国内

震災復興に向け努力を続けるプレハブの仮設住宅商店街の現在

 被災地の復興はいま、どう進んでいるのか。ジャーナリスト・片山修氏が宮城県気仙沼市に立った。再び立ち上がる力の源はどこから来るのだろうと考える。

 * * *
 早いもので2011年3月11日の東日本大震災から3年目を迎えた。被災地で、復興に向かって懸命な努力を続ける、プレハブの仮設“人情”商店街を訪れた。

「復興商店街」は、気仙沼市内に9か所を数える。「屋台村」「南町紫市場」「復幸マルシェ」「さかなの駅」「かもめ通り」…など、そのネーミングを見ても、いかにも“人情”商店街を想起させるではないか。

「震災直後から、瓦礫の片付けをしていたんです。その1か月後、もう一度ここで商売をやってみようと思ったんです」

 そう語るのは、「気仙沼復興商店街」副理事の坂本正人さんだ。最初は避難所の有志が集まって、“青空市”から始まった。その後、独立行政法人中小企業基盤整備機構の復興支援にエントリーし、「気仙沼復興商店街」を立ち上げた。

「復幸マルシェ」をたった一人で立ち上げたのは、同マルシェ代表理事で、釜揚げうどん「団平」のご主人の塩田賢一さんだ。

「土地を借り、瓦礫を片付けるのも一人でやりました。トラックや重機など、必要な8種類の免許証を取りました。4か月で整地し、入居者の募集もすべて自分でやりました」

 東北人の粘り強さに脱帽せざるを得ない。

「あのとき、家ごと丘の方に流されて助かった。もともとマグロ船のコック長をしていたのよ。それこそ、船に乗ったら、1年や2年帰らないこともあった。世界中の海に行ったな」と、「屋台村」に居酒屋「大漁丸」を出店している、菊地正男さんは語る。

 仮説商店街を歩く。寿司屋、居酒屋、揚げたてコロッケ屋、魚屋、とんかつ屋、うどん屋、焼鳥店、焼き肉店などの飲食店、衣料品店、刃物店、花屋、薬局、電気店、陶器店などの物販店。その種類のにぎやかさは、まさに町の商店街だ。

 ちなみに、復興に向けて、JR東日本は、2012年12月22日から、津波被害を受けた気仙沼駅間の仮復旧として、BRT(バス高速輸送システム)の運行を始め、全線が開通した。地域の足として、観光の足として、多くの利用が期待されている。

●取材・文/片山修

※週刊ポスト2013年4月5日号

関連記事

トピックス

本格的に中国進出をめざすならば…(時事通信フォト)
《年内結婚報道》橋本環奈と中川大志の「結婚生活」に立ちはだかる“1万kmの距離” 2人の異なる“海外進出の希望先”
週刊ポスト
「池田温泉旅館 たち川」の部屋風呂に「温泉偽装疑惑」。左はHPより(現在は削除済み)、右は従業員提供
「水道水にカップ5杯の重曹を入れてグルグル…」岐阜県・池田温泉「高級旅館」の部屋風呂に“温泉偽装”疑惑 ヌルヌルと評判のお湯の真実は…“夜逃げ”オーナーは直撃に「誰からのリークなの? それ」
NEWSポストセブン
これまでジャズ歌手などとしても活動してきた参政党・さや氏(写真/共同通信社)
参政党・さや氏、歌手時代のトラブル証言 ジャズバーのママが「カチンときて縁を切っちゃいました」、さや氏は「そうした事実はない」…真っ向食い違う言い分
週刊ポスト
もうすぐ双子のママになる。Numero.jpより。
Photos:Mika Ninagawa
中川翔子3年にわたる不妊治療と2度の流産を経験 。 双子の男の子のママになる妊婦姿を披露して話題に
NEWSポストセブン
錦織圭とユニクロの関係はどうなるか(写真/共同通信社)
「ご本人からの誠意ある謝罪があった」“ユニクロ不倫”錦織圭、ファーストリテイリング広報担当が明かしたスポンサー契約継続の理由
週刊ポスト
趣里と父親である水谷豊
《女優・趣里の現在》パートナー・三山凌輝のトラブルで「活動セーブ」も…突破口となる“初の父娘共演”映画は来年公開へ
NEWSポストセブン
岐阜の「池田温泉旅館 たち川」が突然の閉鎖、事業者が夜逃げした(左は旅館のInstagramより)
【スクープ】岐阜県の名所・池田温泉の人気旅館が突然の閉鎖 町が運営委託した事業者が“夜逃げ”していた! 町長からは228万円の督促状、従業員が告発する「オーナーの計画」 給料も未払いに
NEWSポストセブン
山尾志桜里氏は2017年にダブル不倫が報じられた(時事通信フォト)
参院選落選・山尾志桜里氏が明かした“国民民主党への本音”と“国政復帰への強い意欲”「組織としての統治不全は相当深刻だが…」「1人で判断せず、決断していきたい」
NEWSポストセブン
オンカジ問題に揺れるフジ(時事通信)。右は鈴木善貴容疑者のSNSより
止まらない「オンカジドミノ退社」フジテレビ社内で話題を呼ぶ
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《元人気芸妓とゴールイン》中村七之助、“結婚しない”宣言のルーツに「ケンカで肋骨にヒビ」「1日に何度もキス」全力で愛し合う両親の姿
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《まさかの“続投”表明》田久保眞紀市長の実母が語った娘の“正義感”「中国人のペンションに単身乗り込んでいって…」
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン