国内

中国のLCC春秋航空が「国内線進出」で組む日本企業はどこか

 中国初の民間航空会社で、上海を拠点に中国各地や日本への便を飛ばすLCC(格安航空会社)、春秋航空。同社が今年10月に日本法人を設立、2013年秋をめどに日本の国内線および日本発国際線への参入を発表したことが日本国内に波紋を広げている。

 反日デモの影響で日中両国の関係は冷え込みを続けており、春秋航空も例外ではない。上海から佐賀、高松への便で大幅に搭乗率が低下、10月には需要拡大のため「片道1円」というキャンペーンを打ち出した。だが、この激安運賃は「こんなときに日本に行くべきではない」という反発によって、わずか3日で撤回に追い込まれた。

 LCCにとって、搭乗率は命綱だ。予約をコンピュータ管理しており、予約率に応じて随時料金が変わる仕組みになっている。空席が多い便は、安くても売ってしまうわけだ。カラで運ぶよりも、乗客がいれば1円でも儲かるし、有料の機内食を買ってもらえるというのがLCCの論理。コストに関しては非常にシビアなのだ。

 その春秋航空が、日本国内線に参入するというニュースは日本でも驚きをもって迎えられた。というのも、2012年5月、春秋航空のトップである王正華董事長が日本メディアの取材に答え、「日本国内線は考えていない」と断言していたのだ。それだけに、同社にとっても今回の参入が急展開だったのは間違いない。

 同社の日本参入メリットは何か。『中国人の取扱説明書』(日本文芸社刊)の著者で、旅行業界出身のジャーナリスト・中田秀太郎氏はこう分析する。

「多くの中国人にとって、日本が魅力的な旅行先であることに変わりがありません。反日ブームが去れば、また多くの中国人が観光に繰り出すはず。それに、中国は広大で、国内線といえども非常に距離が長いうえ運賃が安い。それと比べれば日本の国内線はごく短距離で、効率がよいと踏んだのかもしれません」

 とはいえ、日本参入は容易ではない。ネックとなるのが外資制限だ。日本の航空法により、国内便を運航するためには外国人の議決権割合を3分の1未満に抑えなくてはならないと規定されている。それをクリアするためには日本企業と組む必要があるのだ。実際、豪カンタス系のジェットスター・ジャパンはJALなどと、マレーシアのエアアジアはANAと合弁でエアアジア・ジャパンを設立、運営している。

 では、春秋航空の相手方として、考えられるのはどこか。

「春秋航空の親会社は中国の大手旅行会社。同じく航空会社『スカイマーク』を持ち、長崎~上海間に客船を就航させている旅行会社のエイチ・アイ・エスとは相性がいいのでは。同社の澤田秀雄会長は、今春のインタビューではLCC参入を否定していますが、両社が合弁することでビジネスチャンスは大きく広がるのではないでしょうか」(前出・中田氏)

 同氏は春秋航空搭乗中、「機内を撮影したところ、男性CAがやってきて『我々の顔が映りこんだ』と居丈高に画像を消去するよう命じられたことがある」という。日本国内線参入となれば、LCCとはいっても日本並みの丁寧な接客・サービス水準が求められる。

 春秋航空にとって国内線進出までの道のりは、まだまだ遠いようだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン