国内

池田模範堂 乾燥肌ケアは「尿素」という常識を打ち破った戦略

 空気が乾燥する冬。年々乾燥度は上がっているといわれ、乾燥肌に悩む人のためのアイテムも、加湿器だけでなく、最近は保湿効果のある下着、寝ている間の口の乾燥を防ぐためのマスクなども登場している。
 そんななか2011年から「冬にもMUHI」をスローガンに、池田模範堂が販売する乾燥肌トラブルの治療薬シリーズの売上が好調だ。「冬にもMUHI」を投入した経緯はなんだったのか、そしてその戦略は――。池田模範堂の池田専務に話を聞いた。

 * * *
 乾燥肌トラブルの治療薬といえば、当時「尿素」を主成分とする商材が主流でした。猫も杓子も「乾燥肌には尿素」という対処法一辺倒でした。市場自体も成熟化し、大容量化、低価格化の競争が激化、縮小傾向にありました。

 一方、当社では、長年「かゆみを科学する」のスローガンの元に開発してきた皮膚用外用薬のノウハウを、「かゆみ」以外にも生かすことで、企業成長を実現できないかと考えていました。そんな折、最近の皮膚科学研究の進展から、乾燥肌を呈する症状、部位によっては、尿素成分にも適不適があることがわかってきました。そこに、乾燥肌市場に未充足なニーズが存在すること、当社なりの治療コンセプトを持ち込んでそのニーズが解決できること、その結果、成熟した既存市場を活性化させる形で市場参入が可能であることがわかりましたので、当社の重点事業領域として展開を開始いたしました。

■すでにある顧客の強い信頼にどう答えるか

 お客様の心の中にすでに強く入り込んでいる「尿素」への強い信頼にどう割り込んでいくか、が課題でした。当社では別の観点から――つまり「尿素」という成分だけをフォーカスするのではなく、乾燥肌のを「症状」「部位」ごとに細分化し、それぞれに最適な処方の商材をご提案することにしました。

その方針にのっとり開発された商材が、創業100周年を控えた2007年に全国発売した指のパックリ割れるヒビを修復する治療薬「ヒビケア」です。おかげさまで、この商材は発売年よりいきなりトップランクとなり、しかも、他社の商材から売上を奪うのではなく、既存市場に新たにプラスオンとなる販売実績を記録しました。

この成功は、皮膚用外用薬全般をカバーする企業へとステップアップする機運きっかけとなりました。企業スローガンとCIを「ムヒ かゆみを科学する」から「肌を治すチカラ MUHI」へ刷新。これまで特化していた「かゆみ」から、「肌トラブル全般」へと事業ドメインを拡大させることにつながりました。

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
「弟の死体で引きつけて…」祖母・母・弟をクロスボウで撃ち殺した野津英滉被告(28)、母親の遺体をリビングに引きずった「残忍すぎる理由」【公判詳報】
NEWSポストセブン
焼酎とウイスキーはロックかストレートのみで飲むスタイル
《松本の不動産王として悠々自適》「銃弾5発を浴びて生還」テコンドー協会“最強のボス”金原昇氏が語る壮絶半生と知られざる教育者の素顔
NEWSポストセブン
沖縄県那覇市の「未成年バー」で
《震える手に泳ぐ視線…未成年衝撃画像》ゾンビタバコ、大麻、コカインが蔓延する「未成年バー」の実態とは 少年は「あれはヤバい。吸ったら終わり」と証言
NEWSポストセブン
米ルイジアナ州で12歳の少年がワニに襲われ死亡した事件が起きた(Facebook /ワニの写真はサンプルです)
《米・12歳少年がワニに襲われ死亡》発見時に「ワニが少年を隠そうとしていた」…背景には4児ママによる“悪辣な虐待”「生後3か月に暴行して脳に損傷」「新生児からコカイン反応」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
バイプレーヤーとして存在感を増している俳優・黒田大輔さん
《⼥⼦レスラー役の⼥優さんを泣かせてしまった…》バイプレーヤー・黒田大輔に出演依頼が絶えない理由、明かした俳優人生で「一番悩んだ役」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン
“1日で100人と関係を持つ”動画で物議を醸したイギリス出身の女性インフルエンサー、リリー・フィリップス(インスタグラムより)
《“1日で100人と関係を持つ”で物議》イギリス・金髪ロングの美人インフルエンサー(24)を襲った危険なトラブル 父親は「育て方を間違えたんじゃ…」と後悔
NEWSポストセブン
自宅への家宅捜索が報じられた米倉(時事通信)
米倉涼子“ガサ入れ報道”の背景に「麻薬取締部の長く続く捜査」 社会部記者は「米倉さんはマトリからの調べに誠実に対応している」