国内

子の入塾手続き 親が「個人情報だ!」と住所教えたがらない

 学校や教員に対し、理不尽な要求や主張を行なう「モンペ」(モンスターペアレント)と呼ばれる保護者の存在が注目されているが、保護者対策で苦労しているのは学習塾業界も同様だ。

 現在、都内の大手中学受験塾で講師を務めるタケウチ氏(34歳・仮名)が、学習塾業界に存在する厄介な保護者のケースについて、実例を明かしてくれた。

【その1】子ども同士のケンカに介入してくる

「よくあるのが、男子生徒同士の喧嘩で、その保護者と揉めるパターンです。小学6年生の男子生徒が、休み時間に友だちの腕時計を壊したんです。そしたら、それがフランスに住んでいた時に懸賞で当てた時計だったというのです。

 それで保護者が、『限定モデルだから代わりがない。どうやって弁償するんだ!』って、塾に怒鳴り込んできたんです。そもそも、なぜ塾に通う息子にそんな高価な時計をさせていたのかが、私には疑問なのですが……。

 よくよく話し合ってみると、悪いのは時計をしていた子ども自身だったようで。プロレスごっこのような状態で、自分でぶつけて壊したそうなのです。だからといって『あなたのお子さんが悪いんですよ』なんていえませんから困りましたね」(タケウチ氏、以下「」内同)

【その2】成績が上がらないことをすべて塾のせいにする

「最近増えているのが、『授業料を払っているんだから、それに見合った成績を出せ!』といってくる保護者です。これはこれでもっともなのですが、やはり子どもが自分で努力しないと成績は上がらないわけです。

 それで、一番驚いたのは、『なぜうちの息子は100点じゃないんだ! 100点取らせる授業に金払っているんだぞ!』っていう激怒の電話でした。これには、社員もスタッフもみな唖然としてしまって。こういうのに対応するだけで、時間がかなりとられるんです」

【その3】個人情報に過敏すぎる

「これも、僕が働き始めた頃はまだいなかったパターンですが、最近何件かみかけるパターンですね。入塾の際に、保護者の勤務先や出身大学、それからもちろん住所と電話番号などを記入する欄があるんです。

 勤務先や出身大学を書きたくない、というのはまだ理解できるのですが、なかには住所と電話番号まで書きたくない、という親御さんがいるのです。そうすると入塾に必要な資料が送れませんし、まずお子さんに何かあったときに、連絡のとりようがありません。

 そういう方は基本、入塾をお断りさせていただいているのですが、今度はそこで激怒されるのです。『金払うんだから、勉強させろ!』って……」

【その4】自分の子どもだけ特別扱いさせようと企てる
 
「もちろん、どなたも子ども可愛さからなのでしょうが、なかには『自分の子どもだけは特別に目をかけて欲しい』と主張してくるパターンもありますね。

 例えば、社員と講師におにぎりの差し入れを持ってきた保護者の方がいて、そこには『魚沼産のこしひかりを使ったおにぎりです。銀シャリをお召し上がりください』というメッセージカードまでついていました。

 他にも、コンサートのチケットや商品券、お酒やプレゼントなど、しょっちゅうで。もちろん、すべて丁重にお断りしていたのですが、それでも置いていくのです。

 それで、『その代わりに講師と交換日記をして、勉強のフォローをしてほしい』というのです。『うちの子だけ授業後に居残り特訓してください』と……。断りづらい状況を先回りで作られるわけですから、なかなか対応しにくいのです」

 こうした状況に対応することが、塾の業務の1つになっていると話すタケウチ氏。対策を講じるのが難しい問題だけに、過敏になり精神的に病んでしまう講師もいるという。

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
人気格闘技イベント「Breaking Down」に出場した格闘家のキム・ジェフン容疑者(35)が関税法違反などの疑いで逮捕、送検されていた(本人SNSより)
《3.5キロの“金メダル”密輸》全身タトゥーの巨漢…“元ヤクザ格闘家”キムジェフン容疑者の意外な素顔、犯行2か月前には〈娘のために一生懸命生きないと〉投稿も
NEWSポストセブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
ハワイ島の高級住宅開発を巡る訴訟で提訴された大谷翔平(時事通信フォト)
《テレビをつけたら大谷翔平》年間150億円…高騰し続ける大谷のCMスポンサー料、国内外で狙われる「真美子さんCM出演」の現実度
NEWSポストセブン
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン