにはまったく興味ないんです。でも中川くんの本は好きで、新刊が出たら必ず買って読んでいます。許せることと許せないことのラインが自分と似ている気がして。以前のインタビューで、「気になってる書き手は?」と聞かれて彼の名前を答えたから、それを誰かが目に留めて伝えてくれたのかな。中川:いや、その記事を自分で見つけて「どういうこっちゃ?」とびっくりしました(笑い)。僕は山田さんの新刊『つみびと』についてぜひお聞きしたかったのですが、これは2010年の大阪2児置き去り餓死事件に着想を得ていますよね。風俗店で働いていたシングルマザー(下村早苗)が、幼い2人の子を部屋に放置して餓死させた事件です。婚活殺人の木嶋佳苗でも、後妻業殺人の筧千佐子でもなく、なぜ山田さんは彼女を描こうと?嶋:あの事件が起きた当時、彼女はまだ23歳でしたよね。山田:そう。今、名前が挙がった女性たちよりも、彼女はずいぶん若い。そんな若い彼女が子供を置き去りにして遊ぶ時の心理を想像したら、多分、心を麻痺させないとやっていられなかっただろうと思うんです。 でもどこかで何かの選択を間違えなければ、あんなひどい事件を起こさなかった可能性だってあるでしょう。女性なら誰しも、そういう危うい瞬間が人生にあることを理解できるんじゃないかな。中川:大阪で起きた事件ですが、小説では舞台を北関東にしていますね。山田:私は東京出身ですが、父親が転勤族だったので地方をいろいろ回っていて。北関東には土地勘があったので、リアリティーを出せるんじゃないかなと思ったのが理由です。あのエリアの因習にとらわれている感じがすごくわかるので。中川:因習にとらわれている感じ?山田:ひどい人生から脱け出したくても、地域や周りがそれをさせてくれない感じ、といえば伝わるかな。ヤンキーのコミュニティーですよね。沖縄もそうかもしれない。中川:山田さん、以前に対談で「女は男でつまずく」っておっしゃっていましたよね。そういうこととも繋がりますか?山田:選択肢が奪われた家庭で育つと、人は間違った手を掴んでしまいやすくなると思うんです。女性の場合は特に、それが恋愛という形で表れやすい。本当の救いの手じゃなくて、くだらない男の手を掴んだことで人生が悪く変わる。そういうことって実際多いでしょう。中川:僕が印象的だったのは、下村被告をモデルにした主人公の母親。母親は娘よりずっとふしだらなんですよ。でも彼女はわが子を殺さずに済んだ。なぜなら逃げたから。主人公は逃げられなかったから、殺してしまった。母娘のその差に山田さんはどう向き合ったんですか。山田:母親の方は、言ってしまえば事情があって図らずも逃げることができたんです。でもそのこと自体が、娘には「私は逃げちゃいけない」という呪縛になってしまった。そうやって頑張らなきゃと追い詰められた結果、彼女は子供を餓死させてしまった。その人生の皮肉も含めて、フィクションだからこそ書けることがあると思って書きました。【プロフィール】◆山田詠美/やまだ・えいみ。1959年東京都生まれ。作家。1985年「ベッドタイムアイズ」で文藝賞を受賞し作家デビュー。1987年『ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー』で直木賞を受賞したほか、数々の文学賞を受賞。最新作は『つみびと』。◆中川淳一郎/なかがわ・じゅんいちろう。1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者/PRプランナー。一橋大学卒業後、博報堂入社。企業のPR業務に携わる(2001年退社)。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など。◆嶋浩一郎/しま・こういちろう。1968年東京都生まれ。1993年博報堂入社。企業のPR業務に携わる。2001年朝日新聞社に出向し「SEVEN」編集ディレクターに。2004年「本屋大賞」立ち上げに参画。2006年「博報堂ケトル」を設立。2012年「本屋B&B」を開業。撮影/政川慎治※女性セブン2019年9月12日号
2019.08.31 16:00
女性セブン
山田詠美さん
作家・山田詠美 「大阪二児置き去り事件」を題材とした理由
 今年1月には千葉県野田市で小学4年生の栗原心愛ちゃんが、6月にも札幌で2歳の池田詩梨ちゃんが虐待死した。今年に限らず、児童虐待事件はなぜ幾度となく繰り返されるのだろう──そんな問いに、真っ向から迫った小説がこのたび上梓された。 日経新聞連載時より大きな反響を呼んだ山田詠美さんの新刊『つみびと』は、2010年に起きた「大阪二児置き去り死事件」に着想を得た長編小説だ。今から9年前の夏──7月30日に大阪市内のワンルームマンションで、3才と1才の幼児が餓死しているのが発見された。ふたりを灼熱の部屋に放置したのは当時、風俗店で働いていた23歳の母親・下村早苗被告だった(2013年に懲役30年の刑が確定)。本書は罪を犯した蓮音と、その母の琴音、そして死んでいく子供の一人、兄の桃太4歳の視点から描かれる。幼い子供を置いて男友達と遊んでいた末の事件というかつてない衝撃から、彼女は「鬼母」と呼ばれ、その行状が連日大きく報じられた。しかし、子を放置した母親、その母親を産んだ母親の心理に深く迫り小説を綴った山田詠美さんは問う。はたしてつみびとは彼女一人なのか。本当に罪深いのは誰なのか──と。山田詠美さんに話を聞いた。(インタビュー・構成/島崎今日子)──誰もが衝撃を受けた「大阪二児置き去り死事件」に着想を得た作品です。35年になろうという作家生活ではじめての事件ものですが、いつ、なぜ、書こうと思われたのですか。山田:判決が出て、そうたっていなかった頃だったと思います。あの事件は、発覚したときから気になって気になって仕方がなかったんです。なんであんなに関心があったのか。いつもあの彼女のことを考えていました。 テレビのワイドショーや雑誌を見ていると、絶対正義の側に立って糾弾する報道の仕方に苛立つというか、首を傾げてしまうことが多い。それはこの事件に限ったことではないけれど、「選択を一歩間違えれば、こっち側に落ちてしまう可能性が自分にもある」と、私は思ってしまうんです。万が一にも自分は間違えないなんて、とても思えない。 でも、メディアで勧善懲悪で物事を語る人って、そこに考えが及んでいない。自分とは違う世界の話だとばかりに、コメントしているでしょ。この人たちは万が一の分岐点があったとしても、その分岐点の存在にすら気づかないんだろうなと考えたときに、そこを書くのが小説家の仕事じゃないかと思ったの。当事者たちの内面に入っていくのはフィクションの仕事ではないか。なぜだか、私の出番だ、って(笑い)。──なぜこの事件だったのですか。この前年には木嶋佳苗の「婚活連続殺人事件」が起こり、1997年には「東電OL殺人事件」が起こっていて、メディアは騒ぎ立てました。山田:その2つの事件は、「すごいニュースだな」と思いましたよ。桐野(夏生)さんが、「東電OL殺人事件」を材にとって『グロテスク』を書いているし、柚木麻子さんも「婚活連続殺人事件」で『BUTTER』を書いている。どちらも、とても面白いですよね。ただ、事件そのものは私には響かなかったし、私の言葉で語り直してあげたいという気持ちにはならなかった。第一、私はセレブって自分で言ってるやつは大嫌いだから(笑い)。──他の2つの事件と何が決定的に違ったのでしょう。山田:やっぱり、子供がいたことじゃないでしょうか。いたいけなものをちゃんと持っているのに、それを自ら失ってしまう。おじいさんを殺して財産をとること、子供という力を持たないものが附属でついていない女の人が起こした犯罪って、悪い意味で自立した犯罪だという気がします。でも、抵抗できない弱い者たちを巻き込んでしまうのは辛い犯罪であると同時にものすごく卑怯なこと。その卑怯さを自分もわかっているし、隣で奈落が待っているのがわかりながらSNSで幸せなふりを発信している。彼女はどうやってその恐怖を麻痺させていったんだろうか。そう考えると、どうしようもなく哀れな感じが漂ってしまいます。〈蓮音は、自分を一所懸命、励ました。昔から、そうやって立ち上がって来たのだ。どうってことない。がんばるもん、私、がんばるもん。/けれど、ひとりの男の何気ない言葉で、再び力は抜けてしまい、どうにかしなくてはと思いつつ、既にもがく余力も残っていなかった。/「まだ、いいじゃん」/たった、それだけの無責任なひと言によって、蓮音は、子を捨てた母親になった。〉──小説の中では、23歳の母親がホストのひと言で子供の待つ家に戻らなかった瞬間と彼女の内面が繰り返し描写されます。山田:もちろん、子供を殺したことは残忍なことであり、同情の余地はありません。それでも、私はどんな極悪人でも、一点自分で許せる部分と惹きつけられる部分がないと書けないので、彼女にはそれがあったということですね。──彼女自身が「いたいけ」だったのでは? 山田詠美作品に必ずといっていいほど登場する言葉です。山田:それは私の習性で、必ず作品に出てくる言葉ですよね。「いたいけ」とか「後ろ髪引かれる」とか、そういうのが捨てておけない。今回の子供を置き去りにした女の人にも、私はひどく弱いものを感じたんです。 なぜこんなに子供を不幸な目に遭わせたんだという犯罪はいっぱいあって、同情の余地のない親もたくさんいます。たとえば野田の事件の母親は、ずっと夫が隣で支配していたでしょ。支配されて共依存すると、自分の考えを放棄して、何も考えなくなってしまう。それはある意味、楽だよね。だけど、置き去り事件の彼女の場合は、たった一人で半分正気を保ちながらどうしてあんなことができたのか。「ふたりの子供を放っておいてる」と思い出す瞬間の恐怖って、どれほどのものだったろう。 彼女の場合に限っては、一人きりで途方に暮れている姿が思い浮かんでくる。そこをきちんと書いて、私がもう一度物語の中で生き直させてやろう、そういう感じです。それは彼女に対する思いやりでもなんでもないけれど、この人の哀しさを書いてみたいと思ったんですよね。インタビュー・構成/島崎今日子、撮影/五十嵐美弥※女性セブン2019年7月4日号  
2019.06.22 07:00
女性セブン
【動画】木嶋佳苗死刑囚 獄中結婚相手の週刊新潮デスクに直撃
【動画】木嶋佳苗死刑囚 獄中結婚相手の週刊新潮デスクに直撃
 木嶋佳苗死刑囚と獄中結婚した週刊新潮編集部のAさんを女性セブンが直撃しました。 木嶋死刑囚と結婚する前に離婚していたというAさん。離婚と結婚は関係あるのか、と尋ねると「当時、夫婦関係はすでに破綻していました。結婚も離婚もタイミングだと思いますが、いつどうするか。そういう意味ではきっかけになったとは言えるかもしれない」とコメント。 木嶋死刑囚の見た目については「目元はチャーミングだと感じています。長い拘置所生活においても、肌荒れ一つありません」と語りました。
2019.05.14 16:00
NEWSポストセブン
木嶋佳苗と獄中婚の夫が語る結婚に至るまで
木嶋佳苗と獄中婚の夫が語る現在の印象と結婚に至る思い
「文春の報道より前にAさんが会社に報告した時は、大変な騒ぎになりました。編集長さえ知らなかったんですから…」(新潮社の関係者) 交際していた3人の男性を殺害したとして、2017年5月に死刑判決が確定した木嶋佳苗死刑囚(44才)が、東京拘置所内で3度目となる結婚をしていたことを、『週刊文春』(5月2・9日号)が報じた。しかも、その相手がライバル誌『週刊新潮』編集部のデスクだというから、仰天である。 週刊文春によれば、Aさんは週刊新潮が2017年4月に掲載した木嶋の“遺言手記”の担当デスクで、木嶋が2013年から始めたブログ「木嶋佳苗の拘置所日記」にも“王子”としてたびたび登場していた。2人は2012年5月頃から面会や手紙のやり取りをスタートさせ、2016年から木嶋いわく“ディープな関係”に。そして、昨年1月に入籍したという。 だが、週刊文春に書かれていない事実がある。Aさんは妻子持ちで、木嶋と結婚するために離婚していたのである。「現在40代前半の彼は若い頃に結婚して子供もいるが、獄中の木嶋と愛を育み、離婚を決意しました。ちなみに木嶋もその頃は違う男性と獄中結婚をしていたので、“W略奪愛”ということになります」(前出・新潮社の関係者) 木嶋はAさんへの思いに身を焦がしたのか、初対面から3か月で10kgもやせたとブログで明かしている。こうした木嶋に、Aさんの気持ちも動いていったのだろうか。「確定死刑囚の面会や手紙のやり取りは、原則家族と弁護士に限られます。Aさんが木嶋とやり取りをするには、養子縁組した支援者や弁護士を介することになる。でも、夫なら面会や手紙のやり取りが自由になる。Aさんは妻子と別れてでも、木嶋と直接的な関係を保ちたかったのかもしれない」(全国紙社会部記者) 週刊新潮編集部は「当該部員のプライベートな問題だと考えております」と説明するのみだが、当のAさんは妻子がいたことを認めた上で、女性セブンの取材に答えた。 スラッとした長身で、草なぎ剛系のイケメン男性である。──離婚に木嶋の存在は関係した?「当時、夫婦関係はすでに破綻していました。結婚も離婚もタイミングだと思いますが、いつどうするか。そういう意味では(木嶋の存在が)きっかけになったとは言えるかもしれない」──木嶋へのプロポーズは?「私からですが、内容は…結婚をしたいというふうに言わないと伝わらないですよね。手紙に思いを書いて、そして面会室でも伝えました」──彼女の反応は?「それは驚いていたように記憶しています。その当時は、お互いに結婚相手がいたわけですしね」──本当に恋愛感情なのか?「一度も社会で会ったことがないですし、肌に触れたこともないわけです。そのような状態での結婚を恋愛感情だと言い切ったにしても、“そうじゃないでしょ”と、異議申し立ての声があるかもしれないですね。彼女との関係を続けたいという思いがあって、それが募っていったことは事実です。今どうしてるかな? 週末はどう過ごしたのかな? など、常に気になる存在になっていきました」──取材対象者でなく、それを超えた感情があった?「(2017年4月の)記事にするまでは一線を引いていました。ただ、やっている中でどうなんだろうと。(木嶋に)ボールを投げると返ってくるものがある。それが嬉しいからもっといろんなところに投げる。それでいろんな受け方をして、変なところに投げてきてそれを取ったりする。そういう言葉のキャッチボールが楽しかったんです」──今の木嶋の印象は?「だいぶシュッとした印象を持っています」──容姿に惹かれたことは?「目元はチャーミングだと感じています。長い拘置所生活においても肌荒れ一つありません」──木嶋を何と呼んでいる?「内緒にしておきます(笑い)」──妻の死刑が執行される日のことを想像しないか?「想像しないことはありません。“人はいつか死ぬのだから”と達観している部分とそうでないところがあります。自分はそういう極限状態に置かれた人を知りたいという思いがありました。しかし、彼女がそのことをどう考えているのかについては、まだまだうかがい知れないですね」 決して触れ合うことができない夫婦の行く末は──。※女性セブン2019年5月23日号
2019.05.09 16:00
女性セブン
殺人犯が「同房者全員が読んだ」と語る拘置所の人気の書名
殺人犯が「同房者全員が読んだ」と語る拘置所の人気の書名
 スマホ、インターネットなどの影響で若者の読書離れが叫ばれる昨今、そこに行けばあらゆる人が読書家になると言われる場所がある。刑務所、あるいは拘置所だ。元刑務官の坂本敏夫氏が語る。「刑務所で受刑者は刑務作業を行ないますが、17時に晩御飯を食べたら21時までは自由時間。土日は刑務作業もお休みです。つまり、受刑者たちは暇なんです。雑居房では19時から21時まで決められたチャンネルのテレビが観られますが、独居房や拘置所にはありません。ラジオも決まった時間にしか流れない。拘置所にいる未決囚に至っては、裁判がなければずっと自由時間が続きます。そんな生活ですから、読書こそが最大の娯楽なんです」 未決囚や受刑者らが塀の中で本を読むには、いくつかの方法がある。「自分が警察署や拘置所に収容される際に持って入る方法のほかに、差し入れ、また自分のお金で購入する方法があります。被収容者の手元に届く前に、施設の職員が内容をチェックします。身寄りがなく、購入する財産もない被収容者もおりますので『官本』というものが各施設にあります」(法務省矯正局成人矯正課) では、囚人たちはどんな本を読んでいるのか。2009年に発覚した首都圏連続不審死事件で、4月14日に死刑が確定した木嶋佳苗は、『週刊新潮』に寄せた遺言手記で、話題のベストセラー『夫のちんぽが入らない』(こだま著、扶桑社)を読了したことを綴っていた。 一方、2006年から2011年まで府中刑務所に収監されていた六代目山口組の司忍組長は、実話系雑誌やファッション誌『LEON』などに目を通す一方、料理や旅行に関する本も多く愛読していたという。 読書は彼らの思考を知る大きな手立てとなるはずだ。私(ノンフィクションライター・高橋ユキ)は囚人たちにアプローチし、彼らの愛読書を聞いて回ることにした。 現在、名古屋拘置所に勾留されている林圭二被告(44)。2011年、愛知県一宮市の飲食店店員を殺害しその遺体を冷凍庫に入れ福井県の九頭竜湖に遺棄したほか、元交際相手を窒息死させたとして、殺人や傷害致死などの罪に問われている。昨年11月に名古屋地裁で無期懲役が言い渡され、現在、控訴中である。 彼が挙げたのは、『31年ぶりにムショを出た 私と過ごした1000人の殺人者たち』(金原龍一著、宝島社)だった。大阪刑務所9年、千葉刑務所22年を経て出所した元無期懲役囚の本である。「留置場時代に差し入れてもらった数十冊の中の一冊ですが、同房者全員が読破していました。私も半年に一度くらい読み返しています。最後にこの本を読んだのは平成28年10月18日でした。明確に覚えているのはその前日の最終弁論で、偶然、著者の金原さんの名が出たからです」(林被告) 名古屋地裁での弁論で、弁護人が無期刑の出所率について述べていた時に“31年で出所した1名がいる”ということに触れた。これを法廷で聞いていた林被告は、著者の金原氏のことだと気づいたのだという。  未決囚は裁判が確定すれば、拘置所から刑務所へ移送され、受刑者として日々を過ごすことになる。やがて来る刑務所生活に備えた本として、同書は拘置所のベストセラーとなっているのだ。文■高橋ユキ(ノンフィクションライター)※週刊ポスト2017年5月5・12日号
2017.05.04 16:00
週刊ポスト
ばびろんまつこから透けて見えるコンプレックスがたまらない
ばびろんまつこから透けて見えるコンプレックスがたまらない
 10月京都府警に詐欺と商標法違反で逮捕された松永かなえ容疑者(26才)。彼女が「ばびろんまつこ」と称してツイッターに綴ったセレブ生活が話題になっている。自称「ハイパーエリートニート」。自己申告の年収は3000万円。しかし、逮捕容疑はカルティエの偽ブレスレットをネットオークションで本物として65万円で販売したという“チープ”なものだった。 そんなばびろんまつこを取り巻くのは、ツイートウォッチャーの憧れや嫌悪感。さまざまな感情が入り乱れる深層心理を、コラムニストの犬山紙子さんは、「下世話な目」と表現する。「自分とは違う世界にいる人の生活を覗くのは、単純に楽しいですよね。しかも、お金持ちアピールなんて嫌われがちなことをひけらかすキラキラツイートは、下世話な意味ですごく面白い。憧れている人の他にウオッチャーが多かったのはそのせいでしょう」 芸能人の自宅や豪遊ぶりを紹介するバラエティーなど、セレブな生活を紹介する番組は昔からあった。「芸能人のセレブライフは見ているだけで幸せになるし、私も頑張ろうって刺激も受ける。一般人のセレブ自慢は、芸能人より嘘っぽい感じが品がなくて、つい見ちゃう。“一般人のくせに自慢しちゃって”と、その厚顔無恥さをバカにしてる気持ちもどこかあります」(マスコミ関係女性) そう、芸能人でもない一般人のセレブアピールは、痛々しい。でも、それこそが注目される要因なのだと、犬山さんは語る。「本当のセレブはアピールしません。キラキラツイートの自己アピールは、昔は貧乏だったとか、モテなかったとか、金銭的なコンプレックスが原動力になっていたりするんですよね。下世話な目でウオッチングしている人たちにとっては、キラキラ女子のコンプレックスが透けて見えるから、たまらない」 セレブアピールや、モテ自慢は、つらい経験やトラウマが根底にあるからこそ――ばびろんまつここと、松永容疑者は長崎県北部の農家に4人きょうだいの長女として生まれた。岡山大学法学部を卒業後、地元の大企業へ就職するも、ほどなく上京してIT企業へ転職。“美人広報”としてメディアにも登場したが、数か月前には離職し、逮捕時は無職だったという。 故郷のある九州に住む50才の主婦は、そんな彼女の心の底に潜むコンプレックスをツイートから感じ取っていた。「国立大や地元の大手企業に進んだ優秀なお嬢さんだったようですが、昔からいた、“都会に染まった、典型的な田舎の娘”という印象を受けました。中身以上に自分を大きく見せてしまい、結果的に周囲を騙すことになってしまった。でも詐欺はダメですよ。ネットでセレブ風に振る舞う様子は、結婚詐欺で捕まった木嶋佳苗と重なりましたね」 2009年に結婚詐欺・連続不審死事件が発覚し、「毒婦」といわれた木嶋佳苗被告(40才)も、自身の“セレブな生活”をブログで発信。エルメスのバーキンやベンツを自慢する“元祖・キラキラブログ”だった。 彼女の経歴が明らかになるや、“田舎コンプレックス”“容姿コンプレックス”があったと評された。彼女が使った偽名が中学時代の美人同級生の名前だったと報じられたことは、そのコンプレックスをまさに体現している。※女性セブン2015年12月3日号
2015.11.21 07:00
女性セブン
あまりにホラーな16編が綴られている岩井志麻子による実話集
あまりにホラーな16編が綴られている岩井志麻子による実話集
【話題の著者に訊きました】岩井志麻子著/『「魔性の女」に美女はいない』/小学館新書/821円 18才年下の韓国人男性と2度目の結婚をしたものの別居し、最初の夫との間にもうけた2人の子供も独立した岩井志麻子さん。結婚生活の表も裏も知り尽くした彼女の最新作には、実際にあった男と女の愛憎劇がたっぷり16本詰まっている。 不倫相手の男性の家庭を崩壊させようと、ベッドの中での声を携帯電話で妻に聞かせる女性、働かないで暴力をふるう夫なのに幸せを感じる国際結婚妻、男たちを手玉にとった木嶋佳苗被告と上田美由紀被告、そして、金持ちの独身と偽って三十路の風俗嬢をだましていた、岩井さんの現在の夫も登場する。「みんな、どう考えても普通じゃないですよね。でも、この人たちは自分をいい妻、いい夫だと信じているし、自分たちの結婚生活が王道だと思っている。私はそれに感動すら覚えます。普通というのは、それぞれ自分が基準で、人から見たら違うんですね」 と、岩井さんは言う。 みんなが普通と思っている恋愛結婚も、岩井さんが育った岡山では祖父の時代まで「野合」と呼ばれ、ふしだらと思われていたそうだ。当時はセックスするには結婚しかなかった。男性は家を継ぐため、女性はよりよい生活のためにするのがいい結婚だったのだ。 今では自由に恋愛できるが、ひとたび入籍すると、いろいろ不都合なことも起きる。「籍が入るとドラマが生まれる。入れる、入れないで大違い。籍の使い方にもいろいろあるんですよ」 この本には、不倫をしている夫が相手と再婚できないように、憎しみだけで離婚に応じない美人妻が出てくる。また、ある芸人は、セクシーな女性タレントと一夜を過ごし、妊娠したと結婚を迫られた。絶対にイヤだったので、そのときつきあっていた彼女と急いで籍を入れて逃げ切ったという。 岩井さん自身も、籍を入れたことで苦労を味わってきた。最初の結婚に破れ、2番目の夫ジョンウォンさんが1年以上失踪してソウルの警察に相談に行った。そして新しい恋人に出会い、夫と再会したはいいが離婚を拒否され、元夫に相談し…波瀾万丈の結婚生活が続いている。それでも表情は底抜けに明るい。「結婚したほうが絶対に楽しい! これだけ失敗してきたけど、やっぱり面白いんですよ。当たり前ですけど、人って自分の思い通りにならんわーとか、自分がいちばん正しいのではなく間違っていたのかもしれん、と思えるようになりましたしね。今の夫と離婚が成立したら? うーん、私のことですから、また誰かと籍を入れる気がします」(取材・文/仲宇佐ゆり)※女性セブン2015年10月22・25日号
2015.10.18 07:00
女性セブン
京都夫毒殺事件の容疑者の手口の酷似の直木賞作家の小説存在
京都夫毒殺事件の容疑者の手口の酷似の直木賞作家の小説存在
 結婚相談所を介して出会った男が次々と死んでいく…。2009年に日本中を震撼させた、木嶋佳苗被告(40才)の向こうを張る女が、京都に現れた。11月19日に殺人容疑で逮捕された、筧知佐子容疑者(67才)である。 結婚相談所を介して出会った男が次々と死んでいくという彼女の人生は、奇しくも、直木賞作家の黒川博行氏が8月に上梓した新刊『後妻業』(文藝春秋社刊)に酷似する。同書に登場する武内小夜子は69才という高齢女性で、彼女もまた、結婚相談所で出会った男性を次々と殺害し、生前書かせた公正証書遺言に基づいて全ての財産を奪い去って行く…。 今回の事件を予言したともいえる同書だが、千佐子容疑者の素性を追うと、小夜子も顔負けの“プロ後妻”とでもいうべき、戦慄の手口が浮かび上がってきた。知佐子容疑者の男性遍歴は以下のとおりだ。(1)1970年 大阪府貝塚市の印刷会社経営の男性と結婚。1994年に男性は死亡(享年54)(2)2006年春 兵庫県西宮市の会社経営の男性と再婚。同年8月に男性は死亡(享年69)(3)2008年2月 大阪府松原市の資産家の男性と再々婚。同年5月に男性は死亡(享年75)(4)2011年末 大阪府貝塚市の無職の男性と交際。2012年3月に男性は死亡(享年71)(5)2013年春 兵庫県伊丹市の内装業経営者と交際。同年9月、男性は死亡(享年75)(6)2013年11月 京都府向日市の筧さんと4度目の結婚。同年12月に筧さんは死亡(享年75)※女性セブン2014年12月11日号
2014.11.28 16:00
女性セブン
近畿男性連続不審死事件 容疑者女はED薬が死因と主張してた
近畿男性連続不審死事件 容疑者女はED薬が死因と主張してた
 近畿圏で資産家男性が次々と不審死を遂げた事件で「第2の木嶋佳苗」と疑惑視されていた67歳女性がついに逮捕された。京都府警は11月19日、昨年12月に夫の筧勇夫さん(当時75)に青酸化合物を服用させて殺害した疑いが強まったため、妻・千佐子容疑者の身柄を確保。 さらに、2012年3月に交際中の大阪の男性(当時71)がバイクで転倒して死亡した事件についても、保存されていた男性の血液から青酸化合物が検出されており、同容疑者の関与が疑われている(本人はいずれも否認)。 この2人を含めて、結婚相談所などを通じて知り合った計6人の男性が千佐子容疑者との結婚・交際から数年以内に死亡しており、相続した遺産総額は8億円に上ると見られる。 すでに各テレビ局の報道・情報番組で紹介されているが、千佐子容疑者の疑惑をいち早く報じたのは本誌だった(3月28日号、4月4・11日号)。さらに7月18日号では同容疑者のインタビューを掲載し、「子供たちを大学に行かせてやりたかったから経済力のある再婚相手を探していた」「(男性たちには)私から押し入ったんじゃなくて、私のほうが求められた」「なんで私がやるんですか。そんなことをしたら、100%私が疑われるじゃないですか」 など、逮捕前の千佐子容疑者の肉声を伝えた。この時、千佐子容疑者は勇夫さんの毒殺を疑われていることについて、「まったくの想像ですけど、私がいない間に、(勇夫さんが)インターネットで『勃たないのを治す変な薬』を手に入れたりして、間違って飲んだとか」 と、ネットで入手した粗悪なED治療薬が死因であるとする「仮説」を唱えた。記者が「過去に結婚・交際していた他の男性でED治療薬を使っていた人はいるか」と問うと、「いないです。薬を飲むほど弱い人はいなかったから。みんな、ちゃんと勃ってました。私が知らんだけで、ずっと飲んでいたかもしれないけど。女の立場でいちいち聞いてないわ、『あんた、飲んでるの?』なんて」 と、男性たちとの性生活の一端を明かしてもいる。本誌スクープから約8か月後の逮捕となったが、全容解明は難航が予想される。「今後、立件の可能性があるのは大阪府警が捜査しているバイク事故の男性の件くらい。死亡から何年も経っているケースが多く、いずれも立件は難しいと見られている」(捜査関係者)※週刊ポスト2014年12月5日号
2014.11.24 16:00
週刊ポスト
『昼顔』『聖女』など背徳エロスドラマはなぜ受けるのか?
『昼顔』『聖女』など背徳エロスドラマはなぜ受けるのか?
 近年、女性をターゲットにした刺激的な恋愛ドラマが受けている。最近では、夫のいない昼間に不倫する妻を描き、民放連続ドラマ2位の大ヒットで9月25日に最終回を迎えたドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ)。そして、美貌の連続殺人容疑者を演じる広末涼子の過激なキスシーンやベッドシーンが「生々しくてエロい」と話題の『聖女』(NHK)。 片や背徳感のある不倫を題材とし、もう片方は、稀代の毒婦と呼ばれた木嶋佳苗連続不審死事件を彷彿させるテーマとなっている。なぜ今、エロスやタブーといった刺激的なドラマが増え、ヒットしているのか? ドラマ評論家の木村隆志さんはこう解説する。「まず、題材がセンセーショナルであることと、最近、不倫を思い切って描いたドラマがあまりなかったこと。それに加えて『聖女』は、たくさんの男を騙して殺してお金をとるという木嶋佳苗事件を思わせる作りになっています。内容はセンセーショナルでも、中身は女性目線で、不倫にはしったり、罪を犯してしまうまでに至るところを丁寧に描いているから興味を惹きつけるのです」(木村さん、以下「」内同) また、「ちょっと悪いことにも興味があり、背徳も嫌いではない」女性心理も受けた要因だと考察する。木村さんは、こう続ける。「今は豊かで便利な時代ですが、日常生活がつまらないと思っている人が今すごく多くて、そこをうまく突いて作っています。題材は一見過激に見えるけど、描いているのは普通の人物です。斉藤工さんは髪がぼさぼさだったりしてかっこよすぎず悪すぎず、上戸彩さんも色気のなさを強調したりと、ほどよいファンタジーにとどめたからこそ“現実も悪くはないよ”と最後は現実に引き戻してあげられる。視聴者は、日常と少しだけずれた世界を観たいだけで、あまり振り切られてもつらいですから。 また、善悪を決めつけてしまうと観にくいし説教くさくなってしまうのですが、2作とも過ちかどうかを問いかけるところもうまく作っています。『昼顔』では旦那を完全な悪者ではなく、そこそこ嫌な感じにとどめているし、『聖女』も悪女なのか聖女なのかぎりぎりのところで推移していて、だんだん広末さんがきれいに見えてくるように最後までうまく泳がしている。そこの加減が上手でしたね」『聖女』を放送しているNHKの『ドラマ10』はスタッフに女性を揃えて制作されており、『昼顔』も女性目線で作られていることが共に成功の要因でもあるという。「聖女というタイトルですが、悪女を演じる広末さんは清純派といわれていながら佐藤健くんとの不倫を報じられたり、キャンドル・ジュンさんと再婚するまでの経緯も含め魔性のイメージがあり、ハマり役でした。これまで女性人気はなかった方ですが、木嶋佳苗という強力なネタと相まって、逆に、世紀の悪女を演じる広末さんを観てやろうという女性も多いと思います。さらに、実際に演じてみたらハマっていたというわけです」 大河ドラマで見せた西島秀俊の鍛えられた上半身が大反響を呼んで以来、男の裸を見せるドラマも増加傾向。『昼顔』のエンディングで男性の裸をひたすら見せる演出も、女性のニーズに応えたものだと木村さんはいう。「ヒットした2作とも、ドロドロした内容なのに映像美があります。生々しいシーンは少なく、きれいなラブシーンばかり。“きれいでちょっとH”なものを観たいという女性のニーズは確実にあって、でも観る機会は男性に比べて極端に少ない。女性向けにエロティックなドラマが増えているのは、ニーズがあるのと他にコンテンツがないから。ドラマがそれを担っているのだと思います」 総括すると、勝因はどうやら“女性目線”にあるようだ。「映像美、感情移入できるキャスティング、女心に訴えかけるモノローグ…。そこに男性の意図を入れず潔く完全に女性目線に振り切ったなと、この2作は感じました。作り方や演出まで女性の潜在意識をくすぐるように。他にそういうドラマがないから試験的にやっていたところもあるので、来年は女性向けタブードラマが増えると予想されます」
2014.10.05 07:00
NEWSポストセブン
木嶋佳苗被告からラブコール受けたジャーナリストが困惑する
木嶋佳苗被告からラブコール受けたジャーナリストが困惑する
 千々に乱れる女心がそこはかとなく綴られている。 〈彼は、私より上田さんを選んだのか。ショックだった〉〈私は個人的に青木さんの髪が好き。ほんの少し白髪混じりで長めのサラサラした真っすぐな髪が、とても似合ってる。長身痩躯のあのルックスで取材に来られたら、ドキドキしちゃうだろうなぁ〉  筆の主は、2009年に発覚した首都圏連続不審死事件の一審で死刑判決を受け、今年3月12日の控訴審判決を待つ木嶋佳苗被告(39)である。木嶋被告は今年1月、「拘置所日記」と題するブログを支援者の協力のもと開設。初回となった「私がブログを始めた理由」(1月5日)に綴られたのが冒頭の文章だ。 〈上田さん〉とは同じく2009年の鳥取連続不審死事件で一審死刑判決、現在控訴審中の上田美由紀被告(39)。そして〈彼〉とは上田事件を取材した『誘蛾灯』(講談社刊)を昨年11月に上梓したジャーナリスト・青木理(おさむ)氏のことだ。  そこで本誌は青木氏に素直な感想を求めた。 ──木嶋被告の猛アプローチをどう受け止める? 「えッ? (困った表情で)受け止められないですよ。そもそも上田被告を取材したのだって大手メディアが木嶋被告の事件ばかり報じていたから。天の邪鬼な僕はあえて山陰地方の不可解な事件をルポしてみようと。上田被告に『心を奪われた』わけではまったくありませんし」 ──木嶋被告をどう思う? 「う~ん。会ったことも手紙のやり取りをしたこともないですからね。ただ打算かどうか分からないけど、獄中の身となっても、女である自分を前面に出すことはすさまじいとは思いますけど……」 ──木嶋被告に伝えたいことは? 「一審の死刑判決が控訴審で覆る可能性は極めて低いし、死刑が確定してしまえば外部に発信することは叶わなくなる。(青木氏のことではなく)もっと別なこと、例えば事件について伝えきれていないことがあるなら、そうしたものを真摯に訴えた方がいいのではないでしょうか」  木嶋被告は青木氏の返事をどう受け止めるか。※週刊ポスト2014年3月14日号
2014.03.04 16:00
週刊ポスト
【著者に訊け】青木理『誘蛾灯 鳥取連続不審死事件』を語る
【著者に訊け】青木理『誘蛾灯 鳥取連続不審死事件』を語る
【著者に訊け】青木理氏/『誘蛾灯 鳥取連続不審死事件』/講談社/1680円“首都圏”の木嶋佳苗被告が表なら“鳥取”は裏──。青木理著『誘蛾灯 鳥取連続不審死事件』を読み、そうした比較自体、意味がないのだと反省させられた。共通点は確かに多い。複数の男と関係し、金品を巻き上げた、美人とは言い難い30代の女。その周囲では多くの男性が謎の死を遂げ、うち何件かの殺人容疑で起訴された女は容疑を否認。一審で死刑判決を受け、現在控訴中だということ……。 が、青木氏の興味は当の上田美由紀被告(39)よりむしろ男たちにある。美由紀が以前勤めていた鳥取市内のスナック〈ビッグ〉(以下人名も仮名)を拠点に、事件現場や彼女と関係した男たちを訪ね歩き、公判中の被告本人にも接見した。〈なぜ男たちは肥満のホステスに惹かれたのか〉──誘蛾灯の誘蛾灯たる所以、それは陳腐で、饐(す)えた匂いを放つ、〈地方〉にあった。〈美由紀の周囲には、ネットを通じて独身男と知り合うといった「時代性」や「社会性」もなければ、「婚活」「セレブ」などという流行言葉から醸し出される一見華やかな疑似装飾も施されていない〉と、当初は青木氏自身、思っていたという。青木氏はこう語る。「元々僕は木嶋事件に全く興味がなく、だったら鳥取でウマい魚でも食った方がよっぽどいいと、その木嶋事件の〈添え物〉みたいな記事の依頼を請けたんです。ところが現地へ通ううちに、むしろ鳥取事件にこそ時代性はあるんじゃないかと思い始めた。 それは鳥取という地方都市が孕む、曰く言い難い〈陰鬱さ〉に触れなければ僕自身わからないことでした。中でも事件の主要舞台となるビッグは象徴的存在で、僕はある意味『スナック・ビッグ物語』を書いたとも言えます」 鳥取市の繁華街・弥生町の路地裏に、その店はある。自称60代のママと、やはり60過ぎの〈アキちゃん〉が下卑た会話と酒でもてなしてくれる、妙に陽気な店だ。そこを訪れる度に、〈あーらぁ、青ちゃんじゃないっ〉と、青木氏は気の毒なほど(?)色目を使われ、読んでいるこちらまでニヤニヤしてしまう。おかげで氏が終始一定の距離感を保って綴る事件の背景や人間模様を、私たちもビッグという読者共用の止まり木に安らぎつつ、冷静に読めるのだ。「何しろ取材先がゴミ屋敷の住人に元ヤクザでしょ? うんざりして戻ってくると、あんな店でも妙に居心地がよくてね。美由紀に嵌った男もこんな風に堕ちていったのかなあ、なんて思った。 特に鳥取は控訴審(12月10日)前ですからね。仮に美由紀が立件された2件の殺人をやっていたとしても、彼女がどんな女でなぜ殺したかなんて、本当のところはわからないわけですよ。興味本位で陳腐な悪女像を書き立てるのは僕の趣味ではないし、これ以上好奇の目で事実を歪めてしまわないよう、読む人にも適正な距離感を共有して欲しくてこんな構成にした。その点はビッグ様々です(笑い)」 2004年に〈段ボール箱を被る〉状態で轢死した読売新聞記者〈新藤武〉42歳(死亡時)を〈一人目の男〉とすれば、美由紀の周辺で起きた不審死は、実に6件。その間彼女には常に複数の男性関係があり、第5子の父親も特定できないという。 県警は2009年11月、美由紀と同棲相手〈安西〉を詐欺容疑で逮捕。翌年には2件の強盗殺人で美由紀の再逮捕に踏み切る。本人が黙秘を貫く中、青木氏は彼女の元恋人〈大田〉らに話を聞き、〈なぜ溺れたのか〉という謎に迫ってゆくのだ。「1人目は新聞記者、2008年に山中で首を吊った〈堀田正〉41歳は鳥取県警の警官で、それぞれ家庭もあった。まあ異性の好みは人それぞれですが、男に借金させてまで金を毟り取る彼女を、〈可愛いとこもあった〉と大田たちは言い、筆まめで、子供を5人も育てている姿に癒されたりもするらしい。 セックスは〈別にフツウ〉と言ってましたが、後半に美由紀の後釜の〈マミちゃん〉というホステスが出てくるでしょ。実は彼女の今カレが大田で、〈アイツ、モノが太いんだっ〉と人前で言えちゃう彼女がいたから、僕は本書を書けたとも言える。何しろ29歳でバツ5の彼女の元夫は今もビッグに来る生活保護受給者の老人。結婚した理由を聞くと〈決まった収入がある〉からと、そういう感覚なんです」 彼女だけが特別なのではない。県警は当初、堀田の遺体発見現場を〈警察署内〉と発表するなど迷走。また一審で「安西真犯人説」をぶった国選弁護人は、〈しまむらなくして、ずぶ濡れなしっ。ずぶ濡れなくして、殺害なしっ〉などと連呼し、裁判員からも失笑を買った。「とにかく警察がヘボなら、検察も弁護人も全部ヘボで、何もかもが大ウソだらけの美由紀という〈底なし沼〉に、男たちが自ら堕ちていくならそれもいいんです。ただ、杜撰な捜査と証拠で張りぼての絵しか描けないのに、死刑という極刑だけは粛々と遂行されることに僕はゾッとする。そのヘボさも地方の現実かもしれず、ビッグで水割をちびちび舐めている爺さんを見ながら、ここは現代日本の縮図だと、つい思ってしまうんです」 アクリル板の向こうでも彼女は相変わらずウソともつかないウソを並べ、それでいて男心をくすぐるテクニックも感じたと氏は言う。「でも俺は堕ちないですね。たぶん、ですけど(笑い)」 ともすれば書き手の突き放した態度は読み手の取りつく島も奪いかねないが、稀代の悪女等々、恣意的な表現で気を引く手法に比べ、はるかに新鮮かつフェアな、青木氏の“止まり木物語”である。【著者プロフィール】青木理(あおき・おさむ):1966年長野県生まれ。慶應義塾大学卒業後、共同通信社入社。警視庁公安担当、ソウル支局等を経て、2006年フリージャーナリストに。在職中の2000年『日本の公安警察』を発表。『国策捜査』『絞首刑』『トラオ~徳田虎雄 不随の病院王』等話題作多数。12月10日の控訴審も傍聴予定で「接見も一応申し込むつもり。実は真実を全部話した方がいいと手紙に書いたら返信が一切来なくなり、断られるかもしれませんけど」。183cm、78kg、A型。(構成/橋本紀子)※週刊ポスト2013年12月20・27日号
2013.12.16 07:00
週刊ポスト
木嶋佳苗被告の私小説「普通の人には書けないレベル」と識者
木嶋佳苗被告の私小説「普通の人には書けないレベル」と識者
 婚活サイトで知り合った複数の男性を手玉に取り、金銭を巻き上げたすえ、自殺に見せかけて殺害した男性連続不審死事件。木嶋佳苗被告(38)の控訴審が、10月17日から始まった。  3件の殺人罪などで昨年4月に死刑判決を受けてから1年半。その間、彼女は自らの半生を綴った私小説を完成させていた。少女時代から彼女の男性遍歴のすべてが描かれたその赤裸々な内容が『女性自身』(10月29日号)で明かされている。  とくに目を引くのは、詳細な性描写だ。主人公の「木山花菜」は16歳、高校2年の夏に、予備校の夏期講習を受けるために滞在していた札幌市内のホテルで、32歳の建築士と初体験をする。ここでは、「男性の精液を初めて飲んだのもこの年だった」との記述がある。  やがて「花菜」は東京で就職。東京では建設業の「健ちゃん」と情事に明け暮れる。  行為については拘置所内に参考資料もなく、木嶋被告自身が体験したことだけを綴ったという。比較文学者の小谷野敦氏はこう話す。 「普通の人には書けないレベルだと思います。セックス描写が多く判断しづらいが、〈男性の精液を初めて飲んだ〉という記述も美化せずに事実を書いてて、リアリティーがある。全体的に知性も感じられます。内田春菊をほうふつとさせます。自分に都合の悪い部分まで包み隠さず書けているのか、小説全体を読んでみたいですね」  1年半かけて綴られたその中味は41冊の大学ノート、約3000ページにもわたるが、これまで公開された部分に、事件について触れた部分は一切ない。  控訴審の法廷で彼女の口から何が語られるのか。※週刊ポスト2013年11月1日号
2013.10.21 16:00
週刊ポスト
北原みのり「現代は女のカモになる男が量産されている」と指摘
北原みのり「現代は女のカモになる男が量産されている」と指摘
 犯罪白書によると、この50年、女性の刑法犯罪者は全体の20%前後で推移している。この数字が示すとおり、“犯罪は男性が犯すもの”というイメージは間違いではない。しかし、件数が少ないからこそ、我々の記憶には「女性による犯罪」が強烈に刷り込まれている。 ジャーナリスト・江川紹子さんと作家・北原みのりさんに、女による事件について振り返ってもらった。北原さんといえば、首都圏と鳥取で同時期に発生した連続不審死事件を取材し、『毒婦。木嶋佳苗100日裁判傍聴記』(朝日新聞出版)の著書もある。北原:ふたつの事件を見ていて思うのは、変わったのは犯罪をする側の女ではなく被害者の男ではないかという気もするんです。私にはどちらの事件被害者も顔が一つに見えるんです。被害者に取材に行って感じるのは、彼らは決められない男たちだということ。長男ということも多くて、母親に甘やかされて、つまりスポイルされて育ったんだろうなあと。ケアされすぎて、女のカモになる男が量産されている。江川:スポイルされているのは男だけではないんですよね、女も同じなんです。コミュニケーションする力の弱さが事件の背景にある場合があります。問題があっても、「助けて」と言えない、言わない。『大阪2幼児放置死事件』(2010年)も、そういう事件だったと思います。あれは本当にひどい事件。北原:下村早苗のブログには長女が生まれたときの喜びが素直に綴られていて、“家族とはこういうもの”という理想を持っていたことがわかります。犯罪者の半生を調べると、その人自身が被害者だった歴史を持っていることがすごく多い。そういう人がすべて加害者になるわけではないんですが、ひとくくりに責められないものを感じるんです。彼女は懲役30年で刑が確定していますね。江川:本当に悲惨な事件でしたから。彼女は一歩家を出たら、子供のことは考えず、まるで存在していないかのようにふるまっている。いわば思考停止型の犯罪。それにしても、なぜあそこまでの現実逃避ができたのか…。昔の方が、子殺しは多かったですが、まだ原因が見えやすかった。最近は、あえていうと、コミュニケーション不全と犯罪が結びついているような気がします。※女性セブン2013年5月23日号
2013.05.13 07:00
女性セブン
「モテない女はワンピースとジョジョ全巻読め」と女性作家
「モテない女はワンピースとジョジョ全巻読め」と女性作家
 やせさえすればキレイになれる。幸せになれる。女性週刊誌を毎週にぎわせるダイエット記事の歴史は、そんな夢と幻想に支えられた50年だったのではないか……と、鋭くも共感をもって喝破する『四十路越え!』の著者・湯山玲子さんに、女性がダイエットする意味の変遷、ダイエットのこれからについて語ってもらった。「小学生のときから“太っている子はだめ”という空気がありましたよね。太っている子はブタ、ブー子なんて呼ばれて。女子も男子もね。クラスの中では肩身が狭く、まずトップ集団には入れない。最近、小中学校のいじめ構造である『スクールカースト』が問題になっていますが、スクールカーストは1960 年代からあったんですよ」(湯山さん・以下「」内同) 1960年生まれの湯山さんは、物心ついたころからダイエットを知る初めの世代といっていいだろう。湯山さん自身、小学生のころから「太ってはいけない」と思っていた。コマーシャルに登場した前田美波里さんの肢体に、「山口百恵や桜田淳子よりアメリカっぽくてカッコイイ」と感じていた。 湯山さんは雑誌『ぴあ』の編集者をしていた20代後半から、一気に10kgのハイペースで増量した経験がある。バブル期ですさまじく忙しく、仕事しているか食べるかの日々。以降、体重は高め安定だが、それ自体によって、男性から嫌われた記憶がないという。「モテと体重はあまり関係ない」と湯山さんは身をもって悟った。「モテ=スリムというそんな単純公式ではなくて、男性と対等に話ができる面白さがあり、オープンで包容力があったり、ユーモアがあったりする中身女がモテるのです。だからモテたい人は、ダイエットよりも、この週末から『ワンピース』と『ジョジョの奇妙な冒険』を全巻読んだほうが効果があると思いますよ!」 この2作で、大部分の20代~30代男性の関心をカバーできるというから強力だ。 2002年、森三中の大島美幸と『SMAP×SMAP』などの人気放送作家、鈴木おさむの結婚は、これまでの「やせたらモテる」価値観を変えるエポックになる事件だったという。「鈴木さんには結婚候補がたくさんいたはず。でも彼は面白い女、中身のある女を選んだんですよ。それに男は女が思うほど太っている女が嫌いじゃないことも如実に示していますよね」 木嶋佳苗被告が、多くの男性をとりこにしたことも、やせていなければだめだと思っていた女性たちに衝撃を与えた。「セクシュアルな目線で見ても、やせてればいいってもんじゃない。柳原可奈子人気に見るように、ぽっちゃりカワイイも見直されてきました。50年にわたる日本のダイエット史で、ここ2~3年、価値観の大転換が起きているといえます」※女性セブン2013年5月9・16日号
2013.05.06 07:01
女性セブン

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