ビジネス

参院選自民大勝で原発関連と防衛産業株が注目集めると森永氏

 経済アナリスト・森永卓郎氏は、「アベノミクスの成長戦略の本質は、規制緩和・市場原理を徹底して、日本をアメリカのような弱肉強食社会へ向かわせる」と分析している。そうしたなか、今後の株式投資でポイントとなることは何か。以下、森永氏が解説する。

 * * *
 アベノミクスの本質が市場原理主義の徹底であるからには、それが進展すればするほど儲かる企業はどこかということが、今後の株式投資のポイントになるのは間違いありません。

 たとえば、同じ電機業界でも、シャープやパナソニック、ソニーが大赤字を出した時期でも、日立製作所や東芝、三菱電機などは利益をきっちり出している。命運が分かれた理由は、主力事業が家電か重電かの違いです。家電はグローバルな完全競争市場。「完全競争の下では利益はゼロになる」と経済の教科書に書いてある通りのことが起こっている。

 一方、重電は政府からの発注があるなど、それほど激しい競争に晒されていないで利益が確保できている。実は、逆説的ではあるが、市場原理主義が進めば進むほど、弱肉強食化に巻き込まれない企業が儲かる仕組みになっているのです。

 具体的にどこかといえば、すぐに思いつくのは、政府が進めようとしている政策に合致した事業を手がけている企業。国策に乗っかった企業ほど、今後ますます業績を伸ばしていく可能性が高い。たとえば、政治への影響力を持つ大手財閥系企業などの注目度は高まりそうです。

 7月の参院選では自民党の大勝が予想されます。それが現実になれば、その後3年間、安倍首相は国民に信を問う国政選挙を行なう必要がなくなり、怖いものなしで、必ずや原発再稼働に踏み切ると見ます。それを見込んで、原発関連銘柄を仕込んでおく考えもあるでしょう。株価上昇に完全に取り残されている電力業界は、原発再稼働となれば収益が一気に改善するので、株価上昇期待も大きい。

 もう一つ、参院選に大勝すれば、安倍首相は日本維新の会と組むなどして憲法改正のハードルを下げる憲法96条を改正した上で、9条改正に踏み切り、国防軍創設を目指す可能性が高い。数年でやり遂げるのは難しいと思いますが、それが現実味を帯びてくれば、株式市場でも防衛産業に大きな光が当たってくるはずです。

 アベノミクスの成長戦略で、日本は格差社会から超格差社会に向かっていくのは間違いありません。その防衛策はただ一つ。金持ちの儲ける手口に乗って、ボーナスで株を買って小金持ちを目指すことです。

※マネーポスト2013年夏号

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン