日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
新体操日本代表チーム(フェアリージャパンPOLA)の選手に対する村田由香里・強化本部長によるパワハラ問題で、不可解な動きがあった。一部メディアが今月8日、日本体操協会が“第三者機関による評価報告を受理した”と発表した、と報じたのである。
そもそもこの問題は、フェアリージャパンのレギュラー選手4人が、寄宿先である国立スポーツ科学センター(JISS)から姿を消すという衝撃的なボイコット行動に端を発する。ボイコットの原因は村田氏の威圧的な指導で、それが内部で問題視されながら、筆者が週刊ポスト(5月19日号)で報じるまで協会は問題を伏せてきた。
これまで第三者調査を行うことに後ろ向きだった協会が、発覚から3か月を経て重い腰を上げたのなら大きな転換点となるはずが――。〈日本体操協会は8日、(略)同協会が村田氏を続投させた判断について、第三者機関の法律事務所から「特段の問題点は見当たらない」との評価報告があったことを明らかにした〉(時事通信8月8日付)と記事に書かれた協会の動きについて、「不可解」と書いた筆者の疑問は、3つある。
第1に、ニュースをきっかけに筆者はさっそく協会のホームページを確認したのだが、なぜか、先の報道のもととなりそうな、何らの発表も出ていない。それどころか、選手の家族や所属の関係者に取材しても、「何も聞いていない」という困惑の声ばかりだった。なぜ一般公開、もしくは関係者への公開をしないのか。
発表当日の8日は、じつは世界選手権に向けた壮行会がJISSで行われていた。壮行会の模様を取材にきた、日頃関係の深いメディアの記者に対して、協会は第三者調査の報道について説明した一方、参観にきた保護者には一言の説明もなく、保護者の1人は「帰宅後にネットの記事で知った」と話した。
批判的な記者を排除しやすい場で“大本営発表”するほうが都合がよいのは確かだろう。それ自体ももちろん問題だが、村田氏の問題に胸を痛めてきた選手の家族や所属クラブに説明しない、というのは道理に反する。