国際情報

元駐日大使・崔天凱氏の駐米大使起用の狙いは日米の離間工作

 中国の次期駐米大使に崔天凱・外務次官が昇格する見通しとなった。崔氏は2007年から2年3か月、駐日大使を務めた知日派であり、尖閣問題をめぐって日米離間工作に力を入れるとみられる。在ワシントンの日米外交筋が明らかにした。

 崔氏は駐日大使時代の2009年12月、習近平国家副主席が来日した際、天皇陛下との特例会見を実現させるため、当時の民主党幹事長だった小沢一郎衆院議員らに泣きついたというエピソードの持ち主。

 その強引さでは定評があり、つい最近も、尖閣問題をめぐって、「中国の領土」であるとして、米政界の有力者を回り中国側の見解を説いて回っていた。2013年3月の全国人民代表大会(全人代)で、楊潔チ(竹かんむりに「褫」のつくり)外相が辞任するのに伴い、現在の張業遂・駐米大使も離任するとみられ、後任の大使に崔氏が内定した。

 崔氏はもともと英語が堪能で、国連代表部に勤務経験があるが、外務省報道局長時代に江沢民国家主席の目にとまり、その後、アジア局長、外務次官補に昇格するなど出世階段を上り、2007年10月に駐日大使に抜擢された。

「中国外務省で日本スクールでなく、日本語もできない外交官が駐日大使に任命されるのは異例」と当時、話題になった。

 大使在任中は報道局長を経験しただけあって、宣伝・広報活動を重視し、マスメディアや政界、経済界を中心に中国側の情報を頻繁に発信し、中国政府のスポークスマンとして実力を遺憾なく発揮した。

 同筋は「崔氏の駐米大使起用は、尖閣諸島について米側が日米安保条約の適応を明言していることから、日本側の手の内を知り尽くしている崔氏を使って、日米間を離間させる狙いがある。次官時代に構築した対米人脈を駆使し、さらに日本側の経済界を中心とした有力者を利用して、日本側の弱点を突けるのは崔氏しかいないからだ」と指摘する。

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