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おい、小池目撃の住民「写真と似ても似つかぬ小太り、ハゲ」

「おい、小池!」――。

 2001年の徳島市の父子殺害事件で指名手配され、岡山で死亡が確認された小池俊一容疑者(52・死亡)を追い続けて11年。テレビに積極的に出演して情報提供を募った“リーゼント刑事”こと秋山博康警部は日本一有名な刑事といっても過言ではないだろう。

 寄せられた目撃情報4000件以上。だが執念の捜査は実らず、最悪の結末を迎えることになった。 いまから数年前。小誌編集部にこんな電話がかかってきたことがある。

「恥を忍んで、お願いします。徳島・殺人指名手配犯捜査にご協力ください」

 電話の主は秋山警部だった。遅々として進まぬ捜査に苛立ちを覚えた秋山警部は、マスコミに事件を取り上げてもらうことでさらなる情報提供を募ろうとした。秋山警部はかつて本誌の取材にこう語っている。

「私がテレビ出演をして話題にしてもらうのは何も目立ちたいからじゃない。小池に心理的圧迫をかけたいんです。必ず、どこかでテレビを見ているはず」

 一風変わった恰好をするのも、メディアが取り上げやすいようにするための配慮だったのだろう。

「寝ても覚めても小池のことを考えている。見当たり捜査(*注)のために、小池の顔を完全に頭に入れているだけではなく、十本の指の指紋まで覚えています」(同)

 一昨年からは報奨金が300万円に増額。2009年のリンゼイ・アン・ホーカーさん殺害犯・市橋達也受刑者の逮捕以後、逃亡犯に関する世間的関心も高まった。

 年に1000件を超える情報が集まるようになったという。中には重要な情報もあった。捜査関係者が語る。

「2010年に秋山さんがテレビ番組に出演した際、岡山での目撃情報が集中していたんです。あのとき、もう少し有力な手掛かりを得ていたら……」

 今回、明らかになった小池容疑者の潜伏先はJR岡山駅から徒歩15分の繁華街。ここのワンルームマンションに2005年頃から同居女性(67)と暮らしていたという。約10年前に岡山市内の飲食店で知り合った女性に養ってもらっていたというヒモ生活も、秋山警部が前から指摘していたものだ。

 だが、10年前のポスターが広まったことで現在の小池容疑者を見ても本人だと周囲が認識できなかったというのは皮肉という他ない。

 小池容疑者が買い物する姿を目撃したこともあるという周辺住民はこう言う。

「体型は小太りでポスターの写真とは似ても似つかなかった。実物はハゲていたし」

【*注】見当たり捜査/指名手配犯の顔写真を捜査員が記憶し、繁華街などの雑踏で手配犯を見つけ出す捜査手法

※週刊ポスト2012年11月9日号

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