夜の街での男女トラブルは社会問題でもある(写真はイメージ/Getty)
昨今ニュースで目にする機会が増えている、キャバクラ店やガールズバーなど“夜の街”を舞台にした男女トラブル。客である男性が女性キャストに入れあげるあまり、愛情だけでなく多額の金銭を注ぎ込み、その見返りを求めすぎた結果、殺人などの事件にまで発展してしまうケースは少なくない。
現役芸能ライターである阿部ベア氏が原作を務める『#違法ガール 履歴書に書けない私の裏バイト』(新潮社、以下「違法ガール」)はこういった“夜職”の女性を主人公に、綿密な取材をもとに知られざる業界の裏側にも踏み込んだ異色作だ。
芸能ライターとして現場取材を長く続けてきた阿部氏。単行本第2巻の発売にあたり、“夜職”で働く女性のリアルや、こうした実態をマンガで表現することの奥深さについて、話を聞いた。
芸能取材中に得た“知識”
——マンガ「違法ガール」はJKリフレに始まってコンカフェ、そして最新話ではメンズエステ店などの業態がピックアップされています。原作執筆のきっかけとなったのはなんだったんでしょうか。
阿部ベア氏(以下、阿部氏):そもそものきっかけは、芸能関係の取材中に「JKリフレ」の元店員から話を聞いたことです。実は彼女は現役タレントだったんですが、男性アイドルなど業界の知り合いが多く、いわゆる『ネタ元』として何年も交流していました。
その彼女が活動休止期間中にやっていた「リフレ」の裏話を聞いているうちに、そういった業界について勉強していくようになりました。
——リフレは「女子高校生が際どいサービスを行なうグレーな店」というイメージです。10年ほど前には警察による摘発が相次ぎ、連日のようにニュースで取り沙汰されていたこともありました。風俗ではないけど、“裏メニュー”として性的なサービスがある……というイメージが強いですが。
阿部氏:そうですね、自分もそう捉えています。真正面から「当店は風俗店です」と謳わないことにメリットがあるからこそ、こういった業種が作られていくのではないかと思います。
そういったお店に芸能人が通っているという話がたくさんあって、自分は一度も行ったことがないにもかかわらず、芸能取材の過程で都内の店舗については相当な知識がついていました。そんな時に出版社の方からお声がけがあったことから、割とトントン拍子で連載がスタートすることになったんです。
本業である芸能ニュースでは採用できないものの、世間一般とはかけ離れた世界で繰り広げられていた人間ドラマを再構築したのが「違法ガール」で、男性客・女性キャストのどちらにも肩入れせずに、事実をベースに淡々とストーリーを書いていくことを意識しています。