国際情報

中国尖閣占領も最後は陸上自衛隊の島嶼防衛部隊が奪還の予測

 漁民を装った人民軍兵士が上陸するなどして尖閣諸島が中国に占領された場合、日本の自衛隊はどのように動くのか。魚釣島を奪還できるのか。

 総理大臣が防衛出動を発令すると、陸海空3自衛隊が一気に動く。まず日中の尖閣攻防は航空戦で始まる可能性が高い。先陣を切るのは西部航空方面隊と南西航空混成団だ。元航空幕僚長の田母神俊雄氏は、こう予測する。

「最初に出撃するのはF-15戦闘機。同機は世界で最高レベルの要撃戦闘機で、制空権の確保が主な任務。同時にF-2戦闘機が出撃する。こちらは強力な対艦ミサイルで中国海軍の艦艇を迎撃するのが役目だ。宮古島の隣の下地島には3000m級の滑走路があり、ここに整備支援力を展開すれば、尖閣上空まで10分でF-15やF-2を飛ばして制空権を握ることができる。下地島空港は当然地対空ミサイル部隊や基地防空部隊で防御も固められることになる。

 さらに半径400km以上先までの探知能力を持つ早期警戒管制機E767を投入して中国側の動きを先にキャッチする。戦闘機の戦闘能力を決めるのは、現代戦においては空中におけるリアルタイムの情報収集能力であり、E767を中心とする組織戦闘能力だ」

 襲来する中国機はSu-27やJ-10などの最新戦闘機、早期警戒管制機KJ2000などが考えられるが、『尖閣を獲りに来る中国海軍の実力』(小学館刊)著者で元統幕学校副校長の川村純彦氏は、こう見る。

「中国空軍は早期警戒管制機の機数が十分ではない上に、管制能力も空自より劣っており、実戦的経験も乏しい。強力な防空体制を構築して待ち構えている日本に航空戦を挑んでも勝ち目はない」

 中国空軍は最近になって福建省寧徳市に秘密基地を作り、戦闘機を配備しているが、それでも専門家の見方は、この緒戦では日本が有利という声が多い。

 一方、海上自衛隊は8隻の護衛艦からなる第2護衛隊群(佐世保)を尖閣周辺海域に差し向ける。沖縄本島周辺で作戦展開中だった最新鋭の潜水艦2隻も南下。第5航空群(那覇)、第1航空群(鹿屋)からは、P3C対潜哨戒機各20機が一斉に飛び立つ。

 尖閣周辺では中国の漁業監視船に代わって中国海軍の艦隊が展開するだろう。だが、海自の優位は揺るがない。前出・川村氏はこう分析する。

「艦艇の戦闘能力、乗組員の練度、情報指揮通信管制能力などでは、海上自衛隊が格段に優れている。特に海自の対潜水艦作戦能力は極めて高く、世界最高レベルにある。中国海軍の潜水艦は昔に比べて格段に静粛性を増しているが、それでも海自は発見できるだろう。東シナ海という海域の特性を考えても、海自が圧倒的に勝っていると断言できる」

 海自の潜水艦が発射した魚雷が中国のフリゲート艦に命中。F-2の空対艦ミサイルも精度が高く、駆逐艦数隻から水しぶきと黒煙が上がるそのようにして自衛隊は中国艦隊をじりじり西側に押し返していくと予測される。そうなれば魚釣島に上陸した“漁民”は完全に孤立する。

 そこから先は陸上自衛隊の出番となる。沖縄を拠点とする第15旅団、特殊部隊を擁する中央即応集団などの精鋭部隊が続々と石垣島、宮古島や与那国島に結集する。魚釣島に逆上陸してとどめを刺すのは西部方面普通科連隊(佐世保)の約600名。島嶼(とうしょ)防衛のスペシャリスト部隊だ。

「夜間、密かにゴムボートなどで接近、上陸、暗視スコープを携帯して奇襲する。小銃や機関銃のほかに迫撃砲なども携行。狙撃銃で遠方の敵を狙い撃つヒットマン顔負けの隊員もいる。ただし生身の人間がぶつかり合う陸戦なので、かなりの死傷者が出ても不思議ではない」(前出・田母神氏)

 戦闘は1日で終わる。自衛隊の死傷者に比べ、中国側の死傷者が多いと予想される。

※SAPIO2012年12月号

関連キーワード

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン