国内

増税合意取り付けた民主党 解散で50~60議席獲得の予測も

 消費増税に向けて民主、自民、公明の3党合意が成立。法案成立に向けて大きく動き出した。消費税政局は一見、増税派の完全勝利に見える。

 野田佳彦首相は、「やり遂げなければならないことをやり抜いた上で民意を問う」と言明している。増税法案が成立すれば、ただちに解散・総選挙を打って増税が是か非か国民の意思を問うべきである。

 ところが、野田首相には全くその気がない。自民党では谷垣禎一総裁や石原伸晃・幹事長ら一部が、「法案成立すれば解散・総選挙で信を問うべき」と息巻いているだけで、実際は増税合意をまとめた自民党の長老グループも解散など考えていない。実は、民主党も自民党も選挙が怖くて仕方ないのである。

 それには理由がある。自民党選対幹部が語る。

「公明党は3月に近畿ブロックの詳細な情勢調査を行なっており、その内容が伝わってきた。維新の会と対決すれば小選挙区で既成政党は壊滅、自公協力でも勝てないというもので、公明党はそれがわかって維新の会と組んだ。わが党の分析も、大阪で自民か民主が生き残る選挙区はせいぜい2議席程度、比例も維新が半数以上を占めるというものだった。

 調査当時はまだ維新の会の勢いは近畿にとどまると判断していたが、その後、四国、中国ブロックなどの県連や候補者の独自調査のデータを集めて分析すると、維新への支持が他のブロックでも急速に拡大している。自民党の支持は大敗した前回総選挙から伸びておらず、このまま選挙に突入すれば、せいぜい150~160議席しか獲れない」

 例えば、前回民主党に勝った中国ブロックの自民党県連が、これまで自民全勝だった保守地盤が厚い選挙区で詳細な世論調査を行なったところ、自民党の支持は30%前後で民主党にはトリプルスコアをつけていたが、維新の会など「その他の政党に投票」が自民を上回る35%近い支持でトップだったのである。

 同様の調査を行なった四国ブロックの自民党県連幹部もこう語る。

「いまや敵は民主党ではない。維新の会が候補者を立てれば、徳島、愛媛の都市部をはじめ、四国のかなりの小選挙区で自民党は競り負ける情勢だ」

 民主党はもっと情けない。昨年末から今年4月にかけて、300小選挙区すべてで順次情勢調査を行なった。調査項目は「民主と自民の政党支持率」「民主党には投票しないという忌避率」「候補者の知名度」の3項目で、選対幹部が各議員に個別に結果を報告し、自民候補との差が10ポイント未満の議員には、「頑張ればまだ逆転できる。党全体でも200議席近く取れる」と説明してぬか喜びさせている。

 アホか、である。自民党との優劣など聞いても意味はないのだ。大阪維新の会を“ないもの”として“勝てるぞ”と騒ぐこの政党が国民に見捨てられたのもよくわかる。さすがに民主党選対スタッフはそれが幻想であることを認めた。

「惨敗した2005年の小泉郵政選挙の時は小選挙区52、比例61の113議席だった。今回はあのとき小選挙区で当選した幹部たちにもより厳しい逆風が吹いている。比例票も北関東や南関東、東京ブロックはみんなの党、東海は減税日本、近畿は大阪維新に持って行かれる。

 消費税増税と原発再稼働が個別の選挙区の得票にどう影響するかの調査はこれからだが、選挙制度改革で比例定数を削減すれば、最悪の場合、小選挙区・比例合わせて50~60議席の壊滅状態もありうると怖れているが、誰も口にできない」

 民自公の増税派が大連立に動き、解散を先送りしようとしているのは、有権者に選択肢を与えないことで延命しようという姑息な発想に他ならない。

※週刊ポスト2012年7月6日号

トピックス

決死の議会解散となった田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
「市長派が7人受からないとチェックメイト」決死の議会解散で伊東市長・田久保氏が狙う“生き残りルート” 一部の支援者は”田久保離れ”「『参政党に相談しよう』と言い出す人も」
NEWSポストセブン
石橋貴明の現在(2025年8月)
《ホッソリ姿の現在》石橋貴明(63)が前向きにがん闘病…『細かすぎて』放送見送りのウラで周囲が感じた“復帰意欲”
NEWSポストセブン
ヘアメイク女性と同棲が報じられた坂口健太郎と、親密な関係性だったという永野芽郁
「ずっと覚えているんだろうなって…」坂口健太郎と熱愛発覚の永野芽郁、かつて匂わせていた“ゼロ距離”ムーブ
NEWSポストセブン
新潟県小千谷市を訪問された愛子さま(2025年9月8日、撮影/JMPA) 
《初めての新潟でスマイル》愛子さま、新潟県中越地震の被災地を訪問 癒やしの笑顔で住民と交流、熱心に防災を学ぶお姿も 
女性セブン
羽生結弦の被災地アイスショーでパワハラ騒動が起きていた(写真/アフロ)
【スクープ】羽生結弦の被災地アイスショーでパワハラ告発騒動 “恩人”による公演スタッフへの“強い当たり”が問題に 主催する日テレが調査を実施 
女性セブン
自民党総裁選有力候補の小泉進次郎氏(時事通信フォト)
《自民党総裁選有力候補の小泉進次郎氏》政治と距離を置いてきた妻・滝川クリステルの変化、服装に込められた“首相夫人”への思い 
女性セブン
ヘアメイク女性と同棲が報じられた坂口健太郎と、親密な関係性だったという永野芽郁
《初共演で懐いて》坂口健太郎と永野芽郁、ふたりで“グラスを重ねた夜”に…「めい」「けん兄」と呼び合う関係に見られた変化
NEWSポストセブン
千葉県警察本部庁舎(時事通信フォト)
刑務所内で同部屋の受刑者を殺害した無期懲役囚 有罪判決受けた性的暴行事件で練っていた“おぞましい計画”
NEWSポストセブン
秋篠宮家の長男・悠仁さまの成年式が行われた(2025年9月6日、写真/宮内庁提供)
《「父子相伝がない」の指摘》悠仁さまはいつ「天皇」になる準備を始めるのか…大学でサークル活動を謳歌するなか「皇位継承者としての自覚が強まるかは疑問」の声も
週刊ポスト
ヘアメイク女性と同棲が報じられた坂口健太郎と、親密な関係性だったという永野芽郁
《「めい〜!」と親しげに呼びかけて》坂口健太郎に一般女性との同棲報道も、同時期に永野芽郁との“極秘”イベント参加「親密な関係性があった」
NEWSポストセブン
2泊3日の日程で新潟県を訪問された愛子さま(2025年9月8日、撮影/JMPA)
《雅子さまが23年前に使用されたバッグも》愛子さま、新潟県のご公務で披露した“母親譲り”コーデ 小物使い、オールホワイトコーデなども
NEWSポストセブン
すべり台で水着…ニコニコの板野友(Youtubeより)
【すべり台で水着…ニコニコの板野友美】話題の自宅巨大プールのお値段 取り扱い業者は「あくまでお子さま用なので…」 子どもと過ごす“ともちん”の幸せライフ
NEWSポストセブン