国際情報

韓国の若者 就職有利にするため慰安婦施設でボランティアも

 韓国では「日本軍慰安婦」が反日キャンペーンの一大看板と化している。主に韓国の若い世代を対象にして繰り広げられている「慰安婦プロパガンダ」の実態を在韓国ジャーナリストの藤原修平氏が報告する。

 * * *
 韓国の学校の歴史の授業で慰安婦問題が取り上げられるのは、日本の植民地時代に入り、「内鮮一体、国家総動員法の名のもとに朝鮮半島から物資や人材が搾取された」という文脈においてである。

 歴史教科書の中でもメジャーな『高等学校 韓国史』(志学社、2012年版)では、2ページにわたって記述が見られる。以下、慰安婦の定義が書かれた箇所を引用する。
 
「日本軍“慰安婦”とは、日帝植民地時代に日本軍の慰安所に連行されて強制的に性暴行を受けた女性たちを指す言葉である。日帝は日中戦争と太平洋戦争を行なうあいだ、日本の軍人たちの性的欲求を満たすために集団的な性行為施設である慰安所を制度化し、植民地と占領地にいる数多くの若い女性たちを強制的に戦線に輸送、性奴隷の役割を強要した。彼女たちは慰安所に配置され、繰り返し性暴行を受けていた」(231ページ)

 改めて指摘しておくと、「強制連行」されたという証言は元慰安婦のものだけである。証拠も第三者の目撃証言もない。むしろ慰安婦を好条件で募集する新聞広告などが残っており、朝鮮人も慰安婦募集に関わっていた。

 この教科書では当然そんな事実は無視し、「強制」や「性奴隷」といった表現を何度も用いている。教科書編集側の“刷り込み”の意図を感じざるを得ない。教師の中には、渾身の手作り資料で講義する者もいる。学校の授業で慰安婦問題に目覚めた生徒たちは、次なるステップを踏むことになる。

 その舞台の一つが「ナヌムの家」だ。これはハルモニ(おばあさん)と呼ばれる元慰安婦たちがボランティアスタッフとともに共同生活を送る民間施設で、併設の資料館には元慰安婦の証言や写真、慰安所の内部を再現した展示がある。多くの児童・生徒が修学旅行で見学に訪れたり、高校生以上の若者たちが一定期間泊まり込んでハルモニと生活を共にしながら話を聞く“奉仕活動”を行なっている。

 韓国の高校ではボランティア活動に費やした時間が点数化され、進学や進級の際に内申点として加算される。また、就職活動ではボランティア歴を記入することで得点を稼ぐこともできる。そのため教師が生徒にナヌムの家での奉仕活動を勧めたり、若者が就職活動を有利にするために訪れたりするケースは多い。

 韓国紙の報道によると、教師に勧められて高校1年の夏休みにナヌムの家で奉仕活動し、ハルモニたちの話を聞いた女子生徒の一人は「中学校の歴史の授業で習った内容だけでは想像もつかないほど衝撃的だった」と語っている。

 元慰安婦は「強制」があったと証言している。繰り返すが、それを立証するものはない。そのような証言にどれほどの信憑性があるだろうか。それでも「強制」や「性奴隷」を連呼する教科書の記述は、元慰安婦たちを「反日戦士」に仕立て上げている。

 慰安婦の説明に「性奴隷」という表現を用いるのは、ネット上でも同じことだ。性奴隷をそのままハングルにしたものを検索すると、上位の検索結果のうち半分近くが「日本軍慰安婦」に関わるものである。

※SAPIO2013年8月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
草野刑事を演じた倉田保昭と響刑事役の藤田三保子が当時を振り返る(撮影/横田紋子)
放送50年『Gメン\\\\\\\'75』 「草野刑事」倉田保昭×「響刑事」藤田三保子が特別対談 「俺が来たからもう大丈夫だ」丹波哲郎が演じたビッグな男・黒木警視の安心感
週刊ポスト
月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』主演の中井貴一と小泉今日子
今春最大の話題作『最後から二番目の恋』最終話で見届けたい3つの着地点 “続・続・続編”の可能性は? 
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一
《どうなる“新宿DASH”》「春先から見かけない」「撮影の頻度が激減して…」国分太一の名物コーナーのロケ現場に起きていた“異変”【鉄腕DASHを降板】
NEWSポストセブン
日本のエースとして君臨した“マエケン”こと前田健太投手(本人のインスタグラムより)
《途絶えたSNS更新》前田健太投手、元女子アナ妻が緊急渡米の目的「カラオケやラーメン…日本での生活を満喫」から一転 32枚の大量写真に込められた意味
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
中世史研究者の本郷恵子氏(本人提供)
【「愛子天皇」の誕生を願う有識者が提言】中世史研究者・本郷恵子氏「旧皇族男子の養子案は女性皇族の“使い捨て”につながる」
週刊ポスト
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン