大ヒット上映を続ける『国宝』の版元は…(主演の吉沢亮/時事通信フォト)
大ヒット上映を続ける吉沢亮主演の映画『国宝』(李相日監督)が興行収入110.1億円を超え、実写の日本映画で歴代2位となった。実写の日本映画で100億円超えは22年ぶりの快挙だ。
原作は2017~2018年に朝日新聞紙上で連載された吉田修一氏の小説『国宝』で、任侠の一門に生まれながら歌舞伎役者の名家に引き取られた主人公が、芸の道に人生を捧げる50年を描く。
「朝日新聞出版から書籍販売された『国宝』上下巻(青春篇・花道篇)も映画の人気に後押しされて累計130万部を超える大ヒットとなり、久々の明るいニュースに社内でも歓喜の声があがっています」(朝日新聞社員)
朝日では同じく吉田氏が2006~2007年に新聞紙上で連載、朝日新聞出版から書籍化した小説『悪人』がある。同作も李監督と東宝の配給という『国宝』と同じタッグで2010年に映画化し、映画賞も総ナメにする大ヒットとなった経緯があった。
ところが、『悪人』を超える『国宝』ブームに、朝日では完全には乗り切れない空気があるという。前出の朝日新聞社員が明かす。
「実は、映画『国宝』の製作委員会には、原作の版元なのに朝日新聞も朝日新聞出版も入っていないんです。『悪人』の時は2社とも製作委員会に名を連ねていたのですが……。
当時よりも経営がシビアになったなかで、上層部が『歌舞伎という題材が万人受けしないからどうせ映画はヒットしないだろう』とタカをくくって出資を渋ったとの説も。ちなみに、こちらも大作だと話題の9月公開の映画『宝島』(原作は真藤順丈氏の同名小説)のほうには先に出資していたようです。
それにしても『国宝』は6月の公開から異例のロングランヒットとなっているのに、いかにも朝日らしい世相の読みの甘さで好機を逃したと、一部社員はモヤモヤしているのです」
劇中のハイライトは“死ぬる覚悟”を問う演目「曽根崎心中」だったが、こちらは心中する覚悟はなかったということか。朝日新聞に確認すると、『国宝』製作委員会に入っていないことは認めつつ、「個別の経営上の判断について回答は差し控えます」(広報部)とのこと。
『国宝』は2026年3月の米アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本映画代表作品にも選出され、まだまだ話題は続きそうだ。
逃した“宝”は大きかった?
※週刊ポスト2025年9月12日号