維新はどう対応するのか(左から藤田文武・日本維新の会共同代表、吉村洋文・大阪府知事/時事通信フォト)
自民党と連立政権を組む日本維新の会。その維新で国対委員長を務め、同党から唯一政権幹部入りした首相補佐官である遠藤敬氏に「秘書給与ピンハネ」疑惑が浮上した。元秘書が証言したその実態とは――。
遠藤氏は自民党と維新の連立交渉を担い、高市早苗・首相に「連立合意政策」担当の首相補佐官に起用された自維連立のキーマンで、政権に大きな影響力を持つ人物だ。本誌・週刊ポストは遠藤氏が代表を務める政党支部(日本維新の会衆議院大阪府第18選挙区支部)の政治資金収支報告書を確認し、遠藤氏が国から給与を支給される公設秘書3人から5年間(2019~2022年、2024年)で総額796万547円の寄附を受けていた事実を掴んだ。【前後編の後編。前編から読む】
遠藤事務所は「適正に対応している」
公設秘書の給与をめぐってはこれまで数々の問題が起きた。
2002年に辻元清美氏(当時は社民党代議士)が公設秘書の名義借りで国から秘書給与1870万円を騙し取った事件で議員辞職後に逮捕され、有罪判決が確定。自民党(当時)の田中真紀子氏も、ファミリー企業と兼職していた公設秘書が国からの給与を会社に渡していた問題が発覚、議員辞職した。こうした問題をきっかけに国会議員秘書給与法が改正され、前述のように「寄附勧誘」が禁止され、公設秘書の兼職も原則禁止された。
しかし、その後もピンハネはなくならなかった。
昨年7月には自民党参院議員の広瀬めぐみ氏が勤務実態のない第二秘書を国に届け出し、国から秘書給与を騙し取った容疑で東京地検特捜部の捜索を受け、今年2月に有罪判決が確定。今年8月には日本維新の会の石井章・参院議員がやはり勤務実態のない人物を公設秘書として届け出ていたとして東京地検の捜査を受けて議員辞職後、在宅起訴された。維新は石井氏を除名処分にした。
遠藤氏に寄附していた公設秘書たちは勤務実態があったとはいえ、税金が原資である秘書給与を上納させられ、税金が政党支部に還流していたとしたら同様の重大事案だ。「身を切る改革」を掲げる維新の大幹部で高市政権の首相補佐官が公設秘書給与まで政治資金に充てていたことになる。
政治資金を監視している上脇博之・神戸学院大学教授は「政治責任は免れない」と語る。
「自発的に給料から議員に多額の寄附をしたいと考える秘書はいないでしょう。しかし、国会議員には公設秘書を採用し、解雇する権限がある。議員は事実上の雇用主で、秘書は弱い立場です。
今回、別の秘書など事務所関係者がA氏に『寄附するのは当たり前』と思わせる趣旨のことを言ったのだとすれば、勧誘した可能性は高いので違法性が問われる。しかも、政治資金収支報告書に記載されているので、遠藤氏は公設秘書の寄附は知っていたと考えていい。
寄附に当たって勧誘や要求があったのだとすれば違法行為なのだから、遠藤氏は事務所内で勧誘や要求がなされていないか実態を確認すべき立場でしょう。黙認したとすれば、違法の可能性を放置し、事務所の指導を怠ったという政治的道義的責任が問われます」
